電験三種 理論のコンデンサを、静電容量の公式 C=ε0εrS/d、直列・並列の合成、誘電体と比誘電率、静電エネルギー W=CV²/2、電荷の分配まで単位つきで整理。電源をつないだままと切り離したあとで結果が変わる点を、当サイトの計算による例題で確かめます。
目次
結論:電験三種 理論のコンデンサは、公式は5つです。静電容量 Q=CV と C=ε0εrS÷d、並列 C=C1+C2、直列 1÷C=1÷C1+1÷C2、静電エネルギー W=CV²÷2。この5つに、「電源をつないだままか、切り離したあとか」の見分け(どちらの量が一定か)を組み合わせれば、誘電体の挿入・電極間隔の変更・電荷の分配の問題まで解けます。
| 項目 | 式 | 単位・記号 |
|---|---|---|
| 静電容量の定義 | Q=CV | Q:電荷[C]、C:静電容量[F]、V:電圧[V] |
| 平行平板コンデンサ | C=ε0εr×S÷d | ε0:真空の誘電率(約8.85×10⁻¹² F/m)、εr:比誘電率(真空は1)、S:電極面積[m²]、d:電極間隔[m] |
| 電極間の電界 | E=V÷d | [V/m] |
| 並列の合成 | C=C1+C2+… | 各コンデンサの電圧が共通 |
| 直列の合成 | 1÷C=1÷C1+1÷C2+… | 各コンデンサの電荷が共通 |
| 静電エネルギー | W=CV²÷2=QV÷2=Q²÷(2C) | [J] |
電気技術者試験センターの試験科目のページでは、理論の内容が「電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測」と示されています(第三種電気主任技術者試験 試験概要)。コンデンサはそのうちの電気理論(静電気)にあたります。理論全体の中での位置づけは電験三種 理論の攻略、公式の一覧は電験3種の公式一覧にあります。交流回路でのコンデンサ(容量リアクタンス)は交流の基本量の記事で扱います。
静電容量とは(Q=CVと平行平板の公式)
コンデンサは、2枚の電極の間に電荷をためる部品です。電圧V[V]を加えたとき、ためられる電荷Q[C]は電圧に比例し、その比例定数が静電容量C[F]です。
Q=CV [C](C=Q÷V なので、1F=1C÷1V)
平行な2枚の電極(面積S[m²]、間隔d[m])の間に、比誘電率εrの物質(誘電体)を入れた平行平板コンデンサの静電容量は次のとおりです。
C=ε0εr×S÷d [F]
- 面積Sが大きいほど、間隔dが小さいほど、静電容量は大きい(C∝S、C∝1÷d)
- 比誘電率εrの誘電体を電極間に満たすと、静電容量は真空(空気)のときのεr倍になる。空気の比誘電率はほぼ1として扱う
- 電極間の電界は E=V÷d [V/m](電界は一様)
単位で見直すと、ε0[F/m]×S[m²]÷d[m]=[F]となり、式の単位が合います。式を思い出せないときは、この単位の確認で、Sは分子、dは分母と決まります。
コンデンサの直列・並列の合成
並列:各コンデンサに同じ電圧Vが加わるので、電荷は Q1=C1V、Q2=C2V です。全体の電荷は Q1+Q2=(C1+C2)V なので、合成静電容量は次のとおりです。
C=C1+C2 [F]
直列:各コンデンサに同じ電荷Qがたまり、電圧が分かれて加わります。V1=Q÷C1、V2=Q÷C2 で、V=V1+V2=Q×(1÷C1+1÷C2) なので、次のとおりです。
1÷C=1÷C1+1÷C2、2個のときは C=C1C2÷(C1+C2) [F]
直列のとき、各コンデンサの電圧は、静電容量に反比例して配分されます(容量の小さいほうに大きい電圧がかかる)。
- V1=V×C2÷(C1+C2)、V2=V×C1÷(C1+C2)
抵抗の直列・並列の式と、ちょうど逆の形です(コンデンサは容量が「大きいほど電荷をためやすい」ので、並列で足します)。分圧の式は、分子が「もう一方の容量」になります。
例題1(当サイトの計算):6μFと3μFのコンデンサを直列にして、100Vを加えます。合成容量、各コンデンサの電圧、静電エネルギーを求めます。
- 合成容量:C=6×3÷(6+3)=2μF
- 電荷:Q=CV=2×100=200μC(両方のコンデンサに共通)
- 各電圧:V1=200÷6≒33.3V、V2=200÷3≒66.7V。容量の小さい3μFのほうが大きい電圧。V1+V2=100Vで合う
- 検算(分圧の式):V1=100×3÷(6+3)≒33.3V、V2=100×6÷9≒66.7Vで一致
- 静電エネルギー:W=CV²÷2=2×10⁻⁶×100²÷2=10mJ。個別に求めると、6μFが 6×10⁻⁶×33.3²÷2≒3.33mJ、3μFが 3×10⁻⁶×66.7²÷2≒6.67mJ で、合計10mJと一致
誘電体と比誘電率(部分的に入れるときは直列と並列に分ける)
誘電体(絶縁体)を電極の間に入れると、静電容量が増えます。比誘電率εrは、真空のときと比べて静電容量が何倍になるかを表す数(単位なし)です。電極間を誘電体で完全に満たす場合は、C=εr×C0(C0は誘電体を入れる前の静電容量)です。
電極の間を部分的に満たす場合は、コンデンサを、直列または並列に分けて考えます。
| 入れ方 | 考え方 | 静電容量 |
|---|---|---|
| 電極に平行に、厚さtの板を全面に入れる(板の厚さの分だけ空気の層が減る形) | 空気の層(d−t)と誘電体の層(t)の直列 | C=ε0S÷{(d−t)+t÷εr} |
| 電極の面積の一部(たとえば半分)にだけ、間隔いっぱいに入れる | 空気の部分と誘電体の部分の並列 | 面積が半分ずつなら C=C0×(1+εr)÷2 |
直列の式は、空気層と誘電体層を別々のコンデンサとして1÷C=1÷C空気+1÷C誘電体で合成した結果です。図がなくても、「層が電極に平行か、電極に垂直か(間隔いっぱいか)」を読み取れば、直列か並列かが決まります。
例題2(当サイトの計算):電極の面積S=100cm²(=1×10⁻²m²)、間隔d=2mmの空気の平行平板コンデンサがあります。ε0=8.85×10⁻¹²F/mとします(問題では値が与えられます)。厚さ1mm、比誘電率4の板を電極に平行に全面に入れたときの静電容量を求めます。
- 入れる前:C0=ε0S÷d=8.85×10⁻¹²×1×10⁻²÷(2×10⁻³)=4.425×10⁻¹¹F=44.25pF
- 空気の層(間隔1mm):C空気=ε0S÷(1×10⁻³)=88.5pF(C0の2倍)
- 誘電体の層(厚さ1mm、εr=4):C誘電体=4×88.5=354pF
- 直列の合成:C=88.5×354÷(88.5+354)=70.8pF
- 検算(直列の式):C=ε0S÷{(d−t)+t÷εr}=8.85×10⁻¹²×10⁻²÷(1×10⁻³+0.25×10⁻³)=8.85×10⁻¹⁴÷1.25×10⁻³=70.8pF で一致
- 目安の確認:板が1mmなので、全面を満たしたとき(4×44.25=177pF)より小さく、入れる前(44.25pF)より大きい。70.8pFはその間に入っている
静電エネルギー(W=CV²/2)
コンデンサに電荷をためるとき、電源がした仕事の一部は、コンデンサの中の電界のエネルギー(静電エネルギー)としてたくわえられます。
W=CV²÷2=QV÷2=Q²÷(2C) [J]
3つの形は Q=CV で互いに書き換えられます。どれを使うかは、問題で「一定の量」が何かで決めます。
- 電圧Vが一定のとき:W=CV²÷2(CとWが比例)
- 電荷Qが一定のとき:W=Q²÷(2C)(CとWが反比例)
電荷の分配(つなぎ替えで電荷は保存される)
充電したコンデンサを電源から切り離し、別のコンデンサとつなぐと、電荷の合計は変わりません(電荷保存)。つないだあとの電圧は、全体の電荷÷全体の静電容量で求まります。
- 同じ極性の電極どうし(+と+)を並列につなぐ:V=(Q1+Q2)÷(C1+C2)
- 逆の極性の電極どうし(+と−)を並列につなぐ:V=(Q1−Q2)÷(C1+C2)(Q1>Q2の場合)
- つなぐ前後でエネルギーが等しいとは限らない。電圧が違うコンデンサをつなぐと、電荷が移動する間にエネルギーが失われる(熱や電磁波になる)ので、エネルギーは減る
例題3(当サイトの計算):4μFのコンデンサを100Vに充電し、電源から切り離して、電荷のない2μFのコンデンサと並列につなぎます。
- つなぐ前の電荷:Q1=4×100=400μC、Q2=0
- つないだあとの電圧:V=400÷(4+2)=66.7V(約66.67V)
- 各コンデンサの電荷:4μFが 4×66.67≒266.7μC、2μFが 2×66.67≒133.3μC で、合計400μC
- エネルギー(前):4×10⁻⁶×100²÷2=20mJ
- エネルギー(後):6×10⁻⁶×66.67²÷2≒13.33mJ。約6.67mJ減る
- 検算(減る分の式):電荷が0のコンデンサにつないだとき、減る分は ½×{C1C2÷(C1+C2)}×V²=½×(4×2÷6)×10⁻⁶×100²≒6.67mJ で一致
2μFのコンデンサを、あらかじめ50Vに充電してあり、逆の極性でつなぐ場合は次のようになります(当サイトの計算)。Q2=2×50=100μC なので、V=(400−100)÷6=50Vです。エネルギーは、前が 20+2.5=22.5mJ、後が 6×10⁻⁶×50²÷2=7.5mJ で、15mJ減ります。同じ極性でつなぐなら V=(400+100)÷6≒83.3V で、エネルギーの減りは約1.67mJです。同じ状態から、つなぎ方で結果が大きく変わることが分かります。
電源をつないだまま・切り離したあと:何が一定かで答えが決まる
誘電体を入れる、電極の間隔を変えるといった問題では、電源をつないだままか、切り離したあとかで、結果が変わります。
| 電源につないだまま(Vが一定) | 電源を切り離したあと(Qが一定) | |
|---|---|---|
| 誘電体を入れる(Cが増える) | Q=CVが増える。W=CV²÷2が増える | V=Q÷Cが下がる。W=Q²÷(2C)が減る |
| 電極間隔dを広げる(Cが減る) | Qが減る。Wが減る | Vが上がる。Wが増える |
| 電界 E=V÷d | 間隔を広げると下がる | 間隔を広げても変わらない(V∝dで、V÷dが一定) |
例題2の続き(当サイトの計算):空気のコンデンサC0=44.25pFに、100Vを加えてから、電極の間を比誘電率4の誘電体で完全に満たします。
- 電源をつないだまま:C=4×44.25=177pF、Q=177×10⁻¹²×100=17.7nC(前は4.425nC)、W=½×177×10⁻¹²×100²=0.885μJ(前は0.221μJ)。電荷もエネルギーも4倍
- 電源を切り離したあと:Q=4.425nCのまま、V=Q÷C=4.425×10⁻⁹÷(177×10⁻¹²)=25V、W=½QV=½×4.425×10⁻⁹×25≒0.0553μJ(前の4分の1)。電圧もエネルギーも4分の1
- 検算:W=Q²÷(2C)を使っても、Qが同じでCが4倍なので、エネルギーは4分の1。一致
電源を切り離したあとで誘電体を入れると、Qが同じでCが増えるので、エネルギーは減ります。
電験三種 理論での問われ方(出題の型)
電気技術者試験センターが過去の試験問題を公表しているので、問われ方の型を確かめられます。コンデンサの問題には、次のような問われ方の型があります。
| 問われ方 | 使う式・考え方 |
|---|---|
| 平行平板に誘電体を入れた(部分的でもよい)ときの静電容量・電界・電荷を求める | C=ε0εrS÷d、直列と並列に分ける |
| 直列・並列のコンデンサに加わる電圧、蓄えられる電荷・エネルギーを求める | 合成容量、電荷共通(直列)か電圧共通(並列)か |
| 充電したコンデンサを別のコンデンサにつなぎ替えたときの電圧・エネルギー | 電荷の保存、エネルギーは保存されない |
| 電極の間隔や誘電体を変えたときの量の増減を、記述で選ぶ | 電源につないだままか切り離したあとか |
| 導体球・同心球などの静電容量 | 電位から Q=CV を使う |
選ぶ順番の目安は、①つないだままか切り離したあとか(一定の量を決める)、②並列か直列か、誘電体は直列・並列のどちらに分けるか(部分挿入)、③求めるのが静電容量・電圧・電荷・エネルギーのどれか、です。
静電気の問題を続けて解いて、「一定の量が何か」を最初に確かめる習慣をつけましょう。
間違えやすいポイント
- 直列の合成を、並列の式で足してしまう:直列は1÷C=1÷C1+1÷C2 です。2個なら積÷和で、答えは必ず小さいほうより小さくなります(例題1は6と3から2μF)
- 直列の電圧配分を、容量に比例させてしまう:容量の小さいほうに大きい電圧がかかります(反比例)
- 電荷共通と電圧共通を混同する:直列は電荷共通、並列は電圧共通です。式を立てる前に、一言書いておきます
- 電源の接続の有無を読み落とす:「電源をつないだまま」か「切り離したあと」かで、Vが一定かQが一定かが変わります
- 電荷を分配するとき、極性を無視する:逆の極性でつなぐ場合は、電荷を引き算します。符号を書き込んでから足し引きします
- 単位の換算を忘れる:μF・pFはFに直してから代入します。ε0の10⁻¹²の指数を数え間違えやすいので、桁数を最後に目安で確かめます
まとめ
コンデンサは、Q=CV、C=ε0εrS÷d、並列は足す・直列は逆数の和、W=CV²÷2の5つが土台です。誘電体を部分的に入れるときは直列と並列に分け、電荷をつなぎ替えるときは電荷の合計が保存されること、電源をつないだままなら電圧が、切り離したあとなら電荷が一定であることを最初に確かめます。例題の数値は、別の式で検算できます。時間があれば、必ず別の形(W=CV²÷2とQV÷2など)で確かめましょう。
よくある質問
Qコンデンサの直列と並列で、合成の式が抵抗と逆になるのはなぜですか?
並列では、各コンデンサに同じ電圧がかかるので、ためられる電荷(Q=CV)が足し合わさり、合成はC=C1+C2となります。直列では、各コンデンサに同じ電荷がたまり、電圧が分かれて加わります。V=Q÷Cを足すと全体の電圧になるため、1÷C=1÷C1+1÷C2という形になります。抵抗では「電流が共通なら足す」ですが、コンデンサでは「電荷が共通のとき、電圧を足すと逆数の和になる」という違いです。
Q誘電体を入れると静電容量が増えるのに、電圧が下がることがあるのはなぜですか?
電源につないだままか、切り離したあとかで結果が違います。電源につないだままなら電圧Vが一定で、静電容量が増えるぶん電荷Q=CVが増えます。電源を切り離したあとは電荷Qが変わらないので、静電容量が増えると電圧V=Q÷Cが下がります。問題文に「電源に接続したまま」「切り離した後」のどちらが書かれているかを、最初に確かめます。
Q静電容量の単位F(ファラド)は大きすぎて、問題ではμFやpFが出てきますが、換算はどうしますか?
1μF=10⁻⁶F、1nF=10⁻⁹F、1pF=10⁻¹²Fです。式に代入するときはFに直し、答えを読みやすい単位に戻します。この記事の例題のように、電圧がV、容量がμFなら、電荷Q=CVの答えはμC(マイクロクーロン)になるので、Fに直さなくても同じ単位の組み合わせで計算できます。
法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月7日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

