電験三種

電験三種のコンデンサ静電容量の公式・直列並列・誘電体・静電エネルギーを例題で

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この記事でわかること

電験三種 理論のコンデンサを、静電容量の公式 C=ε0εrS/d、直列・並列の合成、誘電体と比誘電率、静電エネルギー W=CV²/2、電荷の分配まで単位つきで整理。電源をつないだままと切り離したあとで結果が変わる点を、当サイトの計算による例題で確かめます。

目次
  1. 静電容量とは(Q=CVと平行平板の公式)
  2. コンデンサの直列・並列の合成
  3. 誘電体と比誘電率(部分的に入れるときは直列と並列に分ける)
  4. 静電エネルギー(W=CV²/2)
  5. 電荷の分配(つなぎ替えで電荷は保存される)
  6. 電源をつないだまま・切り離したあと:何が一定かで答えが決まる
  7. 電験三種 理論での問われ方(出題の型)
  8. 間違えやすいポイント
  9. まとめ
結論:電験三種 理論のコンデンサは、公式は5つです。静電容量 Q=CV と C=ε0εrS÷d、並列 C=C1+C2、直列 1÷C=1÷C1+1÷C2、静電エネルギー W=CV²÷2。この5つに、「電源をつないだままか、切り離したあとか」の見分け(どちらの量が一定か)を組み合わせれば、誘電体の挿入・電極間隔の変更・電荷の分配の問題まで解けます。
項目式単位・記号
静電容量の定義Q=CVQ:電荷[C]、C:静電容量[F]、V:電圧[V]
平行平板コンデンサC=ε0εr×S÷dε0:真空の誘電率(約8.85×10⁻¹² F/m)、εr:比誘電率(真空は1)、S:電極面積[m²]、d:電極間隔[m]
電極間の電界E=V÷d[V/m]
並列の合成C=C1+C2+…各コンデンサの電圧が共通
直列の合成1÷C=1÷C1+1÷C2+…各コンデンサの電荷が共通
静電エネルギーW=CV²÷2=QV÷2=Q²÷(2C)[J]

電気技術者試験センターの試験科目のページでは、理論の内容が「電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測」と示されています(第三種電気主任技術者試験 試験概要)。コンデンサはそのうちの電気理論(静電気)にあたります。理論全体の中での位置づけは電験三種 理論の攻略、公式の一覧は電験3種の公式一覧にあります。交流回路でのコンデンサ(容量リアクタンス)は交流の基本量の記事で扱います。

静電容量とは(Q=CVと平行平板の公式)

コンデンサは、2枚の電極の間に電荷をためる部品です。電圧V[V]を加えたとき、ためられる電荷Q[C]は電圧に比例し、その比例定数が静電容量C[F]です。

Q=CV [C](C=Q÷V なので、1F=1C÷1V)

平行な2枚の電極(面積S[m²]、間隔d[m])の間に、比誘電率εrの物質(誘電体)を入れた平行平板コンデンサの静電容量は次のとおりです。

C=ε0εr×S÷d [F]

  • 面積Sが大きいほど、間隔dが小さいほど、静電容量は大きい(C∝S、C∝1÷d)
  • 比誘電率εrの誘電体を電極間に満たすと、静電容量は真空(空気)のときのεr倍になる。空気の比誘電率はほぼ1として扱う
  • 電極間の電界は E=V÷d [V/m](電界は一様)

単位で見直すと、ε0[F/m]×S[m²]÷d[m]=[F]となり、式の単位が合います。式を思い出せないときは、この単位の確認で、Sは分子、dは分母と決まります。

コンデンサの直列・並列の合成

並列:各コンデンサに同じ電圧Vが加わるので、電荷は Q1=C1V、Q2=C2V です。全体の電荷は Q1+Q2=(C1+C2)V なので、合成静電容量は次のとおりです。

C=C1+C2 [F]

直列:各コンデンサに同じ電荷Qがたまり、電圧が分かれて加わります。V1=Q÷C1、V2=Q÷C2 で、V=V1+V2=Q×(1÷C1+1÷C2) なので、次のとおりです。

1÷C=1÷C1+1÷C2、2個のときは C=C1C2÷(C1+C2) [F]

直列のとき、各コンデンサの電圧は、静電容量に反比例して配分されます(容量の小さいほうに大きい電圧がかかる)。

  • V1=V×C2÷(C1+C2)、V2=V×C1÷(C1+C2)

抵抗の直列・並列の式と、ちょうど逆の形です(コンデンサは容量が「大きいほど電荷をためやすい」ので、並列で足します)。分圧の式は、分子が「もう一方の容量」になります。

例題1(当サイトの計算):6μFと3μFのコンデンサを直列にして、100Vを加えます。合成容量、各コンデンサの電圧、静電エネルギーを求めます。

  • 合成容量:C=6×3÷(6+3)=2μF
  • 電荷:Q=CV=2×100=200μC(両方のコンデンサに共通)
  • 各電圧:V1=200÷6≒33.3V、V2=200÷3≒66.7V。容量の小さい3μFのほうが大きい電圧。V1+V2=100Vで合う
  • 検算(分圧の式):V1=100×3÷(6+3)≒33.3V、V2=100×6÷9≒66.7Vで一致
  • 静電エネルギー:W=CV²÷2=2×10⁻⁶×100²÷2=10mJ。個別に求めると、6μFが 6×10⁻⁶×33.3²÷2≒3.33mJ、3μFが 3×10⁻⁶×66.7²÷2≒6.67mJ で、合計10mJと一致

誘電体と比誘電率(部分的に入れるときは直列と並列に分ける)

誘電体(絶縁体)を電極の間に入れると、静電容量が増えます。比誘電率εrは、真空のときと比べて静電容量が何倍になるかを表す数(単位なし)です。電極間を誘電体で完全に満たす場合は、C=εr×C0(C0は誘電体を入れる前の静電容量)です。

電極の間を部分的に満たす場合は、コンデンサを、直列または並列に分けて考えます。

入れ方考え方静電容量
電極に平行に、厚さtの板を全面に入れる(板の厚さの分だけ空気の層が減る形)空気の層(d−t)と誘電体の層(t)の直列C=ε0S÷{(d−t)+t÷εr}
電極の面積の一部(たとえば半分)にだけ、間隔いっぱいに入れる空気の部分と誘電体の部分の並列面積が半分ずつなら C=C0×(1+εr)÷2

直列の式は、空気層と誘電体層を別々のコンデンサとして1÷C=1÷C空気+1÷C誘電体で合成した結果です。図がなくても、「層が電極に平行か、電極に垂直か(間隔いっぱいか)」を読み取れば、直列か並列かが決まります。

例題2(当サイトの計算):電極の面積S=100cm²(=1×10⁻²m²)、間隔d=2mmの空気の平行平板コンデンサがあります。ε0=8.85×10⁻¹²F/mとします(問題では値が与えられます)。厚さ1mm、比誘電率4の板を電極に平行に全面に入れたときの静電容量を求めます。

  • 入れる前:C0=ε0S÷d=8.85×10⁻¹²×1×10⁻²÷(2×10⁻³)=4.425×10⁻¹¹F=44.25pF
  • 空気の層(間隔1mm):C空気=ε0S÷(1×10⁻³)=88.5pF(C0の2倍)
  • 誘電体の層(厚さ1mm、εr=4):C誘電体=4×88.5=354pF
  • 直列の合成:C=88.5×354÷(88.5+354)=70.8pF
  • 検算(直列の式):C=ε0S÷{(d−t)+t÷εr}=8.85×10⁻¹²×10⁻²÷(1×10⁻³+0.25×10⁻³)=8.85×10⁻¹⁴÷1.25×10⁻³=70.8pF で一致
  • 目安の確認:板が1mmなので、全面を満たしたとき(4×44.25=177pF)より小さく、入れる前(44.25pF)より大きい。70.8pFはその間に入っている

静電エネルギー(W=CV²/2)

コンデンサに電荷をためるとき、電源がした仕事の一部は、コンデンサの中の電界のエネルギー(静電エネルギー)としてたくわえられます。

W=CV²÷2=QV÷2=Q²÷(2C) [J]

3つの形は Q=CV で互いに書き換えられます。どれを使うかは、問題で「一定の量」が何かで決めます。

  • 電圧Vが一定のとき:W=CV²÷2(CとWが比例)
  • 電荷Qが一定のとき:W=Q²÷(2C)(CとWが反比例)

電荷の分配(つなぎ替えで電荷は保存される)

充電したコンデンサを電源から切り離し、別のコンデンサとつなぐと、電荷の合計は変わりません(電荷保存)。つないだあとの電圧は、全体の電荷÷全体の静電容量で求まります。

  • 同じ極性の電極どうし(+と+)を並列につなぐ:V=(Q1+Q2)÷(C1+C2)
  • 逆の極性の電極どうし(+と−)を並列につなぐ:V=(Q1−Q2)÷(C1+C2)(Q1>Q2の場合)
  • つなぐ前後でエネルギーが等しいとは限らない。電圧が違うコンデンサをつなぐと、電荷が移動する間にエネルギーが失われる(熱や電磁波になる)ので、エネルギーは減る

例題3(当サイトの計算):4μFのコンデンサを100Vに充電し、電源から切り離して、電荷のない2μFのコンデンサと並列につなぎます。

  • つなぐ前の電荷:Q1=4×100=400μC、Q2=0
  • つないだあとの電圧:V=400÷(4+2)=66.7V(約66.67V)
  • 各コンデンサの電荷:4μFが 4×66.67≒266.7μC、2μFが 2×66.67≒133.3μC で、合計400μC
  • エネルギー(前):4×10⁻⁶×100²÷2=20mJ
  • エネルギー(後):6×10⁻⁶×66.67²÷2≒13.33mJ。約6.67mJ減る
  • 検算(減る分の式):電荷が0のコンデンサにつないだとき、減る分は ½×{C1C2÷(C1+C2)}×V²=½×(4×2÷6)×10⁻⁶×100²≒6.67mJ で一致

2μFのコンデンサを、あらかじめ50Vに充電してあり、逆の極性でつなぐ場合は次のようになります(当サイトの計算)。Q2=2×50=100μC なので、V=(400−100)÷6=50Vです。エネルギーは、前が 20+2.5=22.5mJ、後が 6×10⁻⁶×50²÷2=7.5mJ で、15mJ減ります。同じ極性でつなぐなら V=(400+100)÷6≒83.3V で、エネルギーの減りは約1.67mJです。同じ状態から、つなぎ方で結果が大きく変わることが分かります。

電源をつないだまま・切り離したあと:何が一定かで答えが決まる

誘電体を入れる、電極の間隔を変えるといった問題では、電源をつないだままか、切り離したあとかで、結果が変わります。

電源につないだまま(Vが一定)電源を切り離したあと(Qが一定)
誘電体を入れる(Cが増える)Q=CVが増える。W=CV²÷2が増えるV=Q÷Cが下がる。W=Q²÷(2C)が減る
電極間隔dを広げる(Cが減る)Qが減る。Wが減るVが上がる。Wが増える
電界 E=V÷d間隔を広げると下がる間隔を広げても変わらない(V∝dで、V÷dが一定)

例題2の続き(当サイトの計算):空気のコンデンサC0=44.25pFに、100Vを加えてから、電極の間を比誘電率4の誘電体で完全に満たします。

  • 電源をつないだまま:C=4×44.25=177pF、Q=177×10⁻¹²×100=17.7nC(前は4.425nC)、W=½×177×10⁻¹²×100²=0.885μJ(前は0.221μJ)。電荷もエネルギーも4倍
  • 電源を切り離したあと:Q=4.425nCのまま、V=Q÷C=4.425×10⁻⁹÷(177×10⁻¹²)=25V、W=½QV=½×4.425×10⁻⁹×25≒0.0553μJ(前の4分の1)。電圧もエネルギーも4分の1
  • 検算:W=Q²÷(2C)を使っても、Qが同じでCが4倍なので、エネルギーは4分の1。一致

電源を切り離したあとで誘電体を入れると、Qが同じでCが増えるので、エネルギーは減ります。

電験三種 理論での問われ方(出題の型)

電気技術者試験センターが過去の試験問題を公表しているので、問われ方の型を確かめられます。コンデンサの問題には、次のような問われ方の型があります。

問われ方使う式・考え方
平行平板に誘電体を入れた(部分的でもよい)ときの静電容量・電界・電荷を求めるC=ε0εrS÷d、直列と並列に分ける
直列・並列のコンデンサに加わる電圧、蓄えられる電荷・エネルギーを求める合成容量、電荷共通(直列)か電圧共通(並列)か
充電したコンデンサを別のコンデンサにつなぎ替えたときの電圧・エネルギー電荷の保存、エネルギーは保存されない
電極の間隔や誘電体を変えたときの量の増減を、記述で選ぶ電源につないだままか切り離したあとか
導体球・同心球などの静電容量電位から Q=CV を使う

選ぶ順番の目安は、①つないだままか切り離したあとか(一定の量を決める)、②並列か直列か、誘電体は直列・並列のどちらに分けるか(部分挿入)、③求めるのが静電容量・電圧・電荷・エネルギーのどれか、です。

静電気の問題を続けて解いて、「一定の量が何か」を最初に確かめる習慣をつけましょう。

間違えやすいポイント

  • 直列の合成を、並列の式で足してしまう:直列は1÷C=1÷C1+1÷C2 です。2個なら積÷和で、答えは必ず小さいほうより小さくなります(例題1は6と3から2μF)
  • 直列の電圧配分を、容量に比例させてしまう:容量の小さいほうに大きい電圧がかかります(反比例)
  • 電荷共通と電圧共通を混同する:直列は電荷共通、並列は電圧共通です。式を立てる前に、一言書いておきます
  • 電源の接続の有無を読み落とす:「電源をつないだまま」か「切り離したあと」かで、Vが一定かQが一定かが変わります
  • 電荷を分配するとき、極性を無視する:逆の極性でつなぐ場合は、電荷を引き算します。符号を書き込んでから足し引きします
  • 単位の換算を忘れる:μF・pFはFに直してから代入します。ε0の10⁻¹²の指数を数え間違えやすいので、桁数を最後に目安で確かめます

まとめ

コンデンサは、Q=CV、C=ε0εrS÷d、並列は足す・直列は逆数の和、W=CV²÷2の5つが土台です。誘電体を部分的に入れるときは直列と並列に分け、電荷をつなぎ替えるときは電荷の合計が保存されること、電源をつないだままなら電圧が、切り離したあとなら電荷が一定であることを最初に確かめます。例題の数値は、別の式で検算できます。時間があれば、必ず別の形(W=CV²÷2とQV÷2など)で確かめましょう。

よくある質問

Qコンデンサの直列と並列で、合成の式が抵抗と逆になるのはなぜですか?

並列では、各コンデンサに同じ電圧がかかるので、ためられる電荷(Q=CV)が足し合わさり、合成はC=C1+C2となります。直列では、各コンデンサに同じ電荷がたまり、電圧が分かれて加わります。V=Q÷Cを足すと全体の電圧になるため、1÷C=1÷C1+1÷C2という形になります。抵抗では「電流が共通なら足す」ですが、コンデンサでは「電荷が共通のとき、電圧を足すと逆数の和になる」という違いです。

Q誘電体を入れると静電容量が増えるのに、電圧が下がることがあるのはなぜですか?

電源につないだままか、切り離したあとかで結果が違います。電源につないだままなら電圧Vが一定で、静電容量が増えるぶん電荷Q=CVが増えます。電源を切り離したあとは電荷Qが変わらないので、静電容量が増えると電圧V=Q÷Cが下がります。問題文に「電源に接続したまま」「切り離した後」のどちらが書かれているかを、最初に確かめます。

Q静電容量の単位F(ファラド)は大きすぎて、問題ではμFやpFが出てきますが、換算はどうしますか?

1μF=10⁻⁶F、1nF=10⁻⁹F、1pF=10⁻¹²Fです。式に代入するときはFに直し、答えを読みやすい単位に戻します。この記事の例題のように、電圧がV、容量がμFなら、電荷Q=CVの答えはμC(マイクロクーロン)になるので、Fに直さなくても同じ単位の組み合わせで計算できます。

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法令や試験の数字は、改正や年度で変わります。この記事の最終確認日は2026年10月7日です。申込みや合格基準は、必ず試験団体の公式情報で確かめてください。

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