第二種電工 電気の基礎理論 問50:電気の基礎理論
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-12)
皮相電力が 500VA、有効電力が 400W の単相交流負荷がある。この負荷の無効電力 [var] として正しいものはどれか。
- ア100
- イ200
- ウ300正答
- エ640
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電力三角形では S(皮相電力)が斜辺、P(有効電力)が底辺、Q(無効電力)が高さで構成される三角形になる。三平方の定理より Q = √(S² - P²) で無効電力が求まる。Q = √(500² - 400²) = √(250000 - 160000) = √90000 = 300var(正答ウ)。300-400-500 は 3-4-5 の直角三角形の 100 倍で試験頻出パターン。力率は cosφ = P/S = 400/500 = 0.8 で、一般的な誘導性負荷(モーターなど)に相当する値。無効電力が大きいほど電線に余分な電流が流れ電力損失が増える。
電力三角形から無効電力を求める問題。
【電力三角形の関係式】
皮相電力 S = V×I [VA](斜辺)
有効電力 P = V×I×cosφ [W](底辺)
無効電力 Q = V×I×sinφ [var](高さ)
関係式:S² = P² + Q²(三平方の定理)
【本問の計算】
S = 500VA、P = 400W
Q = √(S² - P²) = √(500² - 400²) = √(250000 - 160000) = √90000 = 300var(正答ウ)
【確認:力率の計算】
cosφ = P/S = 400/500 = 0.8
sinφ = Q/S = 300/500 = 0.6
sin²φ + cos²φ = 0.36 + 0.64 = 1.0 ✓
【各選択肢の誤答分析】
ア(100):S - P = 500 - 400 = 100 と単純差を取った誤り
イ(200):正しくない計算(P/2 など)
エ(640):√(S² + P²) = √(250000+160000) = √410000 ≒ 640 と足し算した誤り
【出力形式の確認】
S = 500VA(VA:ボルト・アンペア):変圧器・発電機の容量定格に使う
P = 400W(W:ワット):電気料金・電力消費に使う
Q = 300var(var:バル):無効電力補償(進相コンデンサ)の容量に使う
無効電力の物理的意味・電力系統への影響・測定技術・補償設備の設計まで体系的に整理する。
【無効電力の物理的定義】
交流回路で電圧 v = V_rms sin(ωt)、電流 i = I_rms sin(ωt-φ) のとき、
瞬時電力 p(t) = v×i を展開すると:
p(t) = P[1 - cos(2ωt)] + Q[-sin(2ωt)]
P 成分:常に正(一方向のエネルギー流)→ 有効電力(仕事をする)
Q 成分:正負が交互(往復するエネルギー流)→ 無効電力(仕事をしない)
コイルの無効電力(遅れ):
- 電流が増加する半サイクル:電源→コイルにエネルギーが磁場として蓄積
- 電流が減少する半サイクル:コイル→電源にエネルギーが放出
→ 平均値はゼロだが、電線には往復電流が流れる
コンデンサの無効電力(進み):上記と逆位相で往復
コイルの遅れ Q とコンデンサの進み Q を「打ち消し合わせる」のが力率改善の原理。
【無効電力と電線損失の関係】
同じ有効電力 P を送電する場合、力率が低いほど電流が増大し電線損失が増える。
皮相電力 S = P/cosφ
電流 I = S/V = P/(V×cosφ)
電線損失 P_loss = 3I²r(三相の場合)= 3×(P/(V×cosφ))²×r
cosφ₁ = 0.8 → I₁ = P/(V×0.8)
cosφ₂ = 0.95 → I₂ = P/(V×0.95)
損失比 = (I₁/I₂)² = (0.95/0.8)² ≒ 1.41 倍
力率を 0.8→0.95 に改善すると電線損失が約 30% 削減される。
【三相系統における無効電力の管理】
大規模電力系統では常時、潮流制御の一環として無効電力を管理している:
①送電線のインダクタンス:遅れ無効電力 Q_L = ωLI² を消費(電圧降下の原因)
②送電線の静電容量:進み無効電力 Q_C = V²/(ωC_dist) を発生(特に長距離・軽負荷時)
③変圧器:漏れリアクタンスで遅れ無効電力を消費
調相設備(無効電力補償設備):
①進相コンデンサ(SC):遅れ無効電力を補償。常時接続や投入/切り替え
②分路リアクトル(SR):進み無効電力を補償。フェランチ現象の抑制
③SVC(静止形無効電力補償装置):サイリスタ制御でリアクタンスを連続調整
④STATCOM(静止型同期調相機):電力用半導体インバータで高速・高精度の無効電力制御
【進相コンデンサの容量設計計算】
工場の力率を 0.8→0.95 に改善する進相コンデンサの容量 Q_C [kvar] を求める:
有効電力 P = 400W(本問)として:
cosφ₁ = 0.8 → tanφ₁ = 0.6/0.8 = 0.75(sinφ₁ = Q/S = 300/500 = 0.6)
cosφ₂ = 0.95 → sinφ₂ = √(1-0.95²) = √(1-0.9025) = √0.0975 ≒ 0.312 → tanφ₂ ≒ 0.329
Q_C = P(tanφ₁ - tanφ₂) = 400 × (0.75 - 0.329) = 400 × 0.421 ≒ 168var
改善後:P = 400W、Q_new = 300 - 168 = 132var(遅れ)
確認:cosφ_new = P/√(P²+Q²) = 400/√(160000+17424) = 400/421 ≒ 0.95 ✓
【無効電力の計測】
① 電力計(W 計):有効電力のみ測定
② 無効電力計(var 計):90° 位相シフタを使って無効電力を測定
③ 電力量計(Wh 計):有効電力量の積算
④ 無効電力量計(varh 計):無効電力量の積算(スマートメータで自動計測)
スマートメータ(第 2 世代)は 30 分単位で有効・無効電力量を計測し、電力会社に自動送信する。これにより「時間帯別料金」「ダイナミックプライシング」「デマンドレスポンス」の基盤になっている。
【電験三種への接続】
電験三種「理論」:電力三角形・力率・無効電力の計算は基本問題として確実に出題。「電力」:電力系統の無効電力管理・調相設備の容量計算・電圧調整が頻出中難問。「法規」:変電所の保護継電器設定・力率管理の規制(電気設備技術基準)。第二種電気工事士では Q = √(S²-P²) を確実に計算できることが基礎で、3-4-5・6-8-10 の直角三角形パターンを電力版(300-400-500、600-800-1000 など)で即座に認識できると大きなアドバンテージになる。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:電気技術者試験センター公表の出題範囲(第二種電気工事士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。