第二種電工 電気の基礎理論 問52:電気の基礎理論
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-12)
純粋なコイル(理想的なインダクタ)のみで構成された交流回路に関する記述として、正しいものはどれか。
- ア電流と電圧は同位相(位相差なし)である
- イ電流の位相は電圧より 90° 進む
- ウ電流の位相は電圧より 90° 遅れる正答
- エ電流の位相は電圧より 45° 遅れる
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コイル(インダクタ)だけの交流回路では「電流が電圧より 90° 遅れる」。これはコイルの自己誘導作用により、電圧変化に電流が即座についていけないためで、物理的には磁場エネルギーの蓄積に時間がかかることを表す。正答はウ。逆にコンデンサだけの回路では「電流が電圧より 90° 進む」(選択肢イはコンデンサの場合)。抵抗だけの回路は「電流と電圧が同位相」(選択肢ア)。「コイル=遅れ・コンデンサ=進み」のセットで覚えることが重要で、試験での得点率が高い知識ポイント。
交流回路における各素子の電圧・電流位相関係を整理する問題。
【素子別の位相関係まとめ】
| 素子 | 電流と電圧の位相関係 | 有効電力 |
|---|---|---|
| 抵抗(R) | 同位相(位相差 0°) | P = I²R > 0 |
| コイル(L) | 電流が 90° 遅れ | P = 0(無効) |
| コンデンサ(C) | 電流が 90° 進み | P = 0(無効) |
【コイルで電流が遅れる理由】
コイルに電圧 v(t) = V_max sin(ωt) を加えると、電流は v = L×di/dt の関係から:
di/dt = v/L = (V_max/L) sin(ωt)
積分すると:i(t) = -(V_max/(ωL)) cos(ωt) = (V_max/(ωL)) sin(ωt - 90°)
cos(ωt) = sin(ωt - 90°) なので電流が電圧より 90° 遅れる。
【選択肢の判断】
ア:同位相 → 抵抗の場合(誤り)
イ:電流が 90° 進む → コンデンサの場合(誤り)
ウ:電流が 90° 遅れる → コイルの場合(正答)
エ:45° 遅れ → RL 直列(R=X_L)の場合(誤り)
【記憶法】
CIVIL(シビル)という語呂合わせ:
C(コンデンサ):I(電流)が V(電圧)の前(進み)
V(電圧)が先
I(電流)が後→L(コイル)で遅れ
コイルの位相関係はファラデーの電磁誘導則から導かれ、変圧器・送電線・電動機の特性の根幹をなす。フェーザ図による視覚化と実務応用を体系的に整理する。
【ファラデーの電磁誘導則による導出】
コイルのインダクタンス L に電流 i が流れると、鎖交磁束 Φ = L×i が発生。電流が変化すると、レンツの法則による逆起電力(自己誘導起電力)が生じる:
e = -L × di/dt
外部から加える電圧 v はこの逆起電力と釣り合う:
v = L × di/dt
電圧 v(t) = V_max sin(ωt) のとき:
di/dt = v/L = (V_max/L) sin(ωt)
両辺を積分:
i(t) = -(V_max/(ωL)) cos(ωt) + C(積定数)
定常状態(C=0):
i(t) = -(V_max/(ωL)) cos(ωt) = (V_max/(ωL)) sin(ωt - 90°)
∴ 電流 i の位相は電圧 v より 90° 遅れる(正答ウ)。
電流の最大値:I_max = V_max / (ωL) = V_max / X_L(誘導性リアクタンスで除算)
【フェーザ図による視覚化】
V(電圧フェーザ)を基準(0°)とすると、コイルの電流フェーザは -90°(時計回りに 90° 回転)。
V = V_max ∠0°(基準)
I = I_max ∠(-90°)(90° 遅れ)
複素インピーダンス:Z_L = V/I = V_max∠0° / (I_max∠(-90°)) = (V_max/I_max)∠90° = X_L∠90° = jX_L = jωL
「j(虚数単位)をかける = 90° 進める」という複素数の性質から、Z_L = jX_L は電圧が電流より 90° 進んでいる(= 電流が電圧より 90° 遅れている)ことを示す。
【各種実用機器における位相関係の影響】
①変圧器:
1 次巻線の励磁電流は磁束(変圧器コアの磁場)に比例。磁束は電圧を積分したもの(90° 遅れ)なので、励磁電流は電圧より約 90° 遅れる(無負荷電流の位相)。
②送電線:
架空送電線はインダクタンス(R + jωL)で近似。負荷電流は電源電圧より遅れ(力率遅れ)になり、受電端電圧が送電端より低下する(電圧降下)。
③誘導電動機:
三相誘導電動機の 1 次電流(固定子電流)は磁化リアクタンスにより遅れ位相。力率は 0.7〜0.9(遅れ)が典型。
④蛍光灯(磁気安定器型):
安定器コイルにより電流が遅れ → 力率 0.5〜0.7 程度(遅れ)。進相コンデンサを内蔵した「高力率型」では cosφ ≒ 0.9 に改善。
【90° 位相差と無効電力の関係】
コイル(純インダクタ)では電圧と電流が 90° ずれているため:
有効電力 P = V_rms × I_rms × cos90° = 0(仕事をしない)
無効電力 Q = V_rms × I_rms × sin90° = V_rms × I_rms(全て無効)
これが「コイルは電力を消費しない」の数学的根拠。実際のコイルは巻線抵抗(R_coil > 0)があるため、Q = IX_L の無効電力に加えて P = I²R_coil の有効電力も消費する。
【45° 遅れはどんな場合か(選択肢エの解説)】
φ = 45°(電流が 45° 遅れ)は RL 直列回路で R = X_L のとき:
Z = R + jX_L = R + jR = R√2 ∠45°
tanφ = X_L/R = R/R = 1 → φ = 45°
このとき cosφ = cos45° = 1/√2 ≒ 0.707(力率 70.7%)
選択肢エ(45° 遅れ)は「コイルだけの回路」(純インダクタ)の説明としては誤り。RL 直列で R=X_L の特殊条件のときのみ 45° 遅れになる。
【電験三種への接続】
電験三種「理論」:フェーザ図による複素数計算がメインの分野。V と I の位相関係を正確に把握できないと交流回路全般が解けなくなる。「機械」:誘導電動機の滑り特性・等価回路では磁化リアクタンス(90° 遅れ)と2次抵抗(同位相)の組み合わせが基礎。「電力」:力率管理・無効電力調整の根拠が「インダクタンスは遅れ・コンデンサは進み」。
第二種電気工事士では「コイル=遅れ 90°・コンデンサ=進み 90°・抵抗=同位相」の 3 点を確実に記憶することが交流理論の絶対基礎。CIVIL の語呂合わせを使って確実に定着させる。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:電気技術者試験センター公表の出題範囲(第二種電気工事士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-12)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。