第二種電工 電気の基礎理論 問55:電気の基礎理論
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-12)
三相交流のΔ(デルタ)結線において、各相の電流(相電流)が 10A のとき、線電流 [A] として正しいものはどれか。ただし √3 ≒ 1.73 とする。
- ア5.8
- イ10
- ウ17.3正答
- エ30
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三相交流の Δ 結線(デルタ結線)では「線電流 = 相電流 × √3」の関係がある。相電流 10A のとき、線電流 = 10 × 1.73 = 17.3A(正答ウ)。Y 結線とは逆で「電圧は同じ(線間電圧 = 相電圧)・電流が√3 倍(線電流 = √3 × 相電流)」になる。電動機の Y-Δ 始動はこの関係を使って始動電流を 1/3 に抑える(始動時 Y 接続で相電流 1/√3 倍→線電流は 1/3 倍)。Y と Δ の違いを「Y は電圧が√3 倍、Δ は電流が√3 倍」と対比して覚えるのが効果的。
Δ 結線の電流関係を求める問題。
【Δ 結線の基本関係】
線間電圧 V_L = 相電圧 V_P(線間電圧と相電圧は等しい)
線電流 I_L = √3 × 相電流 I_P
【本問の計算】
I_P = 10A
I_L = √3 × I_P = 1.73 × 10 = 17.3A(正答ウ)
【Δ 結線の電流関係の導出(KCL)】
Δ 結線の節点(例:a 点)に流れ込む電流:
- L1 線から流れ込む線電流 I_L
- a-b 間の相電流 I_ab(a から b へ流れる)
- c-a 間の相電流 I_ca(c から a へ流れる)
KCL:I_L = I_ab - I_ca(= I_ab + I_ac)
フェーザ計算:
I_ab = I_P∠0°、I_ca = I_P∠120°
I_L = I_ab - I_ca = I_P∠0° - I_P∠120° = I_P × √3 ∠(-30°)
|I_L| = √3 × I_P(大きさが √3 倍、位相は 30° 遅れ)
【Y・Δ 結線の対比】
| | Y 結線 | Δ 結線 |
|---|---|---|
| 線間電圧 と 相電圧 | V_L = √3 × V_P | V_L = V_P |
| 線電流 と 相電流 | I_L = I_P | I_L = √3 × I_P |
| 中性点 | あり | なし |
【誤答分析】
ア(5.8):10/√3 ≒ 5.8(√3 で割り算してしまった)
イ(10):相電流そのまま(Δ 結線の関係を知らない)
エ(30):10×3=30(√3 の代わりに 3 を使った誤り)
Δ 結線の電流関係は三相電動機の始動方法・三相変圧器の励磁電流・三相回路の電力計算に直結する。実務と試験の両面から体系的に整理する。
【Δ 結線の電流関係の物理的意味】
Δ 接続の 3 辺には各々の相電流(I_ab、I_bc、I_ca)が流れている。各節点では 2 本の相電流が合流するが、それぞれ 120° の位相差があるため、ベクトル和が線電流になる。
節点 a での KCL(ベクトル):
I_L1 = I_ab - I_ca
大きさ:|I_L1| = |I_ab - I_ca| = I_P × |1∠0° - 1∠120°|
計算:1∠0° - 1∠120° = (1 - (-0.5 - j0.866)) = (1.5 + j0.866)
|(1.5 + j0.866)| = √(1.5² + 0.866²) = √(2.25 + 0.75) = √3
∴ I_L = √3 × I_P(正答ウの根拠)
【Y-Δ 始動(電動機の始動電流低減)】
大型誘導電動機の直入れ始動(そのまま接続)では始動電流が定格電流の 5〜7 倍になる。
Y-Δ 始動法:始動時に Y 接続し、回転速度が上昇したら Δ 接続に切り替える。
Y 接続時の相電圧:V_Y = V_L/√3(Δ 接続時の 1/√3 倍)
Y 接続時の相電流:I_P_Y = V_Y/Z = (V_L/√3)/Z(Δ 時の 1/√3 倍)
Y 接続時の線電流:I_L_Y = I_P_Y(Y 接続では線電流 = 相電流)= (V_L/√3)/Z
Δ 接続時の相電流:I_P_Δ = V_L/Z
Δ 接続時の線電流:I_L_Δ = √3 × I_P_Δ = √3 × V_L/Z
比較:I_L_Y / I_L_Δ = (V_L/√3)/Z ÷ (√3 × V_L/Z) = (1/√3) ÷ √3 = 1/3
Y-Δ 始動で始動電流は直入れの 1/3 に低減。ただし始動トルクも 1/3 に低下するため、負荷が軽い状態でのみ有効(ポンプ・ファン類が適している)。
【三相電力の計算(Y・Δ 共通)】
三相電力は Y・Δ 結線を問わず同じ公式で計算できる:
P = √3 × V_L × I_L × cosφ [W](線間電圧・線電流を使う公式)
本問(I_L=17.3A、仮定 V_L=200V、cosφ=0.8):
P = √3 × 200 × 17.3 × 0.8 = 1.732 × 200 × 17.3 × 0.8 ≒ 4800W = 4.8kW
別の公式(相電圧・相電流から):
P = 3 × V_P × I_P × cosφ
Δ 結線:V_P = V_L = 200V、I_P = 10A
P = 3 × 200 × 10 × 0.8 = 4800W(同じ結果 ✓)
【三相変圧器の Δ 結線(励磁電流の 3 次高調波)】
変圧器鉄心の磁気飽和非線形性により、正弦波電圧では励磁電流に 3 次高調波が多く含まれる(ピーク状の電流波形)。
Y 接続変圧器(中性点接地なし):3 次高調波電流が線に流れ出せず、電圧波形に 3 次高調波が重畳 → 電圧歪み。
Δ 接続変圧器:3 次高調波電流が Δ ループ内を循環(線には流れない)→ 電圧波形が正弦波に維持される。
このため三相変圧器の一次または二次側のどちらかに Δ 巻線(Δ 結線)を含む(Y-Δ、Δ-Y、Δ-Δ)のが基本設計。Y-Y のみ(Δ なし)は電圧歪みの問題があるため、Y-Y-Δ の 3 巻線変圧器や接地用変圧器を追加して対処する。
【Δ 結線の欠相(1 相断線)時の動作】
Δ 結線の 3 相モーターで 1 相の電線が断線した場合(欠相):残る 2 相で V 結線(開放 Δ)を構成し、三相電力の 57.7%(= 1/√3)で動作継続できる。ただし電流は定格を超えるため過熱・焼損の危険がある。欠相保護装置(欠相リレー)が重要。
Y 結線の欠相:中性点が接続されていれば 2 線で単相 200V として一部動作するが、三相電力は供給できない。中性点なしでは動作不能。
【電験三種への接続】
電験三種「理論」:三相交流回路(Y・Δ 変換・三相電力・不平衡三相)が重要出題分野。「機械」:三相誘導電動機の始動法(Y-Δ・インバータ始動・リアクトル始動)、三相同期発電機の等価回路計算。「電力」:三相送電線の電圧降下・電力損失計算、三相変圧器の接続方式による電圧・電流変換。第二種電気工事士では「Δ:I_L = √3×I_P、V_L = V_P」の関係を Y 結線と混同せずに使えることが絶対基礎。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:電気技術者試験センター公表の出題範囲(第二種電気工事士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。