電気の基礎理論61電気の基礎理論

第二種電工 電気の基礎理論 問61:電気の基礎理論

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-12

三相交流の相順(位相順序)に関する記述として、正しいものはどれか。

  • 三相交流の各相の位相差は 90° である
  • 三相交流の電圧の和は常にゼロである正答
  • 三相誘導電動機の接続で U・V・W の 2 線を入れ替えると、電動機は速度が 2 倍になる
  • 正相(R・S・T 順)と逆相(R・T・S 順)では、三相電力は異なる値になる
正答:三相交流の電圧の和は常にゼロである

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三相交流の 3 つの電圧は、常に 120° ずつ位相がずれた正弦波。3 つを足し合わせると互いに打ち消し合い、常にゼロになる(正答イ)。アは「90°」と書いてあるが正しくは「120°」で誤り。ウは 2 線入れ替えで「回転方向が逆転」するのが正しく、速度は変わらない(逆転する)。エについては正相でも逆相でも三相電力 P = √3×V_L×I_L×cosφ は電力の大きさとしては同じ(回転方向が逆になるだけ)。三相交流の最も根本的な性質「3 電圧の和 = 0」はキルヒホッフの法則とも関連する重要知識。

標準試験対策の基準レベル

三相交流の相順と基本性質に関する正誤判定問題。

【正答イの根拠:三相電圧の瞬時値の和】

v_a(t) = V sin(ωt)

v_b(t) = V sin(ωt - 120°)

v_c(t) = V sin(ωt - 240°)

和:v_a + v_b + v_c = V[sin(ωt) + sin(ωt-120°) + sin(ωt-240°)]

三角関数の和の公式または複素数で計算すると、

sin(ωt) + sin(ωt-120°) + sin(ωt-240°) = 0(任意の t で成立)

フェーザ表示:V_a + V_b + V_c = V∠0° + V∠(-120°) + V∠(120°) = 0 ✓

【各選択肢の詳細判定】

ア(位相差 90°):誤り。三相交流の各相の位相差は 120°(= 360°/3)。

 90° 位相差は 4 相交流または 2 相(直交)交流の場合。

イ(電圧の和 = 0):正答。三相対称系では常に成立。

ウ(2 線入れ替えで速度 2 倍):誤り。

 2 線を入れ替えると相順が逆になり(正相→逆相)、回転磁界の回転方向が逆転する。

 電動機は逆方向に回転(回転速度の大きさは変わらない)。逆転保護回路が重要。

エ(正相と逆相で電力が異なる):誤り。

 三相電力 P = √3 V_L I_L cosφ は電圧・電流の大きさと力率のみに依存し、

 相順(正相/逆相)によって変わらない。変わるのは回転方向のみ。

上級誤答論破・根拠規定・実務応用まで深掘り

三相交流の相順(位相順序・相序)は電動機の回転方向制御・保護継電器の設定・接地設計に深く関わる。理論的背景と実務応用を体系的に整理する。

【三相交流の位相順序(相序)】

正相順(正相・R-S-T 順):

v_R(t) = V sin(ωt)、v_S(t) = V sin(ωt - 120°)、v_T(t) = V sin(ωt - 240°)

→ R → S → T の順に電圧ピークが現れる(時計回り相序)

逆相順(逆相・R-T-S 順):

v_R(t) = V sin(ωt)、v_T(t) = V sin(ωt - 120°)、v_S(t) = V sin(ωt - 240°)

→ R → T → S の順に電圧ピーク(反時計回り相序)

日本の電力系統では正相(R-S-T)に統一されている。

【回転磁界と相序の関係】

三相誘導電動機の固定子(ステータ)に三相交流を流すと、電気角 120° ずつ配置した巻線が作る磁界が合成されて「回転磁界」になる。

正相接続:回転磁界が一方向(例:時計回り)に回転 → ローター(回転子)も同方向に回転

逆相接続(2 線入れ替え):回転磁界が逆方向(反時計回り)に回転 → ローターも逆回転

応用:

①コンベア・ポンプ・ファン:正転方向を確認してから接続

②誤って逆相接続した場合:インバータ(VFD)で正転指令を出しても逆転する

③逆相保護リレー(52R):相順を検出し、逆相の場合は接触器を開放して電動機を保護

【相序検出器(相順計)】

三相交流の相序を確認する測定器:

①電球式相順計:3 個の電球を Δ 接続し、点灯パターンで相順を判断(正相では特定の電球が明るくなる)

②デジタル相順計:クランプ測定で R-S-T の電圧ピーク順序を自動判定

③インバータの表示:多くのインバータが入力側の欠相・逆相を自動検出して警報

電気工事士の実技では、三相モーターの配線後に正転方向を確認するための「試運転と逆転判定」が重要なスキル。

【三相電力が相序に依存しない理由】

有効電力 P = √3 × V_L × I_L × cosφ

この式は電圧・電流の大きさ(絶対値)と力率(cosφ)のみで決まり、相序(位相の進む順序)には依存しない。これはエネルギーが「電圧×電流の時間積分」であり、位相順序が変わってもエネルギー変換量は同じであることに対応する。

ただし、逆相接続による影響:

①誘導電動機:逆転(機械的エネルギーの向きが逆)

②電力計(有効電力):符号は変わらない

③位相計(力率計):正相/逆相で指示が異なる場合がある(指示の向きが変わる)

【三相 3 相 4 線式の接地と保護】

三相 4 線式では中性点(N 点)を接地(B 種接地)して、各相の対地電圧を V_L/√3 に固定する。これにより:

①一相が地絡しても他相の電圧は維持される(地絡電流が明確に流れ保護継電器が検出可)

②対地電圧が明確(100V や 115V)になり絶縁設計の基準が決まる

非接地系(中性点接地なし):一相地絡時に地絡電流が微小で検出困難。船舶・病院・独立した機械設備(絶縁監視装置 GR が必要)で使われる。

【ゼロ相序成分(対称座標法)】

三相電圧を正相(正シーケンス)・逆相(逆シーケンス)・零相(ゼロシーケンス)成分に分解する方法(対称座標法):

V_a = V₁ + V₂ + V₀(正相 + 逆相 + 零相)

V_b = a²V₁ + aV₂ + V₀(a = e^(j120°) = -0.5 + j0.866)

V_c = aV₁ + a²V₂ + V₀

平衡三相(正相のみ):V₂ = V₀ = 0

一相地絡時:V₀ ≠ 0(零相電圧が発生 → 地絡継電器で検出)

逆相のみの場合:V₁ = V₀ = 0、V₂ ≠ 0

この対称座標法は電験三種「理論」の高難度問題・電力系統の保護継電器(方向性地絡継電器・逆相電流継電器)の設計理論として重要。

【電験三種への接続】

電験三種「理論」:対称三相回路・対称座標法(正相・逆相・零相)が高難度出題。「機械」:三相誘導電動機の逆相制動(プラッギング)・単相等価回路での逆相成分の扱い。「電力」:地絡事故の零相電流・保護継電器の協調。第二種電気工事士では「三相電圧の和 = 0」と「2 線入れ替えで逆転(速度変化なし)」の 2 点を確実に覚えることが基礎。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:電気技術者試験センター公表の出題範囲(第二種電気工事士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。

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