電気の基礎理論63電気の基礎理論

第二種電工 電気の基礎理論 問63:電気の基礎理論

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-12

電流 I [A] が流れる無限長の直線状導体から距離 r [m] の点に生じる磁界の強さ H [A/m] を表す式として正しいものはどれか。

  • H = 2πrI
  • H = I / (2πr)正答
  • H = πrI / 2
  • H = 2I / r
正答:H = I / (2πr)

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初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

電線(直線状導体)に電流を流すと、その周囲に磁界が発生する。電流から距離 r の点での磁界の強さ H は「アンペアの法則」から導かれ、H = I / (2πr) [A/m](正答イ)。分子が I(電流)、分母が「2πr(電線を中心とした円の周長)」という形で、電流が大きいほど磁界が強く、距離が離れるほど磁界が弱くなる関係を表す。右ネジの法則(右ねじを電流の方向に進めたとき、ネジの回る向きが磁界の向き)と組み合わせて覚えておくことが重要。

標準試験対策の基準レベル

直線状導体の周囲磁界の計算問題(アンペアの周回積分則の適用)。

【アンペアの周回積分則(アンペアの法則)】

閉じたループ C 上の磁界の強さ H の線積分 = そのループを貫く電流 I の総和

∮_C H · dl = I_enclosed

【直線状導体への適用】

電流 I が流れる無限長直線を中心とした半径 r の円(閉ループ C)を考える:

①対称性から H はループ上で大きさが一定かつ接線方向

②∮ H dl = H × 2πr(円の周長 2πr に H をかけたもの)

③∮ H dl = I(貫通電流 = I)

よって:H × 2πr = I → H = I / (2πr)(正答イ)

【各選択肢の判断】

ア(2πrI):H × 2πr = I の I と H を入れ替えた誤り

イ(I/(2πr)):正答(アンペアの法則の直線導体への正しい適用)

ウ(πrI/2):分子と分母を逆にした上に係数もおかしい

エ(2I/r):係数 1/(2π) の π を忘れた誤り

【磁束密度 B との関係】

B = μ₀ H [T](B:磁束密度、μ₀:真空の透磁率 = 4π×10⁻⁷ H/m)

直線導体の磁束密度:B = μ₀I/(2πr) = 2×10⁻⁷ × I/r [T]

【数値例】

I = 100A、r = 1m のとき:

H = 100/(2π×1) = 100/6.28 ≒ 15.9 A/m

B = 4π×10⁻⁷ × 15.9 ≒ 2×10⁻⁵ T = 20μT

上級誤答論破・根拠規定・実務応用まで深掘り

アンペアの法則は電磁気学の基礎。コイルの磁界計算・電磁力・電磁誘導への接続まで体系的に整理する。

【アンペアの周回積分則の一般形(マクスウェル方程式)】

定常電流の場合(マクスウェル方程式の積分形):

∮_C H · dl = ∫∫_S J · dS(J:電流密度 [A/m²])

微分形(ローカル表現):

rot H = J(= ∇ × H = J)

本問は単純な直線導体の問題であり、対称性を利用してアンペア則を一行で解ける。複雑な形状(トロイド・ソレノイド)でも対称性を見つけてアンペア則を適用するのが基本戦略。

【ソレノイドコイルの磁界(重要派生公式)】

N 回巻き、長さ l [m] のソレノイドコイルに電流 I が流れるとき、内部の磁界:

H = NI/l = nI(n = N/l:単位長さあたりの巻数)[A/m]

コイル外部:H ≈ 0(磁界はコイル内部に集中)

導出:コイル軸に沿った閉ループ(一部コイル内、一部コイル外)でアンペア則を適用:

∮ H·dl = H×l(内部の寄与)= N×I(N 回分の電流が貫通)

→ H = NI/l

【トロイダルコイルの磁界】

ドーナツ形(トロイド)の磁心(コア)に N 回巻いたコイルに電流 I が流れるとき、コア内部の磁界:

H = NI/(2πR)(R:トロイドの平均半径)

磁束密度:B = μH = μNI/(2πR)(μ:コアの透磁率)

磁束:Φ = B × A(A:コアの断面積)

変圧器・チョーク(チョークコイル)・インダクタがこの構造を基本とする。

【直線電流間の電磁力(アンペア力)】

同方向の電流を持つ平行導線は引き合い、逆方向は反発する。

2本の無限長平行導線間の力(距離 d、電流 I₁・I₂):

F/l = μ₀I₁I₂/(2πd) [N/m](引力 or 斥力)

SI 単位系の 1A の定義:1m 離れた 2 本の無限長平行導線に同じ電流を流したとき、各単位長さあたりに 2×10⁻⁷N の力が生じるときの電流が 1A(CGPM 1948年定義)。現在(2019年以降)は電荷量の定義 e に基づく再定義に移行。

【電磁誘導とインダクタンス】

コイルに磁束 Φ が変化すると起電力 e = -N × dΦ/dt が誘起される(ファラデーの法則)。

自己インダクタンス L:Φ = L×I/N → e = -L × dI/dt

ソレノイドコイルの自己インダクタンス:

L = μ × N² × A / l [H](μ:透磁率、A:断面積、l:長さ)

変圧器の相互インダクタンス M:

e₂ = -M × dI₁/dt(1 次電流の変化が 2 次に誘起する起電力)

【磁界の測定と実務への影響】

① 低周波磁界(50/60Hz):電力設備・送電線・配電盤の周囲に発生

 環境磁界の目安:住宅 0.1〜1μT、送電線直下 2〜20μT

 ICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)のガイドライン:一般公衆 100μT 以下(50Hz)

② 直流磁界:MRI(核磁気共鳴画像):1.5〜3T の強磁場を使用

 H = B/μ₀ = 1.5/(4π×10⁻⁷) ≒ 1.2×10⁶ A/m(本問の直線電流の約 75000 倍!)

③ アーク溶接機の磁界:溶接電流 200〜500A が数 cm 先の磁界に影響

 H = I/(2πr) = 300/(2π×0.05) ≒ 955 A/m(30cm 離れると H ≒ 159 A/m)

 ペースメーカー装着者への影響注意(磁場干渉距離 30cm 以上)

【電験三種への接続】

電験三種「理論」:電磁気の分野でアンペアの法則・ビオ=サバールの法則・ファラデーの電磁誘導則が重要問題として出題。特にソレノイド・トロイドの磁界計算、平行導線間の力が定番。「電力」:発電機・変圧器の等価回路(インダクタンス・磁束密度の設計計算)。

第二種電気工事士では H = I/(2πr) の公式(直線導体の磁界)と右ネジの法則(磁界の向き)を確実に覚えることが基礎。実際の出題では数値計算よりも「公式の選択」や「磁界の方向」を問う問題が多い。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:電気技術者試験センター公表の出題範囲(第二種電気工事士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。

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