第二種電工
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

第二種電工 電気の基礎理論 問66|磁束密度と磁界の強さの関係

問題

第二種電工 | 電気の基礎理論 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-12

磁束密度 B [T]、磁界の強さ H [A/m]、透磁率 μ [H/m] の関係式として正しいものはどれか。

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正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ

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解説

磁束密度 B(単位:T テスラ)と磁界の強さ H(単位:A/m)は透磁率 μ(単位:H/m ヘンリー毎メートル)を介して B = μH という関係で結ばれる(正答イ)。透磁率 μ が大きいほど、同じ磁界の強さ H でより強い磁束密度 B が得られる。鉄やニッケルなどの強磁性体は μ が非常に大きいため、変圧器や電動機の磁心(コア)に使われる。真空(空気)の透磁率 μ₀ = 4π×10⁻⁷ H/m が基準で、鉄の比透磁率は μ_r ≒ 数千〜数万倍にもなる。

磁束密度・磁界の強さ・透磁率の関係式を問う問題。

【基本関係式】

B = μH(正答イ)

B:磁束密度 [T = Wb/m²](磁場の「密度」)

H:磁界の強さ [A/m](磁場を作る「源」)

μ:透磁率 [H/m](媒質の磁気的通しやすさ)

【透磁率 μ の分解】

μ = μ₀ × μ_r

μ₀:真空の透磁率 = 4π×10⁻⁷ ≒ 1.257×10⁻⁶ H/m(定数)

μ_r:比透磁率(媒質固有の定数、真空では μ_r = 1)

【各媒質の比透磁率 μ_r の目安】

媒質μ_r
真空・空気1.0
アルミニウム・銅≒1
ニッケル数百〜数千
鉄(軟鉄)数千
ケイ素鋼板(電磁鋼板)数千〜数万
パーマロイ数万〜10 万

【各選択肢の判定】

ア(B = H/μ):誤り。μ で割り算(B と H の大小関係が逆)

イ(B = μH):正答

ウ(B = μ+H):誤り。足し算は意味をなさない(単位が異なる)

エ(H = μB²):誤り。B² や μ との積は誤った関係式

【磁束 Φ との関係】

Φ = B × A(A:断面積 [m²])

∴ Φ = μHA [Wb]

B = μH の関係は磁気回路設計・変圧器鉄心設計・永久磁石選定の基礎。磁気ヒステリシス・磁気回路のオームの法則・実務設計への接続まで体系的に整理する。

【B = μH の物理的意味】

磁場(H)は電流や永久磁石が「磁気的に作用する空間を作る源」であり、アンペアの法則で決まる量(単位 A/m)。磁束密度(B)はその磁場が媒質(空気・鉄など)を通じて実際に発生させる「磁束の密度」。媒質の通しやすさを表す透磁率 μ が変換係数になる。

電気回路のアナロジー:

  • E(電場)→ H(磁界):場を作る「原因」
  • D(電束密度)→ B(磁束密度):媒質を通じた「結果」
  • ε(誘電率)→ μ(透磁率):媒質の特性

D = εE(電気変位と電場)が電気系の対応式。

【磁気ヒステリシス(B-H 曲線)】

強磁性体(鉄・ニッケルなど)では μ_r が H の強さによって変化する(非線形)。

B-H カーブ(ヒステリシスループ):

①H を増加させると B が増加(磁化)

②H をゼロに戻しても B はゼロに戻らない(残留磁束密度 B_r)

③負の H をかけると B がゼロになる(保磁力 H_c)

④さらに負の H で負の最大 B(逆磁化)

⑤ループを 1 周する際の面積 = ヒステリシス損失(エネルギー損失)

変圧器・電動機の鉄損(鉄心での損失):

鉄損 = ヒステリシス損 + 渦電流損

  • ヒステリシス損:P_h = k_h × f × B_max^1.6 [W/m³](Steinmetz の公式)
  • 渦電流損:P_e = k_e × f² × B_max² × t² [W/m³](t:板厚)

渦電流損を減らすため、変圧器の鉄心はケイ素鋼板(0.23〜0.35mm 厚)を積層して使用(板厚 t を薄くして渦電流経路を断つ)。

【磁気回路のオームの法則(磁気回路の解析)】

電気回路が R=ρL/A・V=IR(電気抵抗・オームの法則)で解析できるように、磁気回路も同様の法則(アナロジー)で解析できる:

磁気回路の「オームの法則」:Φ = NI / R_m

Φ:磁束 [Wb]

NI:起磁力(MMF:Magnetomotive Force)[A]

R_m:磁気抵抗(リラクタンス)[A/Wb = H⁻¹] = l/(μA)(l:磁路長、A:断面積)

本問との接続:

B = μH → H = B/μ

起磁力 = H × l = NI → B = μ × NI/l = μNI/l

磁束 Φ = B×A = μNIA/l = NI/(l/(μA)) = NI/R_m ✓(磁気回路のオームの法則)

【変圧器鉄心設計への応用】

変圧器の鉄心(コア)設計では、最大磁束密度 B_max を適切な値(ケイ素鋼板で 1.5〜1.7T 程度)に設定する。

B_max が大きすぎると:

①磁気飽和 → μ_r が急激に低下 → 磁化電流(励磁電流)が急増 → 力率悪化

②ヒステリシス損・渦電流損の増大(鉄損増加 → 発熱)

B_max が小さすぎると:

③必要な鉄心断面積 A が増大(コアが大きく・重くなる)

④材料コスト増大

最適設計では巻数 N・鉄心断面積 A・最大磁束密度 B_max のバランスを取る:

E_rms = 4.44 × f × N × B_max × A(変圧器の起電力公式)

【永久磁石の設計(B-H 第 2 象限の特性)】

永久磁石の性能は B-H 曲線の「第 2 象限」(負の H で正の B)の特性で評価:

①残留磁束密度 B_r:外部磁界ゼロでも保持できる磁束密度

②保磁力 H_c:磁化をゼロにするのに必要な逆方向磁界

③最大エネルギー積 (BH)_max:「磁石の強さ」の総合指標 [kJ/m³]

材料別 (BH)_max:

アルニコ:10〜40 kJ/m³(古い素材、耐熱性高)

フェライト:10〜40 kJ/m³(安価・酸化物)

SmCo(サマリウムコバルト):150〜240 kJ/m³(高性能・高価)

NdFeB(ネオジム):200〜450 kJ/m³(最高性能・電動車・ハードディスク)

NdFeB の B_r ≒ 1.2〜1.4T、H_c ≒ 800〜1200 kA/m(空気(μ₀)の B=μ₀H と比べて圧倒的に強い)

【電験三種への接続】

電験三種「理論」:B = μH・磁気回路の解析(磁気抵抗・起磁力)・B-H カーブと磁気ヒステリシスが重要問題。「機械」:変圧器の鉄損計算(ヒステリシス損・渦電流損)・誘導電動機の磁束設計・永久磁石モーターの設計。「電力」:電力ケーブルの絶縁体誘電率(D=εE との対比)。第二種電気工事士では B = μH の式と各変数の意味(B=磁束密度・H=磁界・μ=透磁率)を確実に記憶することが基礎。

この問題の根拠出典:電気技術者試験センター公表の出題範囲(第二種電気工事士試験)を参照した合格ナビ独自作成
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:電気技術者試験センター公表の出題範囲(第二種電気工事士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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