第二種電工 電気の基礎理論 問66:電気の基礎理論
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-12)
磁束密度 B [T]、磁界の強さ H [A/m]、透磁率 μ [H/m] の関係式として正しいものはどれか。
- アB = H / μ
- イB = μH正答
- ウB = μ + H
- エH = μB²
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠(電気設備技術基準・内線規程・電気工事士法・電気用品安全法)も明記。
磁束密度 B(単位:T テスラ)と磁界の強さ H(単位:A/m)は透磁率 μ(単位:H/m ヘンリー毎メートル)を介して B = μH という関係で結ばれる(正答イ)。透磁率 μ が大きいほど、同じ磁界の強さ H でより強い磁束密度 B が得られる。鉄やニッケルなどの強磁性体は μ が非常に大きいため、変圧器や電動機の磁心(コア)に使われる。真空(空気)の透磁率 μ₀ = 4π×10⁻⁷ H/m が基準で、鉄の比透磁率は μ_r ≒ 数千〜数万倍にもなる。
磁束密度・磁界の強さ・透磁率の関係式を問う問題。
【基本関係式】
B = μH(正答イ)
B:磁束密度 [T = Wb/m²](磁場の「密度」)
H:磁界の強さ [A/m](磁場を作る「源」)
μ:透磁率 [H/m](媒質の磁気的通しやすさ)
【透磁率 μ の分解】
μ = μ₀ × μ_r
μ₀:真空の透磁率 = 4π×10⁻⁷ ≒ 1.257×10⁻⁶ H/m(定数)
μ_r:比透磁率(媒質固有の定数、真空では μ_r = 1)
【各媒質の比透磁率 μ_r の目安】
| 媒質 | μ_r |
|---|---|
| 真空・空気 | 1.0 |
| アルミニウム・銅 | ≒1 |
| ニッケル | 数百〜数千 |
| 鉄(軟鉄) | 数千 |
| ケイ素鋼板(電磁鋼板)| 数千〜数万 |
| パーマロイ | 数万〜10 万 |
【各選択肢の判定】
ア(B = H/μ):誤り。μ で割り算(B と H の大小関係が逆)
イ(B = μH):正答
ウ(B = μ+H):誤り。足し算は意味をなさない(単位が異なる)
エ(H = μB²):誤り。B² や μ との積は誤った関係式
【磁束 Φ との関係】
Φ = B × A(A:断面積 [m²])
∴ Φ = μHA [Wb]
B = μH の関係は磁気回路設計・変圧器鉄心設計・永久磁石選定の基礎。磁気ヒステリシス・磁気回路のオームの法則・実務設計への接続まで体系的に整理する。
【B = μH の物理的意味】
磁場(H)は電流や永久磁石が「磁気的に作用する空間を作る源」であり、アンペアの法則で決まる量(単位 A/m)。磁束密度(B)はその磁場が媒質(空気・鉄など)を通じて実際に発生させる「磁束の密度」。媒質の通しやすさを表す透磁率 μ が変換係数になる。
電気回路のアナロジー:
- E(電場)→ H(磁界):場を作る「原因」
- D(電束密度)→ B(磁束密度):媒質を通じた「結果」
- ε(誘電率)→ μ(透磁率):媒質の特性
D = εE(電気変位と電場)が電気系の対応式。
【磁気ヒステリシス(B-H 曲線)】
強磁性体(鉄・ニッケルなど)では μ_r が H の強さによって変化する(非線形)。
B-H カーブ(ヒステリシスループ):
①H を増加させると B が増加(磁化)
②H をゼロに戻しても B はゼロに戻らない(残留磁束密度 B_r)
③負の H をかけると B がゼロになる(保磁力 H_c)
④さらに負の H で負の最大 B(逆磁化)
⑤ループを 1 周する際の面積 = ヒステリシス損失(エネルギー損失)
変圧器・電動機の鉄損(鉄心での損失):
鉄損 = ヒステリシス損 + 渦電流損
- ヒステリシス損:P_h = k_h × f × B_max^1.6 [W/m³](Steinmetz の公式)
- 渦電流損:P_e = k_e × f² × B_max² × t² [W/m³](t:板厚)
渦電流損を減らすため、変圧器の鉄心はケイ素鋼板(0.23〜0.35mm 厚)を積層して使用(板厚 t を薄くして渦電流経路を断つ)。
【磁気回路のオームの法則(磁気回路の解析)】
電気回路が R=ρL/A・V=IR(電気抵抗・オームの法則)で解析できるように、磁気回路も同様の法則(アナロジー)で解析できる:
磁気回路の「オームの法則」:Φ = NI / R_m
Φ:磁束 [Wb]
NI:起磁力(MMF:Magnetomotive Force)[A]
R_m:磁気抵抗(リラクタンス)[A/Wb = H⁻¹] = l/(μA)(l:磁路長、A:断面積)
本問との接続:
B = μH → H = B/μ
起磁力 = H × l = NI → B = μ × NI/l = μNI/l
磁束 Φ = B×A = μNIA/l = NI/(l/(μA)) = NI/R_m ✓(磁気回路のオームの法則)
【変圧器鉄心設計への応用】
変圧器の鉄心(コア)設計では、最大磁束密度 B_max を適切な値(ケイ素鋼板で 1.5〜1.7T 程度)に設定する。
B_max が大きすぎると:
①磁気飽和 → μ_r が急激に低下 → 磁化電流(励磁電流)が急増 → 力率悪化
②ヒステリシス損・渦電流損の増大(鉄損増加 → 発熱)
B_max が小さすぎると:
③必要な鉄心断面積 A が増大(コアが大きく・重くなる)
④材料コスト増大
最適設計では巻数 N・鉄心断面積 A・最大磁束密度 B_max のバランスを取る:
E_rms = 4.44 × f × N × B_max × A(変圧器の起電力公式)
【永久磁石の設計(B-H 第 2 象限の特性)】
永久磁石の性能は B-H 曲線の「第 2 象限」(負の H で正の B)の特性で評価:
①残留磁束密度 B_r:外部磁界ゼロでも保持できる磁束密度
②保磁力 H_c:磁化をゼロにするのに必要な逆方向磁界
③最大エネルギー積 (BH)_max:「磁石の強さ」の総合指標 [kJ/m³]
材料別 (BH)_max:
アルニコ:10〜40 kJ/m³(古い素材、耐熱性高)
フェライト:10〜40 kJ/m³(安価・酸化物)
SmCo(サマリウムコバルト):150〜240 kJ/m³(高性能・高価)
NdFeB(ネオジム):200〜450 kJ/m³(最高性能・電動車・ハードディスク)
NdFeB の B_r ≒ 1.2〜1.4T、H_c ≒ 800〜1200 kA/m(空気(μ₀)の B=μ₀H と比べて圧倒的に強い)
【電験三種への接続】
電験三種「理論」:B = μH・磁気回路の解析(磁気抵抗・起磁力)・B-H カーブと磁気ヒステリシスが重要問題。「機械」:変圧器の鉄損計算(ヒステリシス損・渦電流損)・誘導電動機の磁束設計・永久磁石モーターの設計。「電力」:電力ケーブルの絶縁体誘電率(D=εE との対比)。第二種電気工事士では B = μH の式と各変数の意味(B=磁束密度・H=磁界・μ=透磁率)を確実に記憶することが基礎。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:電気技術者試験センター公表の出題範囲(第二種電気工事士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。