電気の基礎理論70電気の基礎理論

第二種電工 電気の基礎理論 問70:電気の基礎理論

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-12

コイルの巻数が 500 回で、0.6A の電流を流したとき発生する起磁力 [A(アンペア)] として正しいものはどれか。

  • 30
  • 200
  • 300正答
  • 3 000
正答:300

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初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

起磁力(Magnetomotive Force:MMF)はコイルが磁気回路に与える「磁気の原動力」で、公式は MMF = N × I(巻数 × 電流)。N = 500 回、I = 0.6A を代入して MMF = 500 × 0.6 = 300A(正答ウ)。単位は「アンペア [A]」で「アンペア巻き [A·turn]」と表現することもある。変圧器や電磁石の設計では「起磁力が大きいほど強い磁束を発生させられる」が、磁気回路の磁気抵抗(リラクタンス)によって実際の磁束が決まる。起磁力は電気回路の「電圧」に対応する磁気回路の類比量。

標準試験対策の基準レベル

起磁力の計算と磁気回路の基本を整理する。

【起磁力の公式】

F_m = N × I [A](アンペアまたは A·turn)

N:巻数 [回]、I:電流 [A]

【本問の計算】

N = 500 回、I = 0.6A

F_m = 500 × 0.6 = 300A(正答ウ)

【誤答分析】

ア(30):500 × 0.06(I を 1 桁少なく誤計算)

イ(200):500 - 300 = 200 や別の誤計算

ウ(300):正答

エ(3000):500 × 6(I を 1 桁多く誤計算)

【磁気回路のオームの法則との接続】

Φ = F_m / R_m = NI / R_m [Wb]

Φ:磁束 [Wb]

R_m = l/(μA):磁気抵抗(リラクタンス)[A/Wb]

(l:磁路長 [m]、μ:透磁率 [H/m]、A:磁心断面積 [m²])

電気回路のアナロジー:

起磁力 F_m(=NI)↔ 起電力 E(電圧)

磁束 Φ ↔ 電流 I

磁気抵抗 R_m ↔ 電気抵抗 R

【磁界の強さ H との関係】

H = F_m / l = NI / l [A/m](ソレノイドの場合・l:コイル長)

アンペアの法則:∮ H·dl = NI(閉ループを一周した磁界の積分 = 起磁力)

上級誤答論破・根拠規定・実務応用まで深掘り

起磁力は磁気回路設計・変圧器設計・電磁石設計の根幹。磁気回路のオームの法則・ギャップ付き磁気回路・変圧器の等価回路への接続まで体系的に整理する。

【磁気回路のオームの法則(詳細)】

電気回路:V = IR(電圧 = 電流 × 抵抗)

磁気回路:F_m = Φ × R_m(起磁力 = 磁束 × 磁気抵抗)

磁気抵抗(リラクタンス):

R_m = l / (μ × A) = l / (μ₀ × μ_r × A) [A/Wb]

l:磁路長 [m]

μ:透磁率(μ = μ₀ × μ_r)

A:磁心断面積 [m²]

磁気コンダクタンス(パーミアンス):P_m = 1/R_m = μA/l [Wb/A]

【ギャップ付き磁気回路の解析】

変圧器・電動機の磁気回路には鉄心(高μ)の中にエアギャップ(低μ)が含まれる。

鉄心部分の磁気抵抗:R_iron = l_iron/(μ₀ μ_r A)(μ_r が大きいため小さい)

エアギャップの磁気抵抗:R_gap = l_gap/(μ₀ × 1 × A)(μ_r = 1 で大きい)

直列磁気回路の全磁気抵抗:R_total = R_iron + R_gap

典型例:μ_r = 5000 の鉄心(l_iron = 0.5m)+ エアギャップ(l_gap = 1mm = 10⁻³m)の場合:

R_iron = 0.5/(μ₀ × 5000 × A)、R_gap = 10⁻³/(μ₀ × 1 × A)

比較:R_gap/R_iron = (10⁻³ / 1) / (0.5 / 5000) = 10⁻³ × 5000 / 0.5 = 10

→ 1mm のギャップの磁気抵抗が 500mm の鉄心の 10 倍(!)

エアギャップが支配的であることが多く、電動機の鉄心設計で「ギャップをいかに小さくするか」が重要課題。

【本問への磁気回路設計の適用】

本問:N = 500、I = 0.6A → F_m = 300A

もし磁路長 l = 0.3m、断面積 A = 10cm² = 10⁻²m²、μ_r = 3000 の鉄心を使う場合:

R_m = 0.3/(4π×10⁻⁷ × 3000 × 10⁻²) = 0.3/(3.77×10⁻⁶ × 3000 × 10⁻²) = 0.3/(1.131×10⁻⁴) ≒ 2653 A/Wb

磁束 Φ = F_m/R_m = 300/2653 ≒ 0.113 Wb

磁束密度 B = Φ/A = 0.113/10⁻² = 11.3 T

→ B = 11.3T は現実の鉄心(飽和磁束密度 1.5〜2.0T)を大幅に超えるため、実際には μ_r が激減して磁気飽和する。設計上は B ≦ 1.5T 程度を目標にする。

【変圧器の励磁電流と起磁力】

変圧器の磁気回路:

1 次コイル(N₁ 回)に電流 I_m を流して磁束 Φ を作る

起磁力 F_m = N₁ × I_m = H × l(磁路長)

磁束密度 B = F_m × μ/l = N₁I_m × μ/l

変圧器の励磁電流 I_m(无負荷電流の主成分):

I_m = H × l / N₁ = B × l / (μ × N₁) ← これが「励磁電流」

変圧器の「励磁電流が小さいほど良い」の意味:

I_m が小さい = 少ない電流で必要な磁束を作れる = μ_r が大きい = 高品質な鉄心

省エネ変圧器(低損失変圧器):アモルファス金属(非晶質金属)鉄心を使用してヒステリシス損・渦電流損を削減。励磁電流も大幅に低減。

【電磁石の吸着力計算】

電磁石(U 字形鉄心 + コイル)が鉄板(対象物)を引き付ける力 F_attract:

F_attract = B² × A / (2μ₀) [N]

(B:ギャップの磁束密度、A:断面積)

本問で B = 0.5T、A = 10cm² = 10⁻²m² の場合:

F_attract = (0.5)² × 10⁻² / (2×4π×10⁻⁷) = 0.25×10⁻² / (8π×10⁻⁷) = 2.5×10⁻³ / (2.513×10⁻⁶) ≒ 995N ≈ 1kN(約 100kgf)

電磁石リフター(工場の鉄板搬送用):数百 N〜数万 N の吸着力。起磁力(NI)と磁束密度(B)の最適化が設計の核心。

【電験三種への接続】

電験三種「理論」:磁気回路のオームの法則(F_m = Φ×R_m)・ギャップ付き磁気回路の解析・起磁力・磁束密度・磁気エネルギーが重要問題。「機械」:変圧器の励磁電流・等価回路・鉄損計算、誘導電動機の磁気回路設計(エアギャップ・鉄心設計)。「電力」:変圧器の選定・鉄損と銅損のバランス(最大効率条件)。

第二種電気工事士では F_m = NI の計算と「起磁力は磁気回路の電圧に相当する」というアナロジーを確実に理解することが基礎。変圧器・電動機の動作原理を「電気回路と磁気回路の双対性」で捉えることが上位資格への土台になる。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:電気技術者試験センター公表の出題範囲(第二種電気工事士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-06-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。

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