管業 民法・区分所有法 問1:民法総則
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
マンションの一室を所有するAが、売却する意思がないのに、友人Bに対して冗談で「この部屋を1,000万円で売る」と言い、BがAの真意を知り、又は知ることができたにもかかわらず承諾した。この場合の意思表示の効力に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- アAの意思表示は、Bが真意でないことを知り、又は知ることができたときは、無効となる。正答
- イAの意思表示は、Aの真意ではないことをBが知っていたかどうかにかかわらず、常に有効である。
- ウAの意思表示は、たとえBが善意無過失であっても、Aの内心の意思が優先され無効となる。
- エAの意思表示は、錯誤による意思表示として取り消すことができる。
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これは「心裡留保(しんりりゅうほ)」という民法の論点です。心裡留保とは、本心ではないのにわざと嘘の意思表示をすることです。原則として、嘘でも言った以上は有効(言葉どおりの責任を負う)が出発点です。ただし、相手がその嘘を見抜いていた、または少し注意すれば見抜けた場合は、相手を守る必要がないので無効になります。本問では、Bが冗談だと知っていた(または知ることができた)ので、Aの意思表示は無効です。よって正答はアです。
心裡留保とは、表意者が真意ではないことを自分で知りながら行う意思表示をいいます(民法93条1項)。原則として心裡留保による意思表示は有効です。これは、内心はどうあれ表示を信頼した相手方を保護するためです(表示主義)。しかし、相手方が表意者の真意でないことを知り(悪意)、又は知ることができた(善意有過失)ときは、その意思表示は無効となります(同項ただし書)。本問では、BはAの真意を「知り、又は知ることができた」とあるため、ただし書が適用され、Aの意思表示は無効です。したがってアが正答です。イは原則のみを述べ例外を無視しており誤り、ウは相手方が善意無過失なら有効である点で誤り、エは心裡留保を錯誤と混同しており誤りです。
心裡留保(民法93条)は、表意者が表示と内心の不一致を自覚している点で、自覚のない錯誤(同95条)と区別されます。93条1項本文は「意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない」として、原則有効を定めます。これは取引の安全と表示への信頼保護(表示主義)に基づきます。同項ただし書は「相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする」と規定し、悪意・善意有過失の相手方を保護対象から外します。本問のBは真意を知り又は知り得たため、ただし書により無効です。さらに93条2項は、この無効を「善意の第三者に対抗することができない」とし、心裡留保無効を信頼した第三者を保護します。マンション管理の実務では、総会での発言や役員間のやり取りで「冗談のつもり」が問題化することがあり、心裡留保と錯誤・虚偽表示(94条)の区別は頻出論点です。なお選択肢エの錯誤取消し(95条)は、表意者が不一致に気づいていない場合の制度であり、自覚的な心裡留保とは適用場面が異なります。改正民法(2020年4月施行)で錯誤の効果が「無効」から「取消し」に変更された点とあわせて整理しておくとよいでしょう。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理業協会公表の出題範囲(管理業務主任者試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 マンション管理業協会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / マンション管理適正化法・区分所有法・標準管理委託契約書・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。