問題
マンションの駐車場区画について、区分所有者Aが「自分のものだ」と信じて15年間継続して占有してきたが、その区画は実際には管理組合の共用部分であった。この場合の取得時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
キーボード:1〜4で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
取得時効とは、一定期間、他人の物を自分のものとして占有し続けることで所有権を取得できる制度です。民法では、善意無過失なら10年、悪意または有過失なら20年の占有で時効が完成します(民法162条)。ただし、時効は「完成したら自動的に権利が移る」わけではなく、当事者が「時効の援用(えんよう)」、つまり「時効の利益を受けます」と主張して初めて効果が生じます(145条)。本問ではAが援用しなければ所有権取得にならないため、正答はウです。
取得時効の成立要件は民法162条に定められています。善意無過失の占有であれば10年(同条2項)、悪意または有過失であれば20年(同条1項)です。アは誤りです。所有の意思をもって平穏かつ公然に占有し、占有の開始の時に善意無過失であれば、10年で取得時効が完成します(162条2項)。イは「悪意の場合取得不可」としていますが、20年の長期時効が適用されるにすぎず誤りです。エは時効完成後の第三者との対抗問題で、時効完成後に登場した第三者に対しては登記が必要(判例・通説)とされており「登記なしに対抗できる」は誤りです。ウの「援用なければ効果なし」が145条の規定を正確に示しており正答です。
取得時効の法的性質と援用については、民法145条が「時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない」と定め、援用主義を採用しています。援用があって初めて時効の効果が確定し、その効力は起算日にさかのぼります(144条)。取得時効完成後の第三者との関係については、判例は、時効完成後に登場した第三者には登記がなければ対抗できない(最判昭和33年8月28日)とし、時効完成前に登場した第三者に対しては登記なしに対抗できる(最判昭和41年11月22日)としています。これは時効完成前の段階では占有という事実状態が第三者に対しても対抗力を持ち得るのに対し、完成後は既存権利者と取得時効者の対抗問題になるためです。マンションの共用部分は区分所有者全員の共有(区分所有法11条)であり、個人による取得時効の主張が認められると共用部分の管理に支障が生じます。実務上は管理組合が共用部分の占有を明確に管理し、無断占有を早期に是正することがリスク管理上重要です。規約で特定の区分所有者に共用部分の専用使用権を認めたり、駐車場の使用契約を結んだりすることはできますが、これは所有権の移転とは別の問題です。
- 民法第162条・第145条e-Govで原文を読む
- 建物の区分所有等に関する法律第11条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理業協会公表の出題範囲(管理業務主任者試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 マンション管理業協会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。マンション管理適正化法・区分所有法・標準管理委託契約書・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

