管業 民法・区分所有法 問7:民法総則
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
マンションの購入希望者Aは、「この物件は将来、近隣に大型商業施設が建設される予定がある」という情報を信じてマンションの1室を購入した。しかし実際にはそのような計画は存在せず、Aは高値での購入を余儀なくされた。Aが売主Bに対して錯誤による取消しを主張する場合について、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- アAの錯誤は動機の錯誤であるため、その動機をAがBに表示し、かつ錯誤が法律行為の目的・取引上の社会通念に照らして重要であれば取消しの対象となる。正答
- イAの錯誤は意思表示の内容に関する錯誤であり、重大な過失がなければ当然に取り消すことができる。
- ウAに重大な過失があった場合、相手方が悪意または重大な過失があったとしても、錯誤の取消しを主張できない。
- エ錯誤による意思表示の取消しは、第三者が善意であれば、善意有過失の第三者にも対抗することができない。
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「動機の錯誤」とは、「なぜその契約をしたか」という動機部分(商業施設ができるから買う等)が間違っていた場合の錯誤です。原則として動機は意思表示の内容ではないため、錯誤にはなりません。しかし、その動機を相手方に表示し、かつ重要な錯誤と認められる場合は取消しができます(民法95条1項2号)。本問ではAが「商業施設計画」という動機をBに表示していたかどうかが鍵になります。よって正答はアです。
2017年改正民法(2020年施行)で錯誤の効果が「無効」から「取消し」に変更され、動機の錯誤も明文化されました(95条1項2号)。同号は「表意者が法律行為の基礎とした事情についての認識が真実に反する錯誤」であって「その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたとき」に取消しを認めます。イは「意思表示の内容に関する錯誤」(95条1項1号)として扱っていますが、本問は動機の錯誤に該当するため誤りです。ウは「重大な過失がある場合は取消し不可」が原則ですが、95条3項各号により「相手方が悪意または重大な過失を有するとき」等は取消しが可能であり、ウは例外を無視しているため誤りです。エの第三者保護は95条4項で「善意でかつ過失がない第三者に対抗できない」と規定されており「善意有過失の第三者には対抗できる」ため、エも誤りです。アが動機の錯誤の要件を正確に示しており正答です。
錯誤(民法95条)は2017年改正で大幅に改正されました。改正前は「法律行為の要素の錯誤は無効」(旧95条本文)とされていましたが、改正後は取消し制度に統一されています。現行95条1項は二類型を設け、1号が「意思表示に対応する意思を欠く錯誤」(いわゆる表示の錯誤)、2号が「表意者が法律行為の基礎とした事情についての認識が真実に反する錯誤」(動機の錯誤)を規定します。動機の錯誤は95条2項で「その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り」取消しの対象となります。重大な過失がある表意者の取消権制限(95条3項)は、相手方が悪意または重大な過失を有する場合と、相手方が同一の錯誤に陥っていた場合には適用されない(95条3項各号)とする例外が設けられており、ウの「相手方が悪意でも取消し不可」は明確な誤りです。本問のような「不動産取引における近隣開発情報」の事案は実務でも頻出で、売主が虚偽情報を提供したか否かによっては詐欺(96条)との競合も問題になります。マンション管理業者が顧客に対して物件説明時に不正確な情報を提供した場合、宅地建物取引業法35条の重要事項説明義務違反のみならず、民法上の詐欺・錯誤による取消しの問題が生じることも理解が必要です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理業協会公表の出題範囲(管理業務主任者試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 マンション管理業協会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / マンション管理適正化法・区分所有法・標準管理委託契約書・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。