問題
マンション管理組合の理事長Aが、管理会社Bとの間で管理委託契約を締結する場面において、代理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
自信の3択
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解説
代理の「顕名」とは、代理人が「本人のために」行動していることを相手方に明示することです。「管理組合理事長A」という記載は、管理組合(本人)のために理事長A(代理人)が行動していることを示しており、顕名の要件を満たします。越権行為(権限外の行為)は本人が追認すれば有効になります。任意代理人は、本人の許諾かやむを得ない事由がなければ復代理人を選任できません。代理人が自分や第三者の利益を図るために代理権を使う「代理権の濫用」(民法107条)では、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは本人は保護されます。よって正答はアです。
民法99条1項は「代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる」と規定します。顕名(本人のためにすることの表示)は、「管理組合理事長A」のように本人名+代理人の肩書の記載で足ります。アが正答です。イについて、権限外行為(無権代理)は本人に効果が帰属しませんが、民法113条1項により本人の追認によって有効になるため誤り。ウについて、民法104条は「委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない」と規定しており、自由に選任できるとするウは誤りです。エについて、民法107条(代理権の濫用)は「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす」と規定しており、悪意の相手方との関係では無権代理として扱われ、管理組合は効果の帰属を否定できます。エは誤り。
代理制度はマンション管理士試験で管理組合の意思決定・契約締結場面と絡めて出題されます。顕名(民法99条1項)は「本人のためにすることを示す」ことで足り、「管理組合代理人理事長A」でなく「管理組合理事長A」という肩書記載でも要件を満たすと解されています。ただし顕名を欠いた場合、民法100条本文により代理人自身のためにしたものとみなされ、同条ただし書で相手方が本人のためにすることを知り又は知ることができた場合は本人に効果帰属します。復代理について、任意代理人(委任による代理人)は「本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるとき」でなければ復代理人を選任できません(民法104条)。2020年改正で、任意代理人の復代理人の選任・監督についての責任を定めていた旧105条は削除され、任意代理人の責任は委任契約上の債務不履行の一般原則で判断されることになりました。法定代理人は自己の責任で復代理人を選任でき、やむを得ない事由があるときは選任及び監督についての責任のみを負います(現行105条)。代理権の濫用(民法107条)は2020年改正で明文化されました。改正前は明文の規定がなく判例によって処理されていましたが、改正後は107条が直接適用されます。相手方がその目的を「知り、又は知ることができた」場合に、行為を代理権を有しない者がした行為とみなすため、善意かつ無過失の相手方は保護されます。管理組合実務では、理事長が総会の議決なく大規模修繕契約を締結した場合(権限外行為・民法113条)や、理事長が業者と癒着して不当に高額な契約を結んだ場合(代理権濫用・民法107条)が典型論点です。ただし区分所有法上の管理者の代理権に加えた制限は善意の第三者に対抗できない(区分所有法26条3項)点にも注意が必要です。追認又はその拒絶は相手方に対してしなければ、相手方がその事実を知ったときを除き対抗できず(113条2項)、相手方は本人への催告(114条)・取消し(115条本文)も可能です。なお表見代理(民法109条・110条・112条)は「権限があるように見えた」外観への信頼保護であり、相手方が善意無過失の場合に本人への効果帰属を認める制度です。
- 民法第107条・第99条・第113条・第104条・第100条・第109条e-Govで原文を読む
- 建物の区分所有等に関する法律第26条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理センター公表の出題範囲(マンション管理士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。マンション管理適正化法・区分所有法・建替え円滑化法・標準管理規約・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

