マン管 民法・区分所有法 問5:民法総則
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
マンション管理組合が業者と締結した契約の無効・取消に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- ア無効な契約は、当事者が追認しても、原則として有効な契約となることはない。
- イ取消しができる契約は、取消権者が追認すれば以後取り消すことができなくなり、追認は取消しの原因が消滅した後にする必要がある。
- ウ取り消された契約は初めから無効であったものとみなされ、双方が原状回復義務を負うが、意思無能力者の側の返還義務は現存利益の限度に限られる。
- エ錯誤による取消しの場合、錯誤に重大な過失があった表意者は、相手方が悪意または重過失であっても取消しを主張できない。正答
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無効な契約は追認しても有効にはなりません(ア:正しい)。取消せる契約は追認すると以後取消不可になり、原因消滅後に追認が必要です(イ:正しい)。取り消すと最初から無効になり、原状回復が必要です(ウ:正しい)。錯誤の取消について、エは「悪意または重過失の相手方に対してでも主張できない」と言っていますが、2020年改正民法95条3項ただし書きにより、相手方が悪意または重過失の場合は重大な過失ある表意者も取消を主張できます。よってエが誤りで正答です。
2020年改正民法は錯誤を「無効」から「取消」に変更し、民法95条3項で「錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合」の取消制限を定めました。具体的には、①相手方が同一の錯誤に陥っていた場合、②相手方が表意者の錯誤を知り又は重大な過失によって知らなかった場合(悪意・重過失)には、重大な過失ある表意者も取消を主張できます。エは「悪意または重過失の相手方に対しても主張できない」としており誤り。正しくは「主張できる」です。アについて、民法119条本文は「無効な行為は追認によっても効力を生じない」と規定しており正しい(同条ただし書きで当事者が無効を知った上で追認すれば新たな行為とみなす例外あり)。イについて、民法124条1項は「追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければならない」と規定し、正しい。ウについて、民法121条の2第1項は原状回復義務を定め、同条第3項で「意思無能力者及び制限行為能力者の返還義務は現存利益に限る」と規定しており正しい。
無効・取消制度は2020年改正民法で大幅に整備されました。改正の最重要点は①錯誤の取消化(旧法は無効・改正後は取消)、②意思無能力の明文化(民法3条の2)、③原状回復義務の整理(民法121条の2)です。マン管試験では管理組合の契約締結場面や区分所有者の法律行為との関連で出題されます。無効は当初から効力が生じず、追認によっても原則治癒しません(民法119条)。ただし同条ただし書きで「当事者が無効を知って追認した場合は新行為とみなす」という例外があり、実務上は「契約やり直し」に相当します。取消(民法120条〜126条)は取消権者(①制限行為能力者(未成年・成年被後見人・被保佐人・被補助人)、②詐欺・強迫を受けた者)が行使することで遡及的に無効となります(民法121条)。追認(民法122条)は取消原因消滅後(能力回復・詐欺発覚等)に取消権者が行うことで確定的に有効になります。取消権の行使期間は「追認できる時から5年、行為の時から20年」(民法126条)。改正民法95条(錯誤)の実務論点として重要なのは、①動機の錯誤の要件(相手方に動機を示していた場合に限り取消可・同条1項2号)、②重大な過失の取扱い(原則取消不可・例外あり・同条3項)です。管理組合が業者の誘引により工事内容を誤解して契約した場合(動機の錯誤+業者の欺罔=詐欺との競合)は実務でも問題になります。なお詐欺・強迫(民法96条)について、第三者による詐欺は「相手方が知り又は知ることができた場合」のみ取消可(同条2項)、善意無過失の第三者には対抗不可(同条3項)という制限があります。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:マンション管理センター公表の出題範囲(マンション管理士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / マンション管理適正化法・区分所有法・建替え円滑化法・標準管理規約・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。