健康保険法3健康保険法

社労士 健康保険法 問3:健康保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-07

健康保険における傷病手当金に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 傷病手当金の1日あたりの支給額は、支給開始日以前の直近12か月の各標準報酬月額を平均した額を30で除した額(標準報酬日額)の3分の2に相当する額である。ただし、報酬の全部または一部が支払われる場合は、その期間、報酬との差額が支給される。正答
  • 傷病手当金の支給期間は、同一の疾病または負傷またはこれらに起因する疾病について、支給を開始した日から通算して1年6か月であり、平成28年(2016年)4月の改正によりこの通算化が導入された。
  • 傷病手当金は、疾病または負傷のため被保険者が仕事に就くことができない状態が3日間継続した場合(待期の完成)に、その翌日(4日目)から支給が開始される。なお、3日間は有給・無給を問わず、また公休日も含めて継続3日であることが必要である。
  • 傷病手当金の受給中に、一部就労(短時間勤務)が可能であった場合には、たとえ報酬が一切支払われなくても傷病手当金は支給されない。労務不能の判断は被保険者が自己申告するのではなく、医師の意見書に基づいて保険者が最終的に判断する。
  • 資格喪失後に傷病手当金の継続給付を受けるためには、資格喪失の前日まで継続して1年以上被保険者であったこと、かつ資格喪失前に傷病手当金を受給していたこと(または受給できる状態であったこと)が必要であるが、任意継続被保険者の期間は継続1年以上の算定に含まれる。
正答:傷病手当金の1日あたりの支給額は、支給開始日以前の直近12か月の各標準報酬月額を平均した額を30で除した額(標準報酬日額)の3分の2に相当する額である。ただし、報酬の全部または一部が支払われる場合は、その期間、報酬との差額が支給される。

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正答はア(正しい記述)です。

傷病手当金の1日あたりの支給額は「支給開始日以前の直近12か月の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3」で計算します(健保法第99条)。報酬が一部支払われる場合は、その差額が支給される仕組みです。

イは誤りで、通算化が導入されたのは2022年1月1日施行(2021年改正)であり、「2016年」は誤りです。

ウは誤りで、待期の3日間は継続した欠勤3日が必要ですが、「公休日を含めて継続3日」という点は正しい記述です。ただし設問中に「有給・無給を問わず」とあり、実際は待期の3日間が「継続した労務不能」であることが必要です。オは誤りで、任意継続被保険者の期間は継続1年以上の算定に含まれないのが原則です。

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傷病手当金の支給要件・計算まとめ(健保法第99条):

| 項目 | 内容 | 根拠 |

|---|---|---|

| 支給要件 | 疾病・負傷による労務不能 | 健保法第99条 |

| 待期 | 継続した3日間の労務不能(有給・無給・公休含む) | 同条 |

| 支給開始 | 待期完成の翌日(4日目)から | 同条 |

| 支給額 | 直近12か月平均標準報酬月額 ÷ 30 × 2/3 | 同条 |

| 支給期間 | 支給開始日から通算1年6か月 | 同条(2022年1月改正) |

| 報酬との調整 | 報酬が支払われる場合は差額支給 | 同条 |

各選択肢の解説:

  • ア(正): 計算式(直近12か月平均 ÷ 30 × 2/3)と報酬調整の仕組みを正確に記述しています。「支給開始日以前」の直近12か月が基準となる点が重要です(支給申請日ではない)。
  • イ(誤): 通算化が導入されたのは2022年1月1日(健康保険法等一部改正・2021年6月成立)。2016年は誤り。改正前は「支給開始日から継続して」1年6か月であり、途中で就労できた期間も消化してしまう問題があった。通算化により療養と就労を繰り返しても支給期間が失われなくなった。
  • ウ(誤): 待期は継続した3日間の労務不能状態が必要です。3日間は有給・無給・公休を問わず連続3日(これ自体は正しい)。しかし「公休日も含めて継続3日であることが必要」とだけ言いつつ、「有給・無給を問わず」という記述の中に微妙な誤りが含まれます。実際には待期は「労務に服することができない」3日間であり、所定休日も含まれますが、注意点として使用者から報酬を受けた休業日(有給休暇取得日)も待期に算入される一方、報酬を受けた日は傷病手当金の支給対象外(差額ゼロになるだけで待期の計算には含まれる)という点が試験の引っかけポイントです。
  • エ(誤): 一部就労が可能であっても労務不能と認定された場合は傷病手当金が支給されます。「就労が可能であった場合は一切支給されない」は誤り。医師の意見書に基づいて保険者が判断する点は正しいですが、一部就労=支給なしとはなりません。
  • オ(誤): 継続給付(資格喪失後)の要件の「継続して1年以上被保険者であったこと」には任意継続被保険者の期間は含まれない(健保法第104条)。任意継続は別途の制度であり、強制加入期間のみがカウントされます。
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【傷病手当金の計算式の深掘り:「支給開始日以前の直近12か月」の意味】

2022年改正後も、計算基準となる期間は支給開始日以前の直近12か月です。被保険者期間が12か月に満たない場合は、①被保険者期間の全月平均と②全被保険者の標準報酬月額の平均額(厚生労働大臣が定める額)のうち低いほうが使われます(健保法第99条第2項)。

実務的なポイント:

1. 支給開始日=4日目であり、申請日・診断書作成日とは異なります。待期の3日間は「労務に服することができない日」が連続する必要があり、土日・祝日・有給休暇取得日もカウントされますが、有給休暇日は傷病手当金との調整(差額支給)の対象になります。

2. 直近12か月の平均の計算方法: 資格取得後12か月未満の被保険者や、途中で標準報酬月額が大きく変動した被保険者については、この12か月平均の算出が実務的にも問題になります。定時決定・随時改定のタイミングと傷病手当金の申請時期がずれると、支給額が想定と異なるケースがあります。

【2022年改正の意義:通算化の導入背景と試験への影響】

改正前(〜2021年12月31日):「支給開始日から継続して1年6か月」→ がん等の治療中に就労可能な期間があると、その期間も消化してしまい、再度休業しても支給期間が残っていないという問題が生じていました。

改正後(2022年1月1日〜):「支給開始日から通算1年6か月」→ 治療しながら就労(一部就労・時短勤務等)を繰り返す場合でも、実際に傷病手当金を受給した日数が累計1年6か月(通算547日)に達するまで支給が継続されます。

試験での出題ポイント:

  • 「通算」と「継続」の区別(2022年改正の核心)
  • 「支給開始日以前12か月の平均」(申請日・休業開始日ではない)
  • 待期の3日間に有給休暇・公休日が含まれるか(含まれる)
  • 報酬との調整(傷病手当金額 > 報酬の場合のみ差額支給)

【資格喪失後の継続給付と任意継続の関係(社労士実務の重要論点)】

健保法第104条の「資格喪失後の継続給付」要件は以下の通りです:

1. 資格喪失の前日まで継続して1年以上被保険者であったこと

- 任意継続被保険者の期間は算入しない(試験の頻出誤肢)

- 同一保険者の資格のみ対象(転職で保険者が変わると通算しない)

2. 資格喪失前に傷病手当金を受給していた、または受給できる状態(労務不能・待期完成)であったこと

任意継続被保険者は健保の被保険者ではありますが、「強制加入被保険者としての継続1年」の算定からは除外されます。これは、任意継続制度自体が「退職後の移行期間を支援する特別制度」であり、継続給付とは目的が重複しないためです。

【傷病手当金と業務起因性との境界:労災との振り分け】

業務上・通勤上の傷病には労災保険が適用され、傷病手当金は支給されません(健保法第55条・労働者災害補償保険法との給付調整)。実務では「私傷病か業務上傷病か」の判定が重要で、労働基準監督署の認定待ちの期間は健保の傷病手当金を仮払いして後日調整するケースもあります。この点は上位資格(特定社労士・紛争解決業務)においても「制度間の給付調整」として重要な論点です。

また、出産手当金(産前産後休業中)と傷病手当金は重複する場合は出産手当金が優先されます(健保法第103条)。産前休業開始後に疾病が発症した場合の取扱いも試験で問われることがあります。

【キャリアブレイク・選択的週休3日制への応用】

近年の働き方改革(選択的週休3日制・副業容認・育休中の就業)の浸透により、傷病手当金の「労務不能」概念が実務的に複雑化しています。副業がある場合、「A社では労務不能だがB社では就労している」という状況で傷病手当金が支給されるか否かは、社労士試験の応用問題として将来の出題可能性があります(現状は「一方の就業先での報酬」との調整が問題になる)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第99条(傷病手当金)・第104条(継続給付)・第97条(待期) 確認日2026-06-07・数値は条文値(1/30・2/3・1年6か月・3日) 通算化の施行: 健康保険法等の一部を改正する法律(2021年6月成立・2022年1月1日施行) 出典: 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken10/index.html 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-07)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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