問題
健康保険における被扶養者の認定に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイ(誤っている記述)です。
イの誤りは別居の場合の収入要件の記述にあります。別居の被扶養者の認定基準は、年間収入が130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満、令和7年10月1日以降の認定で19歳以上23歳未満は150万円未満)であり、かつその収入額が被保険者からの援助(仕送り)による収入額より少ないことです(日本年金機構の公表)。「仕送り額との比較は要しない」は誤りです。
なお、ウは正しい記述です。現行の健保法第3条第7項第1号は、直系尊属・配偶者(内縁を含む)・子・孫・兄弟姉妹を、同一世帯要件のない者として定めています。別居でも生計維持関係があれば被扶養者の範囲に入ります。
被扶養者の範囲と同一世帯要件(健保法第3条第7項・現行):
| 続柄区分 | 同一世帯の要否 | 年収要件(原則) |
|---|---|---|
| 直系尊属(父母・祖父母)・配偶者(内縁含む)・子・孫・兄弟姉妹 | 不要(別居可) | 130万円未満(60歳以上・障害者: 180万円未満/令和7年10月1日以降の認定で19歳以上23歳未満: 150万円未満) |
| 上記以外の三親等内の親族(義父母・甥姪・配偶者の父母等) | 必要(同一世帯) | 同上 |
| 上記以外(友人・同居人等) | 認定不可 | — |
現行法では兄弟姉妹も同一世帯要件がありません(第3条第7項第1号)。古い教材には兄姉に同居が必要とする記述があるので、現行の条文で覚えることが大切です。
各選択肢の解説:
- ア(正): 同一世帯の場合の年収基準(原則130万円未満・60歳以上または障害者は180万円未満・令和7年10月1日以降の認定で19歳以上23歳未満は150万円未満)と、「被保険者の年間収入の2分の1未満」という比較要件は、厚生労働省の認定基準(日本年金機構の公表)どおりです。金額は条文ではなく認定基準で決まっています。
- イ(誤・正答): 別居被扶養者は、年間収入要件に加えて「その収入額が被保険者からの援助(仕送り)による収入額より少ないこと」が必要です。「仕送り額との比較は要しない」は誤り。実務では被保険者の援助が本人の収入を上回っていることを示す仕送りの記録(送金の控え等)が求められます。
- ウ(正): 直系尊属・配偶者(内縁含む)・子・孫・兄弟姉妹は同一世帯不要(別居可・健保法第3条第7項第1号)。内縁の配偶者が「配偶者」に含まれることも同号の括弧書(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)のとおりです。
- エ(正): 健保の被保険者となっていない者(雇用保険加入のみのパート等)が年収要件等を満たせば他者の被扶養者になれることは正しい。
- オ(正): 「主として被保険者の収入によって生計を維持」という実態要件は、年収要件と独立して保険者が判断します。同居の親族でも実質的な経済的依存関係がなければ認定されない場合があります(例:同居の親が相当額の年金を受給し独立した生計を営んでいる場合)。令和2年4月以降は原則として日本国内に住所を有することも要件(健保法第3条第7項本文)となりました(一部例外あり:留学生・海外赴任に同行する家族等)。
【被扶養者認定制度の構造:2層の要件(法律上の範囲×収入・扶養実態)】
健保法第3条第7項では、被扶養者の認定は「続柄(第7項各号に掲げる者)」と「生計維持関係」の2層で規定されています。
第1層(続柄要件):
- 第1号: 被保険者の直系尊属・配偶者(届出なし内縁含む)・子・孫・兄弟姉妹で「主として被保険者が生計を維持する者」(同一世帯要件なし)
- 第2号〜第4号: 上記以外の三親等内親族、内縁の配偶者の父母・子(その配偶者の死亡後を含む)で「その被保険者と同一の世帯に属し、主としてその被保険者により生計を維持するもの」
第2層(収入・扶養実態):
- 年収130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満。扶養認定日が令和7年10月1日以降で19歳以上23歳未満の者は150万円未満)
- 別居の場合は収入が仕送り額未満であること(仕送りが生活費の主たる収入源)
- 同一世帯の場合は被保険者の年収の1/2未満(法律ではなく厚生労働省の認定基準による)
- 原則として日本国内居住要件(令和2年4月施行)。例外(留学生・海外赴任に同行する家族等)は施行規則第37条の2
第3条第7項ただし書(範囲から外れる者):
続柄・生計維持の要件を満たしても、「後期高齢者医療の被保険者等である者その他この法律の適用を除外すべき特別の理由がある者として厚生労働省令で定める者」は被扶養者になりません(第3条第7項ただし書)。75歳以上で後期高齢者医療の被保険者となった親は、子の健保の被扶養者にはなれません(日本年金機構の案内も同旨)。
【年収の壁対応措置(2023年10月〜)とその影響】
2023年10月、政府は「年収の壁・支援強化パッケージ」を公表し、被扶養者認定に関する以下の特例措置を導入しました:
1. 被扶養者認定の柔軟化(130万円の壁): 被扶養者の収入が繁忙期の残業等で一時的に130万円以上となっても、事業主がその旨を証明すれば、直ちに被扶養者から外さず引き続き認定できるとする運用(厚生労働省通知)。
2. 「106万円の壁」との関係: 週20時間以上・月額賃金8.8万円以上等(短時間労働者の適用要件)を満たすと、本人が健保・厚年の被保険者となり被扶養者から外れます。賃金要件は令和7年法律第74号により撤廃されますが、施行は公布から3年以内の政令で定める日(全国の最低賃金の水準を見極めて判断)で、令和8年度試験の基準日時点では未施行です。
これらの特例措置は令和8年度試験に出題される可能性があり、社一(適用拡大)との横断整理が重要です。
【内縁配偶者の被扶養者認定の実務】
法律上の婚姻届がない内縁の配偶者であっても、健保の被扶養者として認定される条件:
1. 内縁関係の実態があること(同居・生計同一等)
2. 法律婚の障壁がないこと(他に法律上の配偶者がいない等)
3. 年収要件を満たすこと
保険者(協会けんぽ)は内縁関係を示す証明書(住民票の続柄・生計同一申告書等)の提出を求めます。これは社労士業務の「被扶養者認定相談・申請代行」の典型的な業務です。
【被扶養者の収入「130万円」:確認すべき収入の範囲】
試験での「年収130万円」に含まれる収入の範囲は以下の通りです:
- 給与収入(アルバイト・パート含む)
- 雇用保険の基本手当(失業給付)・傷病手当金・出産手当金
- 各種年金(老齢・障害・遺族年金含む)
- 配当所得・不動産所得
実務では、雇用保険の基本手当を受給する場合、日額が3,612円以上(130万円÷360日)であれば被扶養者と認められないという運用があります(60歳未満の場合。保険者の案内による運用基準)。この「日額換算」は社労士実務の手続きでよく問題になります。
【横断論点:健保の被扶養者と国年の第3号被保険者】
国年の第3号被保険者は、第2号被保険者の配偶者(国内居住等の要件あり)であって、主として第2号被保険者の収入により生計を維持する20歳以上60歳未満の者です(国年法第7条第1項第3号)。生計維持の認定に必要な事項は政令で定められます(同条第2項)。健保の被扶養者と要件の考え方が近いため、社労士試験では健保×国年の横断論点として問われます。「年収の壁」が注目される背景の一つでもあります。
- 健康保険法第3条e-Govで原文を読む
- 国民年金法第7条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第3条第7項(被扶養者の定義・国内居住要件)・健康保険法施行規則第37条の2(国内居住要件の例外)・収入要件は厚生労働省の認定基準(日本年金機構の公表で確認) 確認日2026-09-30・年収の壁支援対策: 厚労省通達(2023年10月以降の特例措置) 令和2年4月改正: 国内居住要件追加(医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律・令和元年法律第9号・2020-04-01施行。e-Gov 改正履歴で確認) 出典: e-Gov 健康保険法 https://laws.e-gov.go.jp/law/211AC0000000070 / 日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20141202.html 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

