問題
国民年金の保険料の額および全額免除制度(法定免除・申請全額免除)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
正答はイです。
法定免除(89条1項)は、障害基礎年金の受給権者や生活保護の生活扶助受給者などに該当するに至った日の属する月の前月から、当然に保険料の納付を要しなくなる制度です。「当然に」納付を要しなくなる点が特徴で、免除を受けるために別途「申請」をしなければならないという記述は誤りです(該当したことの届出は施行規則75条で求められますが、免除の効果は89条1項により当然に生じ、90条の申請免除とは制度の作りが異なります)。
ア・ウ・エ・オはいずれも87条3項・89条2項・90条1項・90条2項の条文どおりの正しい記述です。
保険料の額と全額免除2区分(法定免除・申請全額免除)の対比:
| 項目 | 法定免除(89条) | 申請全額免除(90条) |
|---|---|---|
| 発動要件 | 生活扶助受給・障害基礎年金等の受給権など一定の状態に該当するに至ったとき | 世帯主・配偶者・本人の所得が政令で定める額以下等 |
| 申請の要否 | 当然免除(89条1項の文言上「申請」は要件になっていない) | 申請が必要(90条1項柱書「申請があつたとき」) |
| 免除される期間 | 該当するに至った日の属する月の前月から該当しなくなる日の属する月まで | 厚生労働大臣が指定する期間(既に納付されたものを除く)。「申請のあつた日以後」は、その期間を保険料全額免除期間に算入する時点を定めた文言 |
| 申出による不適用 | 保険料を納付する旨の申出があった期間は免除規定を適用しない(89条2項) | — |
| 所得基準を満たさない場合 | — | 世帯主又は配偶者のいずれかが所得基準等に該当しなければ、原則免除しない(90条1項ただし書) |
保険料の額(令和8年度):
87条3項の表は「令和元年度以後の年度に属する月の月分 一万七千円」に保険料改定率を乗じた額を定め、令和8年度は17,920円(一次確認: e-Gov 法令API v2・2026-09-30)。
各選択肢の解説:
- ア(正): 87条3項の定額表と改定率の掛け算という計算構造そのものが条文どおり。
- イ(誤・正答): 「申請不要で当然に」免除される点は正しいが、続けて「申請をしなければならない」とする後半が条文(89条1項)と矛盾する誤り。
- ウ(正): 90条1項ただし書の要件(世帯主又は配偶者の所得基準)どおり。
- エ(正): 89条2項の「申出のあった期間は同項の規定は適用しない」の文言どおり。
- オ(正): 90条2項「当該申請のあつた日にされたものとみなす」の文言どおり。
【法定免除と申請免除の構造的な違い(条文の作り方)】
89条1項は「被保険者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは…保険料は…納付することを要しない」という書き方で、要件に該当する事実の発生それ自体が免除の効果を生む構造になっている。これに対し90条1項は「申請があつたときは、厚生労働大臣は…納付することを要しないものとし…算入することができる」という書き方で、申請という本人の意思表示があって初めて厚生労働大臣の処分(免除の効果)が生じる構造になっている。
この違いは実務上重要で、法定免除は要件事実(生活扶助の受給開始等)が生じた日の属する月の前月から、該当しなくなる日の属する月までの保険料について、既に納付されたものを除き当然に免除の効果が生じる(89条1項)。施行規則75条は該当から14日以内の市町村長への届書の提出を求めているが、届出の遅れによって89条1項の効果の発生時期が変わる構造にはなっていない。これに対し申請全額免除は、申請を受けた厚生労働大臣が「その指定する期間」の保険料を免除する処分であり、免除の効果は処分によって生じる。90条1項の「申請のあつた日以後、当該保険料に係る期間を…保険料全額免除期間…に算入することができる」という文言は、指定された期間を保険料全額免除期間に算入する時点を定めたものであって、申請日より後の月しか免除できないという意味ではない。さらに90条2項は、年金給付の支給要件及び額に関する規定の適用について、処分を申請のあった日にされたものとみなしている(選択肢オ)。
【89条2項「納付する旨の申出」の実務的意味】
法定免除は当然免除であるため、本人が「保険料を払いたい」と思っても、原則としてその期間は免除扱いになってしまう。これでは将来の年金額を満額に近づけたい者(受給資格期間は確保できているが年金額を増やしたい者)にとって不利益になりうる。そこで89条2項は、被保険者等から保険料を納付する旨の申出があった期間については、法定免除の規定(89条1項)を適用しないこととし、通常どおり保険料を納付できる道を用意している。これにより、法定免除の対象者であっても、経済的に余裕があれば保険料を納付し、その月を保険料全額免除期間(27条8号により2分の1で年金額に反映)ではなく保険料納付済期間として年金額に反映させることができる。
【90条1項ただし書「世帯主又は配偶者」の所得基準の位置づけ】
申請全額免除は、本人の所得だけでなく、世帯主・配偶者の所得も審査対象になる点が、学生納付特例(90条の3)との大きな違いである(90条の3には90条1項ただし書に相当する世帯主・配偶者要件が引用されていない)。90条1項ただし書は「世帯主又は配偶者のいずれかが次の各号のいずれにも該当しないときは、この限りでない」という構文である。世帯主と配偶者のどちらか一方でも1号〜4号のどれにも当たらなければ免除されないのだから、裏返せば、本人だけでなく世帯主と配偶者のそれぞれが各号のいずれかに当たることが必要になる(本人が世帯主である場合など、該当者がいない立場は審査の対象にならない)。本人の所得が低くても、所得の高い世帯主(親など)と同居していれば全額免除を受けられないことがあるのはこのためである。
【出題の狙い】
法定免除・申請全額免除の違いを「当然免除か申請免除か」という一点に絞って問うことで、89条1項と90条1項の条文構造の違いを正確に読めているかを確認する問題である。
- 国民年金法第87条e-Govで原文を読む
- 生活保護法e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法87条3項(保険料の額)・89条1項(法定免除の要件・効果)・89条2項(納付する旨の申出があった場合の不適用)・90条1項(申請全額免除・所得基準のただし書)・90条2項(処分の遡及効) e-Gov 法令API v2(law_id=334AC0000000141)2026-09-30 全文照合 数値: 国民年金の保険料17,920円/月(17,920円/月・令和8年度・87条3項の表「令和元年度以後の年度に属する月の月分 一万七千円」に改定率を乗じた額) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

