社労士 国民年金法 問3:国民年金法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-07)
国民年金の被保険者に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者は、第2号被保険者および第3号被保険者に該当する場合を除き、第1号被保険者として国民年金に強制加入する。
- イ厚生年金保険の被保険者は、年齢にかかわらず国民年金の第2号被保険者となるが、65歳以上で老齢給付(老齢基礎年金または老齢厚生年金)の受給権を有する者は第2号被保険者とならない。正答
- ウ第3号被保険者は、第2号被保険者の配偶者として国内居住要件を満たし、主として第2号被保険者の収入により生計を維持している20歳以上60歳未満の者であり、その保険料は第2号被保険者が加入する制度(厚生年金保険)から拠出される。
- エ任意加入被保険者(国内居住の60歳以上65歳未満で老齢基礎年金の受給資格を満たしていない者等)は、保険料の納付義務を負い、保険料月額は第1号被保険者と同額である。
- オ外国人であっても日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者であれば、第1号被保険者として強制加入の対象となる。
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正答はイ(誤っている記述)です。
イの誤りは「年齢にかかわらず」という部分です。厚生年金保険の被保険者は原則として国民年金の第2号被保険者となりますが、65歳以上で老齢基礎年金または老齢厚生年金の受給権を有する者は第2号被保険者となりません(国民年金法第7条第1項第2号)。つまり65歳以上かつ老齢給付の受給権ありの場合は、厚生年金に加入していても国民年金の第2号被保険者にはならないのです。「年齢にかかわらず」という記述は誤りです。
ア・ウ・エ・オはいずれも正しい記述です。第1号被保険者の強制加入(ア)、第3号被保険者の保険料拠出(ウ)、任意加入の保険料(エ)、外国人の適用(オ)は条文通りです。
国民年金 被保険者3種類の比較(必須整理):
| 種別 | 対象者 | 保険料負担 | 加入形態 |
|---|---|---|---|
| 第1号被保険者 | 日本国内住所・20歳以上60歳未満(2号・3号除く) | 本人(月額17,920円/月) | 強制加入 |
| 第2号被保険者 | 厚生年金保険の被保険者(65歳以上で老齢受給権者を除く) | 厚年保険料に含まれる(事業主折半) | 強制加入 |
| 第3号被保険者 | 2号の配偶者・20歳以上60歳未満・生計維持・国内居住 | 負担なし(厚年制度が一括拠出) | 強制加入 |
| 任意加入 | 60歳以上65歳未満で受給資格なし 等 | 本人(1号と同額) | 任意 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 国民年金法第7条第1項第1号。日本国内住所・20歳以上60歳未満・第2号・第3号に該当しない者が第1号被保険者。「強制加入」であることが重要です。
- イ(誤・正答): 65歳以上で老齢基礎年金または老齢厚生年金の受給権がある者は、厚生年金の被保険者であっても国民年金の第2号被保険者から除かれます(国年法第7条第1項第2号但書)。「年齢にかかわらず」という記述が誤りの核心です。
- ウ(正): 第3号被保険者の保険料は、第2号被保険者が加入する厚生年金保険の保険料の中から基礎年金拠出金として国民年金に納付される(実質的に被保険者本人の負担ゼロ)。これが「年収の壁」議論の根幹です。
- エ(正): 任意加入被保険者の保険料は第1号被保険者と同額(令和8年度: 17,920円/月)。
- オ(正): 国民年金は国籍を問わず日本国内居住の20〜60歳未満の者に強制適用されます(日本は国際条約で外国人の適用を認めています)。
【第2号被保険者の「65歳以上除外」規定が設けられた理由】
国民年金法第7条第1項第2号の但書(65歳以上で老齢給付の受給権を有する者を除く)が設けられた理由は、年金制度の二重給付防止と財政負担の合理化にあります。
厚生年金保険の被保険者は上限年齢が70歳(厚年法第12条)であるため、65歳以降も厚生年金に加入し続けることができます。この場合、老齢厚生年金の受給権を持ちながら厚生年金保険料を支払い続けることになります(在職定時改定・退職改定で年金額が毎年増額)。
問題は、65歳以上の厚生年金被保険者を国民年金の第2号被保険者のまま扱うと、基礎年金拠出金の算定に影響が生じることです。老齢基礎年金の受給権がある者は既に「60歳到達→受給権確定」のステージにあり、受給資格期間の算入という意味での第2号被保険者としての機能が失われています。このため、制度設計上は65歳以上・老齢受給権者を第2号被保険者から除外し、拠出金計算を簡素化しています。
【第3号被保険者制度の政策論争と2026年以降の動向】
第3号被保険者制度(主に専業主婦・主夫が対象)は、保険料を個人で負担することなく基礎年金の受給権が確保される制度として1985年の大改正で設けられました。その後、共働き世帯の増加・女性就労の促進という社会変化の中で、以下の問題が指摘されています:
1. 「壁」問題: 年収130万円の第3号認定基準が、第2号の配偶者の就労抑制(いわゆる「130万円の壁」)を引き起こす
2. 不公平論: 同じ主婦でも第1号被保険者(自営業者の妻等)は月額17,920円/月を負担するのに対し、第3号は無拠出というのは不公平だという議論
3. 適用拡大との関係: 2026年10月の社会保険適用拡大(賃金要件撤廃)により、第3号から第2号に移行する者が増加見込み(社会保険の壁が「130万円→106万円」から変容)
令和8年度試験の出題可能性が高い論点として、第3号被保険者の「国内居住要件」(日本国内に住所を有することが原則で、2020年からの改正で国外居住者は原則的に第3号非該当)も重要です。
【任意加入の種類と上乗せ加入の活用(実務知識)】
任意加入には3種類があります:
| 種類 | 対象者 | 上限 |
|---|---|---|
| 国内任意加入(附則第5条) | 60歳以上65歳未満・受給資格なし or 受給資格有りでも満額未達など | 65歳まで(受給資格充足まで) |
| 海外任意加入(附則第5条の2) | 海外居住の日本国籍者・20歳以上65歳未満 | 65歳まで |
| 特例任意加入(附則第5条の2) | 65歳以上70歳未満・昭和40年4月1日以前生まれ等の特例 | 70歳まで(受給資格充足時まで) |
社労士の顧客(定年後・帰国後の者)への年金増額アドバイスとして、任意加入期間の保険料を前納して年金額を最大化する提案が実務で活用されます。受給資格期間(10年)には1か月でも不足している場合、任意加入で確保することが「無年金リスク解消」として最優先の対応となります。
【上位接続:国民年金と厚生年金の「二階建て」から「多階建て」へ】
公的年金制度は伝統的に「一階(国民年金・基礎年金)+二階(厚生年金・共済年金)」の二階建て構造で説明されますが、2017年以降の制度改革で「多階建て」化が進んでいます:
- 三階: 厚生年金基金(縮小中)・確定給付企業年金・確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)
- 付加年金(第1号被保険者の任意上乗せ・月400円で200円×月数の付加年金)
- 国民年金基金(第1号被保険者向け・確定給付型)
被保険者種別の理解は、こうした「どの上乗せ制度に加入できるか」を判断する前提知識であり、社労士試験でも「国民年金基金に加入できる者は誰か」という問題(kokunen_10)と連動します。
<!-- 監修確定 2026-06-07 legal-reviser: 国民年金法第7条(被保険者種別)・本問の正答イの「年齢にかかわらず」誤り是正は条文通り。各選択肢の事実関係をe-Gov国民年金法・日本年金機構公式で突合し誤りなし。基準日外改正混入なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第7条(被保険者の種別)・第8条(任意加入被保険者)・第9条(第3号被保険者の届出)・附則第5条(任意加入) 数値参照: KOKUNEN_HOKENRYO_MONTHLY={{KOKUNEN_HOKENRYO_MONTHLY}}(17,920円/月)・2026-04-01発効・令和8年度試験基準日時点施行済(一次確認: 日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-07)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。