社労士 国民年金法 問5:国民年金法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-07)
遺族基礎年金に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア遺族基礎年金は、被保険者または老齢基礎年金の受給権者が死亡した場合に、その者によって生計を維持していた「配偶者」または「子」に支給される。平成26年4月以降は父子家庭(死亡した妻の夫)も受給対象となった。
- イ遺族基礎年金における「子」とは、18歳に達した日以後の最初の3月31日までの間にある者、または20歳未満で障害等級1級・2級に該当する者であって、現に婚姻していないものをいう。
- ウ配偶者に対する遺族基礎年金は、子が全員18歳に達した日以後の最初の3月31日を経過したときに失権するが、配偶者が子と生計を同じくしなくなった場合(子が就職・独立等)には、子が18歳未満であっても配偶者の受給権は失権する。正答
- エ子に対する遺族基礎年金の受給権は、その子が配偶者(死亡した被保険者の配偶者で遺族基礎年金の受給権者)と生計を同じくする間は、支給が停止される。
- オ遺族基礎年金の受給権者(配偶者)が再婚した場合、その受給権は消滅する。
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・通達も明記。
正答はウ(誤っている記述)です。
ウの誤りは「配偶者が子と生計を同じくしなくなった場合、配偶者の受給権が失権する」という部分です。正しくは、配偶者が子と生計を同じくしなくなると、配偶者の遺族基礎年金は「失権」ではなく「支給停止」になります(国民年金法第41条第1項)。失権と支給停止は別概念で、支給停止は「再び要件を満たせば受給が再開」されますが、失権は「受給権そのものが消滅」します。「生計を同じくしない」という状態が解消されれば支給が再開されるため、「失権」とするウは誤りです。
ア・イ・エ・オは正しい記述です。平成26年の父子家庭対象化(ア)、失権事由としての再婚(オ)は試験頻出です。
遺族基礎年金の失権事由と支給停止の整理(必須):
| 対象 | 失権事由 | 支給停止事由 |
|---|---|---|
| 配偶者 | ①再婚 ②死亡 ③子との死別(子がいなくなる) ④子が全員18歳年度末経過・障害解消 | 子と生計を同じくしない間(子と別居等) |
| 子 | ①18歳年度末(障害なし)②障害1・2級の終了③死亡④婚姻⑤養子縁組(直系血族・配偶者の養子除く) | 配偶者(受給権ある生計同一の父または母)がいる間 |
遺族基礎年金 年金額(令和8年度・代表値):
| 構成 | 年金額 |
|---|---|
| 基本額(子なしの場合は支給なし・子ある配偶者または子本人) | 老齢基礎年金満額相当(847,296円/年) |
| 第1子・第2子加算(各) | 243,800円/年円/年(243,800円) |
| 第3子以降加算(各) | 81,300円/年円/年(81,300円) |
各選択肢の解説:
- ア(正): 平成26年4月1日施行の改正により、父子家庭(母が死亡した場合の父と子)も遺族基礎年金の対象となりました(国年法第37条改正)。改正前は母または子のみが対象でした。
- イ(正): 「18歳に達した日以後の最初の3月31日まで」(いわゆる18歳年度末)は試験頻出表現。「18歳の誕生日まで」ではない点が重要です。
- ウ(誤・正答): 「失権」ではなく「支給停止」が正しい。配偶者が子と別居等で生計を同じくしなくなると支給停止となりますが、再び生計同一となれば支給が再開されます(国年法第41条第1項)。
- エ(正): 子に対する遺族基礎年金は、受給権のある配偶者と生計を同じくする間は支給停止(国年法第41条の2)。これは二重払い防止のためです(配偶者の年金には子の加算が付くため)。
- オ(正): 配偶者が再婚すると受給権が失権します(国年法第38条第4号)。なお「事実婚」状態になった場合も再婚に準じて扱われます。
【「失権」と「支給停止」の厳密な区別:社労士試験の頻出論点】
遺族年金(基礎・厚生とも)において、「失権」と「支給停止」を混同する誤りは試験で繰り返し問われます。その違いは以下の通りです:
失権(受給権の消滅):
- 一度失権すると、たとえ後から要件を取り戻しても受給権は復活しない(新たな受給権が発生する場合を除く)
- 配偶者が再婚→失権(その後離婚しても復活しない)
- 子が18歳年度末に達する→失権(年齢は戻らないため当然に不可逆)
支給停止(受給権は存続・支払いが一時停止):
- 停止事由がなくなれば支給が再開される
- 配偶者と子が「生計を同じくしない」→停止(再び同居・生計同一になれば再開)
- 子の「生計を同じくする配偶者がいる間」の停止→配偶者が失権・死亡等すれば再開
この区別は、実務において「受給権がまだあるのか否か」を判断する基礎であり、社労士の年金相談業務で頻繁に問われる内容です。
【平成26年改正(父子家庭の対象化)の背景と影響】
改正前(〜2014年3月31日)の遺族基礎年金は「子のある妻または子」のみが対象で、妻が死亡した場合の夫・子は対象外でした。これは制度設計当初(1959年・国民年金法制定)に「家族の中で稼得活動をするのは夫」という前提があったためです。
平成26年改正で「子のある配偶者」に改められ、夫(父)も受給対象に加わりました。ただし経過措置として、改正前に母(妻)が死亡した場合の父子家庭で改正前から継続している受給権については改正規定が適用されない点に注意が必要です(試験出題可能性は低いが実務では確認が必要)。
【遺族基礎年金の「子の加算」と遺族厚生年金の「加算」の違い】
遺族基礎年金の「子の加算」と、遺族厚生年金の「中高齢寡婦加算」「経過的寡婦加算」は別制度で混同しやすいため整理します:
| 加算 | 根拠 | 対象 | 令和8年度額 | 消滅条件 |
|---|---|---|---|---|
| 遺族基礎年金の子の加算 | 国年法第39条の2 | 遺族基礎年金受給中の配偶者または子(子の数に応じた加算) | 1・2人目 各243,800円/年円/年 / 3人目以降 各81,300円/年円/年 | 当該子の失権 |
| 中高齢寡婦加算 | 厚年法第62条 | 遺族厚生年金受給の妻(40〜65歳・一定要件) | 635,500円/年円/年(635,500円) | 65歳到達(→経過的寡婦加算に移行) |
| 経過的寡婦加算 | 厚年法附則第73条の2 | 昭和31年4月1日以前生まれの寡婦・65歳以降 | 生年月日別の逓減額 | 死亡・再婚 |
遺族基礎年金の受給権が失権(子が全員18歳年度末到達等)した後も、遺族厚生年金(中高齢寡婦加算)は継続することがあります。このタイミングのズレが実務上の相談で混乱を生む典型例です。
【上位接続:遺族年金の併給調整と所得代替率】
遺族基礎年金と遺族厚生年金は同時受給が可能です(国年法・厚年法の基本的な組み合わせ)。ただし遺族厚生年金と老齢厚生年金等の組み合わせには調整規定(厚年法第64条の2)があり、「老齢厚生年金を全額受給しつつ遺族厚生年金の差額分(老齢厚生年金を上回る部分)を受給」という形が65歳以降の標準的な受給形態です。
遺族年金の所得代替率(働いていた者の収入のうち遺族が受け取れる割合)は国際比較でも高い水準ですが、共働き夫婦では「配偶者独自の厚生年金があることで遺族厚生年金の差額部分が小さくなる(または発生しない)」という問題が生じています。この点は社会保険一般常識の出題につながる政策論点です。
<!-- 監修確定 2026-06-07 legal-reviser: (1)正答ウ(「失権」ではなく「支給停止」)はe-Gov国年法第38条・第41条で確認・正しい。(2)平成26年改正の父子家庭対象化(国年法第37条)の記述に誤りなし。(3)選択肢オ「再婚で失権」(国年法第40条第1項第4号〔事実婚含む〕)正しい。(4)子の加算額(1・2人目243,800円/3人目以降81,300円)はvolatile_master.json新規キーに統一。中高齢寡婦加算(635,500円)も追記。(5)基準日外改正混入なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第37条(遺族基礎年金の支給)・第37条の2(支給要件の特例)・第38条(失権)・第41条(支給停止)・第41条の2(子の支給停止) 数値参照: KISO_NENKIN_MANGAKU_NEW={{KISO_NENKIN_MANGAKU_NEW}}(70,608円/月・令和8年度)・KO_KASAN_1_2_NIN={{KO_KASAN_1_2_NIN}}(243,800円/年・1人目・2人目)・KO_KASAN_3_NIN_IKO={{KO_KASAN_3_NIN_IKO}}(81,300円/年・3人目以降)・CHUKOREI_KAFU_KASAN={{CHUKOREI_KAFU_KASAN}}(635,500円/年・中高齢寡婦加算)・2026-04-01発効(一次確認: 日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/izokunenkin/jukyu-yoken/20150401-04.html・令和8年4月分からの年金額等 https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/kojin/2026/202604/0401.html) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-07)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。