問題
遺族基礎年金の支給要件および配偶者に対する年金額の子の加算に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はアです。
遺族基礎年金が支給される死亡には、①被保険者本人が死亡したとき、②日本国内に住所のある60歳以上65歳未満の元被保険者が死亡したとき、③保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が25年以上ある人が死亡したとき、の3つの類型があります(37条各号)。①②には「死亡日の前日時点で保険料をきちんと納めていたか」という保険料納付要件が付きますが、③の長期加入者にはこの要件は付きません。
ウ・イ・エ・オはいずれも誤りです。配偶者が受けるには子と生計を同じくしていることが必要で、子の加算額も1人目・2人目と3人目以降で額が変わり、胎児だった子も生まれれば加算の対象になります。
遺族基礎年金の支給要件(37条各号)の整理:
| 号 | 死亡した者の類型 | 保険料納付要件の要否 |
|---|---|---|
| 1号 | 被保険者が死亡したとき | 要(ただし書) |
| 2号 | 被保険者であった者で、日本国内に住所を有し60歳以上65歳未満の者が死亡したとき | 要(ただし書) |
| 3号 | 保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が25年以上である者が死亡したとき | 不要 |
配偶者に支給する年金額の子の加算(39条1項・2項):
| 対象の子 | 加算額(令和8年度) |
|---|---|
| 1人目・2人目(各) | 243,800円/年 |
| 3人目以降(各) | 81,300円/年 |
39条2項により、受給権取得当時まだ生まれていなかった子(胎児)が生まれたときは、配偶者がその権利を取得した当時から生計を同じくしていた子とみなされ、その生まれた日の属する月の翌月から年金額が改定される。
各選択肢の解説:
- ウ(誤): 37条の2第1項1号は、配偶者について「死亡の当時その者によつて生計を維持し、かつ、次号に掲げる要件に該当する子と生計を同じくすること」を求めている。子と生計を同じくしない配偶者は遺族基礎年金を受けられない。
- イ(誤): 保険料納付要件(3分の2以上)は37条ただし書により1号・2号に該当する場合の要件であり、3号(25年以上の長期加入)には適用されない。「種別を問わず」は誤り。
- ア(正): 37条各号・ただし書のとおり。
- エ(誤): 加算額は1人目・2人目と3人目以降で額が異なる(39条1項)。
- オ(誤): 39条2項により胎児であった子も出生後は加算の対象となる。
【37条の3類型が設けられている理由】
37条が死亡した者を3類型に分けているのは、遺族基礎年金が「保険事故(死亡)としての遺族保障」と「長期加入者への年金保障の延長」という2つの性格を併せ持つ制度だからである。1号・2号は、現に被保険者である者、又は被保険者であった者で日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の者が死亡した場合の遺族保障であり、保険原理(直近まできちんと保険料を納めていたか)を重視するため、ただし書の保険料納付要件が課される。これに対して3号は、すでに老齢基礎年金の受給資格を実質的に満たすだけの長期加入実績(保険料納付済期間と保険料免除期間の合算が25年以上)がある者が死亡した場合であり、この者はいわば「老齢基礎年金を受けられる立場にあった者」に準じるため、直近の保険料納付状況を改めて問う必要がないという考え方に立っている。
【保険料納付要件(37条ただし書)の具体的な計算】
37条ただし書の保険料納付要件は、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、その被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が、その被保険者期間の3分の2以上であることを求める。直近2か月分の未納は計算から除外される(前々月までで区切る)点に注意が必要である。これは、死亡直前の手続き上のタイムラグ(保険料の納付記録が反映されるまでの期間)を考慮した実務的な配慮である。
なお、国民年金法37条本体とは別に、改正法の附則に保険料納付要件の経過的な特例(いわゆる直近1年要件)が置かれている。本問は37条本体の要件のみを扱っている。
【子の加算額の設計と改定率】
39条1項は、子1人につき「七万四千九百円に改定率を乗じて得た額」を加算し、「そのうち二人までについては、それぞれ二十二万四千七百円に改定率を乗じて得た額」とする。つまり基礎数値は、1人目・2人目が各22万4,700円、3人目以降が各7万4,900円で、これに改定率(同項括弧書きにより27条の3・27条の5の適用がないものとして改定した率)を乗じる。令和8年度の額は243,800円(1人目・2人目、各年額)・81,300円(3人目以降、各年額)である。
加算の対象は「配偶者が遺族基礎年金の受給権を取得した当時」37条の2第1項の要件に該当し、かつ配偶者と生計を同じくした子であり、受給権取得当時に胎児であった子は、39条2項により生まれた時に対象の子とみなされ、生まれた日の属する月の翌月から年金額が改定される。
【遺族の範囲(37条の2第1項)】配偶者が遺族基礎年金を受けるには、死亡の当時その者によって生計を維持されていたことに加え、同項2号の要件(18歳到達年度末までの間にあるか、20歳未満で障害等級に該当し、かつ現に婚姻をしていないこと)に該当する子と生計を同じくすることが必要である(同項1号)。子のない配偶者には支給されない点が、この年金の「子のある世帯の保障」という性格を表している。
【出題の狙い】
「配偶者は子と生計を同じくしていなくても受けられる」という誤解、「保険料納付要件がすべての類型に一律に適用される」という誤解、「子の加算額が人数によらず一律」という誤解、「胎児は加算対象外」という誤解の4点を、37条・39条の条文の正確な読み取りで排除できるかを問う問題である。
- 国民年金法第37条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法37条(支給要件・各号・ただし書)・37条の2第1項(遺族の範囲)・39条1項(子の加算額)・39条2項(胎児出生時の加算) e-Gov 法令API v2(law_id=334AC0000000141)2026-09-30 全文照合 参照した数値: 障害基礎年金・遺族基礎年金 子の加算額 1人目・2人目(各):243,800円/年(1人目・2人目の加算額)・障害基礎年金・遺族基礎年金 子の加算額 3人目以降(各):81,300円/年(3人目以降の加算額) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

