社労士 国民年金法 問7:国民年金法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-07)
付加保険料および付加年金に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア付加保険料は月額400円であり、国民年金の第1号被保険者および任意加入被保険者が申し出ることによって納付することができる。
- イ付加年金の年金額は、「200円×付加保険料納付月数」によって算出され、インフレ等による物価・賃金変動に応じて毎年改定(スライド)が行われる。正答
- ウ付加保険料は、国民年金基金に加入している第1号被保険者は納付することができない。
- エ付加保険料を2年間(24か月)納付した場合の付加年金額は年額4,800円であり、当該付加年金は老齢基礎年金の受給権発生と同時に受給権が発生し、老齢基礎年金と同時に受給される。
- オ付加保険料の納付申出をした後、その申出を取り消して付加保険料の納付をやめることができるが、申出の取消しは申し出た月の翌月分以降について効力が生じる。
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正答はイ(誤っている記述)です。
イの誤りは「付加年金がインフレ等による物価・賃金変動に応じて毎年改定(スライド)が行われる」という部分です。付加年金は「200円×付加保険料納付月数」という固定計算式で金額が決まり、物価・賃金スライドは行われません(国民年金法第43条の2)。老齢基礎年金はマクロ経済スライドを含む改定が行われますが、付加年金の額は受給開始後も原則として変わりません。
ア(月額400円・第1号・任意加入が対象)、ウ(国民年金基金加入者は付加保険料不可)、エ(24か月×200円=4,800円)、オ(翌月分以降に効力発生)はいずれも正確な記述です。
付加保険料・付加年金の基本整理(必須):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 第1号被保険者・任意加入被保険者(第2号・第3号・国民年金基金加入者は不可) |
| 保険料額 | 月額400円(固定・法定額) |
| 申出 | 市区町村窓口(または年金機構)への申出(いつでも申出・取消可) |
| 取消効力発生 | 申し出た月の翌月分から取消効力発生 |
| 年金額 | 200円×納付月数(物価・賃金スライドなし・固定) |
| 受給開始 | 老齢基礎年金の受給権と同時(繰上げ・繰下げも老齢基礎年金に連動) |
| 国民年金基金との関係 | 同時加入不可(どちらかを選択) |
付加年金の損益分岐点(試験頻出):
- 納付保険料: 400円/月
- 受取年金: 200円×月数/年(1年あたり200円×12月=2,400円の増額に対し保険料4,800円/年)
- 損益分岐点: 400円÷(200円/年)=2年(24か月) → 受給2年で元が取れる
24か月の付加保険料(400×24=9,600円)に対して付加年金(200×24=4,800円/年)は2年で回収できるため、長生きが見込まれる場合は非常に有利な上乗せ制度です。
各選択肢の解説:
- ア(正): 月額400円は条文に明記(国年法第87条の2)。第2号・第3号被保険者は対象外。
- イ(誤・正答): 付加年金に物価・賃金スライドはない。老齢基礎年金のマクロ経済スライドとは別の制度。付加年金の200円という単価は立法以来変わっていない(インフレに弱い点が制度の短所)。
- ウ(正): 国民年金基金(第1号被保険者の上乗せ年金)と付加年金は重複して加入できない(国民年金基金は付加年金の代替として設計されているため)。
- エ(正): 24か月×200円=4,800円/年。損益分岐点(2年)の計算と合わせて試験頻出です。
- オ(正): 取消の効力は翌月分から。申し出た当月分の保険料は取消の対象とならない点が細かいひっかけポイントです。
【付加年金の「スライドなし」の政策的問題と上乗せ年金の比較】
付加年金の年金額(200円/月)は、1966年(昭和41年)の制度創設以来、法改正がなければ変わりません(国民年金法第43条の2には年金額改定の規定がない)。これはインフレに対してきわめて脆弱な設計であり、実質的な受給価値は物価上昇に応じて低下し続けます。
一方、老齢基礎年金はマクロ経済スライドを含む年金額改定が法定されており、長期的には実質購買力を部分的に維持する設計です。付加年金は「2年で元が取れる」という損益計算が魅力的ですが、20〜30年の受給期間全体では実質価値の低下が顕著になるリスクがあります。
国民年金の上乗せ制度3種類の比較:
| 制度 | 対象 | 掛金の特徴 | 年金額の特徴 | スライド |
|---|---|---|---|---|
| 付加年金 | 第1号・任意加入 | 月400円(固定) | 200円×月数(固定) | なし |
| 国民年金基金 | 第1号(付加不可) | 年齢・性別・コースで異なる | 確定給付型・コース選択 | なし(確定給付型) |
| iDeCo(個人型DC) | 全被保険者(加入限度額が種別で異なる) | 月5,000円〜種別別上限 | 運用成績に依存(確定拠出型) | なし(確定拠出型) |
社労士実務では、自営業者(第1号被保険者)の顧客に対して、付加年金・国民年金基金・iDeCoの組み合わせ最適化(税制優遇の活用含む)を提案することが高付加価値サービスとなります。
【付加年金と繰上げ・繰下げの連動】
付加年金は老齢基礎年金と同時に受給権が発生するため、繰上げ・繰下げを選択した場合は付加年金も同様に連動します:
- 繰上げした場合: 付加年金も同時に繰上げ(付加年金の減額率は老齢基礎年金と同じ月×0.4%・昭和37年4月2日以後生まれ)
- 繰下げした場合: 付加年金も増額(月×0.7%・老齢基礎年金に連動)ただし付加年金は絶対額が小さいため増額効果は限定的
- 損益計算の修正: 繰下げした場合の付加年金の損益分岐点は繰下げ年数分ずれる(繰下げ開始後2年で付加年金の元が取れる計算)
【国民年金基金との「どちらかを選択」の制度趣旨】
国民年金基金(国年法第128条以下)は、第1号被保険者の老齢年金を上乗せする確定給付型の制度です。付加年金と国民年金基金が同時加入できない理由は:
- 国民年金基金の保険料の中に「付加保険料相当分」が含まれる設計になっているため
- 具体的には、国民年金基金への加入時に「付加保険料(400円)に相当する1口目の掛金」が自動的に含まれる(基金が年金機構に代わって付加保険料を納付する仕組み)
- したがって両方に加入すると実質的に二重負担となるため、制度的に排除されている
この制度構造は社労士試験の「社会保険一般常識」でも扱われる論点です(社一 問題 shaichi_03/04 との横断論点)。
【付加年金の確定申告と課税関係】
付加年金は老齢基礎年金と合算して「公的年金等(雑所得)」として課税されます。付加保険料(月400円)は社会保険料控除の対象ですが、老齢基礎年金と付加年金を合算した受給額が公的年金等控除額を超える場合に課税が発生します。
低所得の自営業者が付加年金を受給する場合、公的年金等控除(最低60万円)と基礎控除・社会保険料控除等で課税所得がゼロになるケースが多く、実質非課税で受け取れる場合が多いです。社労士が顧客(自営業者)の税務・年金の総合相談を行う場面で必要な知識です。
<!-- 監修確定 2026-06-07 legal-reviser: (1)正答イ(付加年金にスライドなし)はe-Gov国年法第43条の2で確認・正しい。(2)月額400円・200円×月数(同条)、国民年金基金との同時加入不可(同法第127条第3項)、申出取消の翌月効力(同法第87条の2第4項)はいずれも条文通り。(3)損益分岐点2年の計算は正確。(4)基準日外改正混入なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第87条の2(付加保険料)・第43条の2(付加年金) 数値参照: KOKUNEN_HOKENRYO_MONTHLY={{KOKUNEN_HOKENRYO_MONTHLY}}(17,920円/月・令和8年度)・2026-04-01発効(一次確認: 日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150331.html) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-07)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。