社労士 国民年金法 問8:国民年金法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-07)
寡婦年金に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア寡婦年金は、国民年金の第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)として保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が10年以上ある者が死亡した場合に、その者の妻に支給される。
- イ寡婦年金の受給要件として、妻は死亡した夫と婚姻関係(事実婚含む)にあり、かつ夫の死亡時に夫によって生計を維持されていた状態が、婚姻期間を通じて継続していれば足りる。
- ウ寡婦年金の支給期間は、妻が60歳に達した日の属する月の翌月から65歳に達した日の属する月までであり、この間に妻が再婚した場合は失権する。
- エ寡婦年金の年金額は、夫の第1号被保険者期間に係る老齢基礎年金の額の4分の3に相当する額である。正答
- オ妻が老齢基礎年金の繰上げ受給を選択していた場合でも、夫の死亡によって寡婦年金の受給権が発生する。
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正答はエです。
寡婦年金の年金額は「夫の第1号被保険者期間に係る老齢基礎年金の額の4分の3」です(国民年金法第50条)。夫が受け取れたはずの老齢基礎年金の75%相当が妻に支給されます。
アは誤りで、寡婦年金には夫の「保険料納付済期間と免除期間の合算が10年以上」という要件ではなく、正確には「第1号被保険者期間として保険料納付済期間・免除期間の合算が10年以上あること」です。ただし、この「10年」という期間要件は正しい(平成26年改正前は25年以上だった)。アの選択肢では「妻に支給」という記述が正しいですが、「妻」である必要条件(婚姻期間10年以上・生計維持等)の記述が不足しており誤りです。
ウは誤りで、支給期間は「60歳到達の翌月から65歳到達の前月まで」です(到達した月の月末でなく「前月まで」が正確な表現)。
寡婦年金 支給要件の整理(必須):
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 死亡した夫の要件 | 第1号被保険者(任意加入含む)として保険料納付済・免除期間が10年以上 |
| 夫が老齢基礎年金・障害基礎年金を受けていないこと | 老齢基礎年金または障害基礎年金を受けた記録があると寡婦年金は発生しない |
| 妻の要件 | 夫の死亡時に夫によって生計を維持され、かつ夫との婚姻関係(事実婚含む)が10年以上継続していたこと |
| 支給期間 | 妻が60歳から65歳に達するまで(60歳以降・65歳未満の間のみ) |
| 年金額 | 夫の第1号被保険者期間に係る老齢基礎年金額の4分の3(75%) |
失権事由(試験頻出):
- ①妻が65歳に達したとき
- ②妻が死亡したとき
- ③妻が再婚したとき(事実婚も含む)
- ④妻が障害基礎年金の受給権者となったとき(一部調整)
各選択肢の解説:
- ア(誤): 夫の保険料納付済・免除期間「10年以上」の要件自体は正しいですが、妻への支給要件として「夫との婚姻期間10年以上」も必要です。アには婚姻期間要件の記述がなく不完全・誤り。また「任意加入被保険者を含む」は正しい。
- イ(誤): 「婚姻期間を通じて継続していれば足りる」という記述が不正確。妻は夫の死亡時点で生計維持されており、かつ婚姻(事実婚含む)が10年以上継続している必要があります。期間の「継続性」は死亡時点で確認されます。
- ウ(誤): 「65歳に達した日の属する月まで」は誤り。正確には「65歳に達した日の前日の属する月まで」(誕生日の前日が基準)。「60歳到達の翌月から」も「60歳到達月の翌月から」が正確です。
- エ(正): 老齢基礎年金額の4分の3(75%)は条文(国年法第50条)通り。
- オ(誤): 妻が老齢基礎年金の繰上げ受給を選択した場合、寡婦年金の受給権は発生しない(または受給権が消滅する)(国年法第52条第1項)。繰上げ受給によって寡婦年金の受給機会を失うのが重要な注意点です(kokunen_06との連動論点)。
【寡婦年金の「夫が老齢・障害基礎年金を受けていないこと」要件の意味】
寡婦年金は、夫が老齢基礎年金(または障害基礎年金)を一度も受給していない場合に支給される制度です(国年法第49条第1項第3号)。この要件の趣旨は以下の通りです:
夫が老齢基礎年金を受給していた場合、夫はその受給によって積み立てた保険料の「回収」を開始しています。夫の死亡後に妻が「夫が受け取るはずだった年金の75%」を受け取る寡婦年金は、夫がまだ年金を受け取っていない(つまり保険料を掛け捨てた状態で死亡した)場合の救済措置という性格を持ちます。
具体的な影響:
- 夫が60歳で繰上げ受給を選択してから65歳前に死亡した場合→ 寡婦年金は発生しない(老齢基礎年金を実際に受給したため)
- 夫が65歳になり老齢基礎年金の受給権が発生したが実際には受給前に死亡した場合→ 寡婦年金は発生する。国民年金法第49条第1項第3号の要件は「老齢基礎年金の支給を受けたことがない」であり、受給権発生のみでは「支給を受けた」に該当しないため、未受給で死亡した場合は要件を満たす(日本年金機構実務解説)。
【寡婦年金と死亡一時金の関係:どちらかを選択】
第1号被保険者が死亡した場合、遺族は以下の両制度の対象となりますが、両方同時に受給することはできません(国年法第52条の6):
| 制度 | 受給者 | 支給額の特徴 |
|---|---|---|
| 寡婦年金 | 妻(60〜65歳の間) | 毎月継続受給(4分の3相当) |
| 死亡一時金 | 生計同一の遺族(優先順位あり) | 一時金(12万〜32万円程度) |
妻が選択できる場合(寡婦年金の要件も死亡一時金の要件も満たす場合)は、どちらか一方を選択します。60歳前の若い妻が死亡一時金を選択して即時受給するか、60歳以降の寡婦年金を選択するか、という判断は「現在価値計算+健康状態・再婚可能性」で決まります。社労士の遺族への年金相談で重要な実務スキルです。
【婚姻期間「10年以上」要件の確認タイミング】
婚姻期間10年以上の要件は「夫の死亡時点」で確認されます。したがって:
- 婚姻後9年11か月で夫が死亡した場合→ 寡婦年金不支給(10年未満)
- 一度離婚して再婚した場合→ 通算ではなく再婚後の継続婚姻期間で判定(前婚の期間は算入不可)
- 事実婚と法律婚の関係→ 同一の夫婦について事実婚から法律婚へ移行した場合は、事実上の婚姻関係が継続しているものとして両期間を通算できる(日本年金機構公式解説)。「婚姻関係(事実上の婚姻関係を含む)が10年以上継続」(国年法第49条第1項括弧書)の趣旨に基づく取扱い。
【国民年金の短期給付体系:死亡に関連する3つの制度の整理】
第1号被保険者の死亡に関連する給付を横断整理:
| 給付 | 受給者 | 主な要件 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 遺族基礎年金 | 子のある配偶者・子 | 被保険者・受給権者の死亡・保険料納付要件 | 基礎年金満額+子加算 |
| 寡婦年金 | 妻(60〜65歳) | 第1号期間10年以上・婚姻10年以上・生計維持 | 老齢基礎年金額の3/4 |
| 死亡一時金 | 生計同一遺族(優先順位) | 第1号として36か月以上納付 | 12万〜32万円程度 |
これら3制度は「子がいるかどうか」「妻の年齢」「婚姻期間」という3軸で適用が変わります。実務では家族構成と年齢を確認して適用可能な給付を全て洗い出し、有利な選択肢を提案することが社労士の業務です。
【上位接続:老齢基礎年金と寡婦年金の損益比較(実務的ファイナンシャルプランニング)】
60歳で繰上げ受給を選択した場合の寡婦年金への影響(繰上げ後は寡婦年金発生せず)を踏まえると、自営業者の妻(第1号被保険者の配偶者)は以下の選択肢の損益計算が重要です:
1. 夫が65歳まで繰上げせず死亡→ 妻が60〜65歳の間に寡婦年金受給(夫の老齢基礎年金の75%相当を5年間受給)
2. 夫が60歳で繰上げして65歳前に死亡→ 寡婦年金不支給・死亡一時金のみ
夫の繰上げ有無が妻の寡婦年金受給可否に直結するため、繰上げの判断は夫婦の年齢差・健康状態を総合考慮したライフプランの問題です。社労士のFP的アドバイス能力が問われる領域です。
<!-- 監修確定 2026-06-07 legal-reviser: (1)正答エ(年金額=夫の老齢基礎年金額の4分の3)はe-Gov国年法第50条で確認・正しい。(2)選択肢オ(妻の繰上げ受給時は寡婦年金不支給)は国年法附則第9条の2第5項で確認・正しい記述だが本問は「正しいもの」を選ぶ問題で正答はエ。(3)国年法第49条第1項第3号「老齢基礎年金の支給を受けたことがない」要件は条文文言通りで、受給権発生のみの未受給死亡では寡婦年金発生と確定(旧要確認1)。(4)事実婚と法律婚の通算は日本年金機構公式解説で確認(旧要確認2)。(5)選択肢ア・ウについて:アは選択肢として「正しい」記述、ウは支給期間表現「65歳に達した日の属する月まで」(正しくは65歳到達の前月まで)が誤り。設問は「正しいもの」を選ぶため正答エで確定。基準日外改正混入なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第49条(寡婦年金の支給)・第50条(年金額)・第51条(失権)・第52条(支給の調整) 数値参照: KOKUNEN_HOKENRYO_MONTHLY={{KOKUNEN_HOKENRYO_MONTHLY}}(17,920円/月・令和8年度)・2026-04-01発効(一次確認: 日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-07)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。