問題
寡婦年金に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はエです。
寡婦年金の年金額は「夫の第1号被保険者期間に係る老齢基礎年金の額の4分の3」です(国民年金法第50条)。夫が受け取れたはずの老齢基礎年金の75%相当が妻に支給されます。
アは誤りで、夫の第1号被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間の合算は10年以上あれば足ります(国民年金法第49条第1項)。「25年以上」は誤りです。
ウは誤りで、支給期間の説明(60歳到達月の翌月から65歳到達月まで)は正しいものの、妻が再婚(婚姻)すると寡婦年金の受給権は消滅します(第51条・第40条第1項第2号)。
寡婦年金 支給要件の整理(必須):
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 死亡した夫の要件 | 第1号被保険者(任意加入含む)として保険料納付済・免除期間が10年以上 |
| 夫が老齢基礎年金・障害基礎年金を受けていないこと | 老齢基礎年金または障害基礎年金を受けた記録があると寡婦年金は発生しない |
| 妻の要件 | 夫の死亡時に夫によって生計を維持され、かつ夫との婚姻関係(事実婚含む)が10年以上継続した65歳未満の妻 |
| 支給期間 | 妻が60歳に達した日の属する月の翌月から(第49条第3項)、65歳に達した日の属する月まで(第51条で65歳到達時に消滅+第18条第1項「権利が消滅した日の属する月で終る」) |
| 年金額 | 夫の第1号被保険者期間に係る老齢基礎年金額の4分の3(75%) |
失権事由(第51条・試験頻出):
- ①妻が65歳に達したとき
- ②妻が死亡したとき(第40条第1項第1号)
- ③妻が婚姻をしたとき(同項第2号)
- ④妻が養子となったとき(直系血族又は直系姻族の養子を除く・同項第3号)
- このほか、寡婦年金の受給権者が繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権を取得したときも消滅(附則第9条の2第5項)
各選択肢の解説:
- ア(誤): 夫の要件は、第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間の合算が10年以上です(第49条第1項)。「25年以上」は誤りです。
- イ(誤): 「婚姻期間を通じて継続していれば足りる」という記述が不正確。妻は夫の死亡時点で生計維持されており、かつ婚姻(事実婚含む)が10年以上継続している必要があります(第49条第1項)。
- ウ(誤): 支給期間の部分は正しい(60歳到達月の翌月から=第49条第3項、65歳到達月まで=第51条・第18条第1項)。しかし妻が婚姻をしたときは、第51条が引く第40条第1項第2号により寡婦年金の受給権は消滅します。「再婚しても消滅しない」が誤りです。
- エ(正): 老齢基礎年金額の4分の3(75%)は条文(国年法第50条)通り。
- オ(誤): 繰上げ支給の老齢基礎年金の受給権者には寡婦年金の支給要件(第49条)が適用されないため、妻が既に繰上げ受給をしていると夫が死亡しても寡婦年金の受給権は発生しません(附則第9条の2の3)。寡婦年金の受給権者が後から繰上げ請求をした場合も、寡婦年金の受給権は消滅します(附則第9条の2第5項)。繰上げ受給によって寡婦年金の受給機会を失うのが重要な注意点です(kokunen_06との連動論点)。
【寡婦年金の「夫が老齢・障害基礎年金を受けていないこと」要件の意味】
寡婦年金は、夫が老齢基礎年金(または障害基礎年金)を一度も受給していない場合に支給される制度です(国年法第49条第1項ただし書)。この要件の趣旨は以下の通りです:
夫が老齢基礎年金を受給していた場合、夫はその受給によって積み立てた保険料の「回収」を開始しています。夫の死亡後に妻が「夫が受け取るはずだった年金の75%」を受け取る寡婦年金は、夫がまだ年金を受け取っていない(つまり保険料を掛け捨てた状態で死亡した)場合の救済措置という性格を持ちます。
具体的な影響:
- 夫が60歳で繰上げ受給を選択してから65歳前に死亡した場合→ 寡婦年金は発生しない(老齢基礎年金を実際に受給したため)
- 夫が65歳になり老齢基礎年金の受給権が発生したが実際には受給前に死亡した場合→ 寡婦年金は発生する。国民年金法第49条第1項ただし書は「老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けたことがある夫が死亡したとき」を除外しています。受給権が発生しただけでは「支給を受けた」に当たらないため、未受給のまま死亡した場合は要件を満たします。ただし寡婦年金は65歳未満の妻に支給されるもので(第49条第1項)、夫が65歳以後に死亡した場合は妻の年齢にも注意が要ります。
【寡婦年金と死亡一時金の関係:どちらかを選択】
第1号被保険者が死亡した場合、遺族は以下の両制度の対象となりますが、両方同時に受給することはできません(国年法第52条の6):
| 制度 | 受給者 | 支給額の特徴 |
|---|---|---|
| 寡婦年金 | 妻(60〜65歳の間) | 毎月継続受給(4分の3相当) |
| 死亡一時金 | 生計同一の遺族(優先順位あり) | 一時金(12万〜32万円程度) |
妻が選択できる場合(寡婦年金の要件も死亡一時金の要件も満たす場合)は、どちらか一方を選択します。60歳前の若い妻が死亡一時金を選択して即時受給するか、60歳以降の寡婦年金を選択するか、という判断は「現在価値計算+健康状態・再婚可能性」で決まります。社労士の遺族への年金相談で重要な実務スキルです。
【婚姻期間「10年以上」要件の確認タイミング】
婚姻期間10年以上の要件は「夫の死亡時点」で確認されます。したがって:
- 婚姻後9年11か月で夫が死亡した場合→ 寡婦年金不支給(10年未満)
- 一度離婚して再婚した場合→ 通算ではなく再婚後の継続婚姻期間で判定(前婚の期間は算入不可)
- 事実婚と法律婚の関係→ 同一の夫婦について事実婚から法律婚へ移行した場合は、事実上の婚姻関係が継続しているものとして両期間を通算できる(日本年金機構公式解説)。「婚姻関係(事実上の婚姻関係を含む)が10年以上継続」(国年法第49条第1項括弧書)の趣旨に基づく取扱い。
【国民年金の短期給付体系:死亡に関連する3つの制度の整理】
第1号被保険者の死亡に関連する給付を横断整理:
| 給付 | 受給者 | 主な要件 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 遺族基礎年金 | 子のある配偶者・子 | 被保険者・受給権者の死亡・保険料納付要件 | 基礎年金満額+子加算 |
| 寡婦年金 | 妻(60〜65歳) | 第1号期間10年以上・婚姻10年以上・生計維持 | 老齢基礎年金額の3/4 |
| 死亡一時金 | 生計同一遺族(優先順位) | 第1号として36か月以上納付 | 12万〜32万円程度 |
これら3制度は「子がいるかどうか」「妻の年齢」「婚姻期間」という3軸で適用が変わります。実務では家族構成と年齢を確認して適用可能な給付を全て洗い出し、有利な選択肢を提案することが社労士の業務です。
【上位接続:老齢基礎年金と寡婦年金の損益比較(実務的ファイナンシャルプランニング)】
60歳で繰上げ受給を選択した場合の寡婦年金への影響(繰上げ後は寡婦年金発生せず)を踏まえると、自営業者の妻(第1号被保険者の配偶者)は以下の選択肢の損益計算が重要です:
1. 夫が65歳まで繰上げせず死亡→ 妻が60〜65歳の間に寡婦年金受給(夫の老齢基礎年金の75%相当を5年間受給)
2. 夫が60歳で繰上げして65歳前に死亡→ 夫は老齢基礎年金の支給を受けているため、寡婦年金も死亡一時金も支給されない(第49条第1項ただし書・第52条の2第1項ただし書)
夫の繰上げ有無が妻の寡婦年金受給可否に直結するため、繰上げの判断は夫婦の年齢差・健康状態を総合考慮したライフプランの問題です。社労士のFP的アドバイス能力が問われる領域です。
- 国民年金法第50条・第49条・第52条の6e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第18条第1項(支給期間)・第40条第1項(失権事由の各号)・第49条(支給要件)・第50条(年金額)・第51条(失権)・第52条の6(死亡一時金との選択)・附則第9条の2第5項(繰上げによる寡婦年金の消滅)・附則第9条の2の3(繰上げ受給権者に第49条を適用しない)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141・2026-09-30確認) 参照した数値: 国民年金保険料 月額:17,920円/月(令和8年度)・2026-04-01発効(一次確認: 日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

