問題
死亡一時金に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はオ(誤っている記述)です。
オの誤りは「死亡一時金と寡婦年金を同時に受給できる」という部分です。死亡一時金と寡婦年金は同時に受給できません(国民年金法第52条の6)。どちらかを選択しなければなりません。妻が寡婦年金の受給権者である場合、死亡一時金と寡婦年金のいずれかを選択することになります(kokunen_08「寡婦年金」で学習した内容と連動)。
ア(36か月以上・老齢・障害を受給しないまま死亡)、イ(36か月以上180か月未満で12万円・420か月以上で32万円)、ウ(配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の順)、エ(同順位者の1人の請求は全員のための請求とみなす)はいずれも条文どおりの記述です。
死亡一時金の支給額(第52条の4第1項の表・試験頻出):
| 保険料納付済期間等合算月数 | 支給額 |
|---|---|
| 36月以上180月未満 | 120,000円 |
| 180月以上240月未満 | 145,000円 |
| 240月以上300月未満 | 170,000円 |
| 300月以上360月未満 | 220,000円 |
| 360月以上420月未満 | 270,000円 |
| 420月以上 | 320,000円(上限) |
※ 付加保険料に係る保険料納付済期間が3年以上ある場合は、上記金額に8,500円を加算(第52条の4第2項)。金額は条文の定額で、年度ごとの改定はありません。
受給権者の優先順位(国年法第52条の3):
1. 配偶者(事実婚含む)
2. 子
3. 父母
4. 孫
5. 祖父母
6. 兄弟姉妹
各選択肢の解説:
- ア(正): 第52条の2第1項のとおり、保険料納付済期間の月数+4分の1免除期間の月数×3/4+半額免除期間の月数×1/2+4分の3免除期間の月数×1/4が36か月以上で、老齢基礎年金・障害基礎年金の支給を「受けたことがない」まま死亡したことが条件です。全額免除期間は算入されません。また、その死亡により遺族基礎年金を受けられる者がいるときは支給されません(同条第2項)。
- イ(正): 支給額テーブル(第52条の4第1項)は試験に頻出。「36か月以上180か月未満で12万円」「420か月以上で32万円」の上下限が特に出やすいです。付加保険料の加算(8,500円)は選択肢に出ることがあります。
- ウ(正): 優先順位は「配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹」の6段階。遺族基礎年金の受給権者と順位が異なるため混同注意(遺族基礎年金は「配偶者・子」のみ)。
- エ(正): 第52条の3第3項のとおり、同順位の遺族が2人以上あるときは、その1人のした請求は全員のためその全額につきしたものとみなされ、その1人に対してした支給は全員に対してしたものとみなされます。
- オ(誤・正答): 寡婦年金と死亡一時金は選択適用(国年法第52条の6)。「同時受給可能」は誤り。
【死亡一時金の「合算月数」計算の落とし穴:免除期間の換算】
死亡一時金の支給要件(36か月以上)を判定する際、免除期間は以下の換算率で合算します(国年法第52条の2第1項):
| 免除区分 | 換算率(合算月数への算入) |
|---|---|
| 保険料納付済期間 | 1月=1月(100%) |
| 保険料4分の1免除期間(4分の3を納付) | 1月=3/4月 |
| 保険料半額免除期間(半額を納付) | 1月=1/2月 |
| 保険料4分の3免除期間(4分の1を納付) | 1月=1/4月 |
| 全額免除期間 | 算入なし(0月) |
| 学生納付特例・納付猶予 | 算入なし(0月) |
換算の考え方は「実際に納付した保険料の割合だけ数える」です。老齢基礎年金の年金額計算では全額免除期間にも国庫負担分が反映されますが、死亡一時金の合算月数には全額免除期間は入りません(第52条の2第1項・第52条の4第1項は全額免除期間を列挙していない)。
試験での引っかけポイント: 学生納付特例・納付猶予期間は「受給資格期間(10年)には算入されるが、死亡一時金の合算月数には算入されない」という点が試験で問われます(kokunen_02との横断論点)。
【寡婦年金と死亡一時金の選択:損益計算の実務】
妻(60〜65歳)が寡婦年金と死亡一時金のどちらを選択すべきかの損益分岐点:
寡婦年金の受給総額(概算):
- 夫の老齢基礎年金(推計)×3/4×受給月数(60歳到達から65歳到達まで最大60か月)
例: 夫の老齢基礎年金想定額が年720,000円(月60,000円)の場合
- 寡婦年金年額: 720,000円×3/4=540,000円
- 5年間(60か月)受給: 540,000円×5=2,700,000円
死亡一時金(例: 420か月以上なら320,000円):
- 一時金320,000円(即時受給・確実)
上記の比較では、妻が60歳以上65歳未満で健康状態が良い場合は寡婦年金の方が圧倒的に有利です。一方、妻が既に60歳を超えていて余命が短い場合、または60歳未満(寡婦年金がまだ始まらない場合)は死亡一時金を選択して確実に受け取る方が有利なことがあります。
また、妻が老齢基礎年金の繰上げ受給を選択していると寡婦年金の受給権が失われるため、実質的に死亡一時金しか選択肢がなくなります(kokunen_06・kokunen_08との連動論点)。
【付加保険料と死亡一時金の加算(8,500円)の意味】
付加保険料に係る保険料納付済期間が3年以上ある場合の8,500円加算(国年法第52条の4第2項)は、付加保険料(月400円)を36か月納付した費用(400×36=14,400円)に対して、その「掛け捨て分の一部還付」という性格を持ちます。14,400円を払って8,500円しか戻らないのは損に見えますが、付加保険料は生存中は「200円×月数」の付加年金として回収できるため、死亡一時金の加算額はあくまで「残念賞」的な位置づけです。
【優先順位と「生計同一」要件の実務的確認方法】
死亡一時金の受給権者は「生計を同じくしていた者」に限られます(国年法第52条の3第1項)。「生計同一」の確認は年金機構の実務では以下の方法で行います:
- 同一世帯(住民票で確認)であれば原則として「生計同一」
- 別世帯の場合: 仕送りの事実・医療費の支払い等の客観的証拠で確認
- 老人ホーム入所中の親:原則として生計同一(扶養実態の確認)
優先順位で「兄弟姉妹」まで対象となる(子がいない・親も既に死亡等のケース)点は遺族基礎年金(配偶者・子のみ)より広く、自営業者の死亡時の遺族給付のセーフティネットとして機能しています。
【上位接続:社一科目との横断(各種一時金の比較)】
社会保険一般常識(社一)では、国民年金の死亡一時金以外の「一時金」との比較が問われることがあります:
| 制度 | 一時金の種類 | 要件 |
|---|---|---|
| 国民年金 | 死亡一時金 | 第1号期間36か月以上・老障未受給で死亡 |
| 国民年金 | 脱退一時金 | 外国人・日本を出国後2年以内・6か月以上加入 |
| 厚生年金 | 脱退一時金 | 外国人・出国後2年以内・6か月以上加入 |
| 厚生年金 | 障害手当金 | 被保険者期間中の傷病・3級相当に達しない一定の障害 |
「脱退一時金」(外国人労働者向け)は社一・労一との横断論点として令和8年度試験での出題が予想されます。
- 国民年金法第52条の6・第52条の3・第52条の2・第52条の4e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第52条の2(支給要件)・第52条の3(遺族の範囲及び順位等)・第52条の4(金額。第2項=付加保険料3年以上で8,500円加算)・第52条の6(支給の調整=寡婦年金との選択)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141・2026-09-30確認) 参照した数値: 国民年金保険料 月額:17,920円/月(令和8年度)・2026-04-01発効(一次確認: 日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

