社労士 国民年金法 問9:国民年金法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-07)
死亡一時金に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア死亡一時金は、第1号被保険者として保険料納付済期間と4分の1納付・半額納付・4分の3納付・全額納付の各免除期間を所定の換算率で合算した月数が36か月以上ある者が、老齢基礎年金・障害基礎年金をいずれも受給しないまま死亡した場合に、一定の遺族に支給される。
- イ死亡一時金の支給額は、保険料納付済期間等の合算月数が36か月以上120か月未満の場合は120,000円であり、月数が増えるほど支給額が高くなり、420か月以上の場合は320,000円となる。
- ウ死亡一時金の受給権者は、死亡した者と生計を同じくしていた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の順に優先され、最も優先される者が受給権者となる。
- エ死亡一時金の受給権者が、同順位者が2人以上いる場合は、その全員が均等に受給権を有する。
- オ死亡一時金は、寡婦年金の受給権者(妻)が選択した場合、死亡一時金と寡婦年金を同時に受給することができる。正答
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正答はオ(誤っている記述)です。
オの誤りは「死亡一時金と寡婦年金を同時に受給できる」という部分です。死亡一時金と寡婦年金は同時に受給できません(国民年金法第52条の6)。どちらかを選択しなければなりません。妻が寡婦年金の受給権者である場合、死亡一時金と寡婦年金のいずれかを選択することになります(kokunen_08「寡婦年金」で学習した内容と連動)。
ア(36か月以上・老齢・障害を受給しないまま死亡)、イ(36か月以上120か月未満で12万円・420か月以上で32万円)、ウ(配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の順)、エ(同順位は均等受給)はいずれも正確な記述です。
死亡一時金の支給額(月数別・試験頻出):
| 保険料納付済期間等合算月数 | 支給額 |
|---|---|
| 36月以上120月未満 | 120,000円 |
| 120月以上180月未満 | 145,000円 |
| 180月以上240月未満 | 170,000円 |
| 240月以上300月未満 | 220,000円 |
| 300月以上360月未満 | 270,000円 |
| 360月以上420月未満 | 320,000円 |
| 420月以上 | 320,000円(上限・420か月超えても同額) |
※ 付加保険料を36か月以上納付した期間がある場合は、上記金額に8,500円を加算。
受給権者の優先順位(国年法第52条の5):
1. 配偶者(事実婚含む)
2. 子
3. 父母
4. 孫
5. 祖父母
6. 兄弟姉妹
各選択肢の解説:
- ア(正): 36か月以上・老齢基礎年金・障害基礎年金を「いずれも受給しないまま」死亡が条件。遺族基礎年金(受給者の死亡)との違いに注意。なお「老齢基礎年金を受ける権利を有する者(受給権者)の死亡」は遺族に遺族基礎年金が支給されず、死亡一時金・寡婦年金の問題になります。
- イ(正): 支給額テーブルは試験に頻出。「36か月以上で12万円」「420か月以上でも32万円」の上下限が特に出やすいです。付加保険料の加算(8,500円)は選択肢に出ることがあります。
- ウ(正): 優先順位は「配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹」の6段階。遺族基礎年金の受給権者と順位が異なるため混同注意(遺族基礎年金は「配偶者・子」のみ)。
- エ(正): 同順位者が複数いる場合の均等受給は条文通り(国年法第52条の5第2項)。
- オ(誤・正答): 寡婦年金と死亡一時金は選択適用(国年法第52条の6)。「同時受給可能」は誤り。
【死亡一時金の「合算月数」計算の落とし穴:免除期間の換算】
死亡一時金の支給要件(36か月以上)を判定する際、免除期間は以下の換算率で合算します(国年法第52条の2第1項):
| 免除区分 | 換算率(合算月数への算入) |
|---|---|
| 保険料納付済期間 | 1月=1月(100%) |
| 4分の1納付免除期間 | 1月=3/4月 |
| 半額納付免除期間 | 1月=1/2月 |
| 4分の3納付免除期間 | 1月=1/4月 |
| 全額免除期間 | 1月=1/3月 |
| 学生納付特例・納付猶予 | 算入なし(0月) |
この換算率は老齢基礎年金の年金額計算の換算率と異なるため注意が必要です(老齢基礎年金では全額免除は1/2の算入ですが、死亡一時金の合算月数は1/3換算)。
試験での引っかけポイント: 学生納付特例・納付猶予期間は「受給資格期間(10年)には算入されるが、死亡一時金の合算月数には算入されない」という点が試験で問われます(kokunen_02との横断論点)。
【寡婦年金と死亡一時金の選択:損益計算の実務】
妻(60〜65歳)が寡婦年金と死亡一時金のどちらを選択すべきかの損益分岐点:
寡婦年金の受給総額(概算):
- 夫の老齢基礎年金(推計)×3/4×受給月数(60歳到達から65歳到達まで最大60か月)
例: 夫の老齢基礎年金想定額が年720,000円(月60,000円)の場合
- 寡婦年金年額: 720,000円×3/4=540,000円
- 5年間(60か月)受給: 540,000円×5=2,700,000円
死亡一時金(例: 420か月以上なら320,000円):
- 一時金320,000円(即時受給・確実)
上記の比較では、妻が60歳以上65歳未満で健康状態が良い場合は寡婦年金の方が圧倒的に有利です。一方、妻が既に60歳を超えていて余命が短い場合、または60歳未満(寡婦年金がまだ始まらない場合)は死亡一時金を選択して確実に受け取る方が有利なことがあります。
また、妻が老齢基礎年金の繰上げ受給を選択していると寡婦年金の受給権が失われるため、実質的に死亡一時金しか選択肢がなくなります(kokunen_06・kokunen_08との連動論点)。
【付加保険料と死亡一時金の加算(8,500円)の意味】
付加保険料を36か月以上納付した期間がある場合の8,500円加算(国年法第52条の4第2項)は、付加保険料(月400円)を36か月納付した費用(400×36=14,400円)に対して、その「掛け捨て分の一部還付」という性格を持ちます。14,400円を払って8,500円しか戻らないのは損に見えますが、付加保険料は生存中は「200円×月数」の付加年金として回収できるため、死亡一時金の加算額はあくまで「残念賞」的な位置づけです。
【優先順位と「生計同一」要件の実務的確認方法】
死亡一時金の受給権者は「生計を同じくしていた者」に限られます(国年法第52条の5第1項)。「生計同一」の確認は年金機構の実務では以下の方法で行います:
- 同一世帯(住民票で確認)であれば原則として「生計同一」
- 別世帯の場合: 仕送りの事実・医療費の支払い等の客観的証拠で確認
- 老人ホーム入所中の親:原則として生計同一(扶養実態の確認)
優先順位で「兄弟姉妹」まで対象となる(子がいない・親も既に死亡等のケース)点は遺族基礎年金(配偶者・子のみ)より広く、自営業者の死亡時の遺族給付のセーフティネットとして機能しています。
【上位接続:社一科目との横断(各種一時金の比較)】
社会保険一般常識(社一)では、国民年金の死亡一時金以外の「一時金」との比較が問われることがあります:
| 制度 | 一時金の種類 | 要件 |
|---|---|---|
| 国民年金 | 死亡一時金 | 第1号期間36か月以上・老障未受給で死亡 |
| 国民年金 | 脱退一時金 | 外国人・日本を出国後2年以内・6か月以上加入 |
| 厚生年金 | 脱退一時金 | 外国人・出国後2年以内・6か月以上加入 |
| 厚生年金 | 障害手当金 | 被保険者期間中の傷病・3級相当に達しない一定の障害 |
「脱退一時金」(外国人労働者向け)は社一・労一との横断論点として令和8年度試験での出題が予想されます。
<!-- 監修確定 2026-06-07 legal-reviser: (1)正答オ(寡婦年金と死亡一時金は選択・同時受給不可)はe-Gov国年法第52条の6で確認・正しい。(2)支給額テーブル(36月以上12万円〜420月以上32万円)、付加保険料加算8,500円は政令通り。(3)優先順位(配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹)は国年法第52条の3で確認。(4)免除期間の換算率(全額免除1/3・3/4免除1/4・半額免除1/2・1/4免除3/4)は同条で確認・正確。(5)基準日外改正混入なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第52条の2(死亡一時金の支給)・第52条の4(死亡一時金の額)・第52条の5(受給権者の優先順位)・第52条の6(寡婦年金との調整) 数値参照: KOKUNEN_HOKENRYO_MONTHLY={{KOKUNEN_HOKENRYO_MONTHLY}}(17,920円/月・令和8年度)・2026-04-01発効(一次確認: 日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-07)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。