社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 国民年金法 問10|国民年金基金・追納の要件と優先順位

問題

社労士 | 国民年金法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

国民年金基金および国民年金保険料の追納に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は エ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はエです。

追納を行うと、追納が行われた日に追納に係る月の保険料が納付されたものとみなされ(国民年金法第94条第4項)、その月は「保険料納付済期間」として老齢基礎年金の年金額計算においても全額納付月と同様に算入されます。これが追納の最大のメリットです。追納しなかった場合の免除期間は全額免除であれば2分の1の換算で年金額が計算されますが、追納することで100%算入に切り替わります。

アは誤りで、国民年金基金の加入員は付加保険料を納付できません(付加保険料と国民年金基金は選択の関係)。イは誤りで、追納できるのは「追納の承認の日の属する月前10年以内」の期間の分です(「免除承認の翌年度から10年」ではありません)。ウは誤りで、追納は原則として先に経過した月の分から順次行います。オは誤りで、一定期間を過ぎた分を追納する場合は政令で定める額が加算されます。

追納の要件整理(必須):

項目内容
対象保険料免除・学生納付特例・納付猶予が承認された期間
追納可能期間厚生労働大臣の追納の承認の日の属する月前10年以内の期間に係る保険料(第94条第1項)
追納の順序学生納付特例の分を先に、次いで免除・納付猶予の分を、それぞれ先に経過した月の分から順次(第94条第2項。学生納付特例より前に納付義務が生じた免除等の分があるときは、その分から先に経過した月の順に追納できる=同項ただし書)
追納額当時の保険料額に政令で定める額を加算した額(第94条第3項。加算の対象となる時期は政令で定める)
追納後の扱い追納月は「保険料納付済期間」として年金額に100%算入

国民年金基金の基本(必須):

項目内容
加入対象第1号被保険者・任意加入被保険者(付加保険料申出者は不可)
性格確定給付型の上乗せ年金(スライドなし)
掛金年齢・性別・コースで異なる(加入時の年齢が若いほど安い)
加入形態地域型国民年金基金(地域ごと)または職能型国民年金基金
付加保険料との関係同時加入不可(基金加入で付加保険料相当が内包される設計)

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 付加保険料を納付できる第1号被保険者から「国民年金基金の加入員」は除かれ(第87条の2第1項)、付加保険料を納付している者が基金の加入員になると、その日に付加保険料をやめる申出をしたものとみなされます(同条第4項)。両方を同時に続けることはできません。
  • イ(誤): 第94条第1項は、追納できる保険料を「承認の日の属する月前十年以内の期間に係るもの」に限っています。起算点は追納の承認の月で、「免除承認の年度の翌年度から10年」ではありません。
  • ウ(誤): 第94条第2項は「先に経過した月の分から順次に行う」と定めています(学生納付特例の分を先に追納するのが原則)。「直近の月から」は誤りです。
  • エ(正): 追納が行われた日に保険料が納付されたものとみなされ(第94条第4項)、保険料納付済期間として100%算入。kokunen_02の「免除期間は2分の1算入」と対比させて理解することが重要です。
  • オ(誤): 追納額は当時の保険料額に「政令で定める額を加算した額」です(国年法第94条第3項)。一定期間を過ぎた分に加算がつく仕組みなので、「加算なし」という記述は誤りです。

【追納の「古い月から」要件の政策的意図と実務上の問題】

追納は古い月(免除承認を受けた最も古い月)から順に行わなければならないとされています(国年法第94条第2項)。この順序規定の意図は:

1. 公平性の確保: 被保険者に有利な月だけを選択的に追納されると、制度設計上の費用計算が狂うおそれがある

2. 財政上の安定: 古い月から追納させることで、長期的な追納パターンを制度的にコントロールする

実務上の問題点:

  • 10年前の免除期間(3年度以上前)を追納すると加算額が発生し、当時の保険料(令和8年度より安かった場合でも)に利子相当が上乗せされる
  • 例: 令和3年度の免除期間を令和8年度に追納する場合(5年度前=3年度以上前に該当)→ 令和3年度の保険料月額(16,610円)に加算額が上乗せされた額を支払う必要がある
  • 追納前に「追納した方が得か、しない方が(年金額が少なくても)得か」を損益計算することが実務アドバイスとして重要です

【追納の損益分岐点計算】

全額免除期間の追納の損益分岐点:

  • 免除期間の年金額算入: 追納前=2分の1算入、追納後=100%算入(差額=1月あたり老齢基礎年金満額÷480×(1-1/2))
  • 令和8年度満額(代表値・年額換算: 70,608円/月×12)を基準に1か月分の差額を計算:
    • 追納による年金増額(1か月分)≒ 年額70,608円/月×12 ÷ 480 × 1/2
    • ≒ 847,296円 ÷ 480 × 0.5 ≒ 月約882円の年金増額(年額)

※ この数値は老齢基礎年金の満額70,608円/月から算出(令和8年度代表値)。

  • 追納コスト(3年度以上前でない場合): 当時の保険料額(例: 16,610円/月・令和3年度)
  • 損益分岐点: 16,610円 ÷ 882円/年 ≒ 約19年(19年受給すれば追納費用を回収)

65歳から受給開始して84歳まで生存すれば損益が合うという計算になります。健康状態が良好で長生きが見込まれる場合は追納が有利です。

【国民年金基金の「確定給付型」の意味と加入限度額】

国民年金基金は確定給付型(DB型)で、加入時の年齢・性別・選択したコースで将来の年金額が確定します。iDeCo(確定拠出型)と異なり:

  • 運用リスクは基金が負担(加入者は運用成績によって年金額が変わらない)
  • 代わりにインフレ対応は弱い(スライドなしのため実質価値が下がる)

加入限度額:

  • 令和8年度試験基準日(2026-04-10)時点の現行: 第1号被保険者のiDeCo拠出上限は月68,000円(国民年金基金とiDeCoの合算上限が月68,000円)
  • 引上げ予定の改正: 第1号被保険者の拠出上限を月68,000円→75,000円に引き上げる改正が予定されている(施行日は2026-12-01。確定拠出年金法令での施行日の照合は未了。本問の正答には関係しない)。ただし試験基準日(2026-04-10)時点で未施行=令和8年度試験は現行68,000円が出題対象(出題対象外=7.5万円選択肢は誤り)
  • 令和6年12月のiDeCo改正(企業型DC加入者の上限変更)は社一・厚生年金連動論点として既施行

【「追納」vs「前納」vs「口座振替割引」の違い(実務混同注意)】

制度対象タイミング効果
追納免除・特例・猶予の承認を受けた過去の期間10年以内(遡って)年金額への算入
前納将来の保険料を先払い6か月・1年・2年単位で先払い保険料の割引(節約)
口座振替割引当月分を早引き落とし当月分を月初引き落とし月あたり50円の割引

追納と前納は全く性格が異なります(追納=過去の免除期間の穴埋め、前納=将来分の先払い割引)が、「追納」と「前納」を混同する誤りが試験で誘導されることがあります。

【上位接続:社会保険一般常識との連動(iDeCoの上限改正・2024〜)】

令和6年12月1日施行のiDeCo改正(企業型DC加入者の個人型DC加入限度額の変更・会社員の上限引上げ等)は社一科目の重要改正論点です。第1号被保険者(自営業者)のiDeCo上限(月68,000円・国民年金基金との合算)は変更されていませんが、制度全体の把握が社労士として求められます。

社労士試験の「社会保険一般常識」では国民年金基金・iDeCoの制度概要を押さえつつ、「第1号被保険者がどの上乗せ制度を選択できるか」という横断知識(付加年金/国年基金/iDeCoの三択・各々の上限・税制メリット)が最重要の実務知識です。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第94条(追納。第1項=承認の日の属する月前10年以内・第2項=先に経過した月の分から順次・第3項=政令で定める額の加算・第4項=納付されたものとみなす)・第87条の2第1項(付加保険料を納付できる者から国民年金基金の加入員を除く)・第127条(基金の加入員)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141・2026-09-30確認) 参照した数値: 国民年金保険料 月額:17,920円/月(令和8年度)・2026-04-01発効(一次確認: 日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150327.html) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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