社労士 厚生年金保険法 問1:厚生年金保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-07)
在職老齢年金(在職中に老齢厚生年金を受給する場合の支給停止の仕組み)に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア令和8年度(2026年4月〜)の在職老齢年金の支給停止調整額は月額65万円であり、令和7年度(50万円)から大幅に引き上げられた。この調整額を超えた分の年金の2分の1が停止される。正答
- イ在職老齢年金の停止計算において、「基本月額」とは老齢厚生年金(加給年金額を含む)の月額を指し、「総報酬月額相当額」とは標準報酬月額と直近1年間の標準賞与額合計の12分の1の合算額をいう。
- ウ支給停止調整額(65万円)は、「基本月額+総報酬月額相当額」が65万円以下の場合は全額支給され、65万円を超えた場合は超過額の全額が停止される。
- エ65歳以上の在職老齢年金(高在老)と60〜64歳の在職老齢年金(低在老)は別々の仕組みが設けられており、令和8年度においても支給停止調整額は年齢によって異なる金額が設定されている。
- オ在職老齢年金の制度により全額支給停止となっている間も、その者は厚生年金保険の被保険者であるため、退職または70歳到達後に年金額が再計算(退職改定・70歳到達時の改定)され、増額される。
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正答はア(正しい記述)です。
在職老齢年金の支給停止調整額は令和8年度から月額65万円(VolatileBox: ZAIRO_TEISHI_CHOSEI)に引き上げられました(令和7年度は50万円)。この調整額を超えた分の年金額の2分の1が停止されます。これは「基本月額+総報酬月額相当額が65万円を超えた場合、超過額の2分の1が停止」という仕組みです。
ウは誤りで「超過額の全額が停止」は誤りです。超過額の2分の1が停止です(年金が全額停止になるのは超過額が基本月額の2倍以上になる場合等)。エは誤りで、令和4年4月の改正により、60〜64歳(低在老)と65歳以上(高在老)の調整額は一本化されています(令和8年度は統一65万円)。
在職老齢年金 支給停止の計算式(令和8年度版・65万円基準):
```
基本月額 = 老齢厚生年金の月額(加給年金額を除く)
総報酬月額相当額 = 標準報酬月額 + 直近1年の標準賞与額合計 ÷ 12
[判定]
基本月額 + 総報酬月額相当額 ≤ 65万円 → 全額支給(停止なし)
基本月額 + 総報酬月額相当額 > 65万円 → 超過額 × 1/2 = 停止額
ただし停止額 > 基本月額 → 基本月額分が全額停止(受給者側の月額がゼロ)
```
改正前後の比較(令和8年度試験の最重要改正):
| 年度 | 支給停止調整額 | revision_type |
|---|---|---|
| 令和7年度(前年) | 50万円/月 | — |
| 令和8年度(2026年4月〜) | 650,000円/月(65万円) | structural(閾値ロジック変更) |
各選択肢の解説:
- ア(正): 65万円・令和7年度50万円からの引上げ・超過額の2分の1停止、すべて正確。この改正により、働きながら年金を受け取りやすくなりました(在職老齢年金による就労抑制の緩和が政策目標)。
- イ(部分的に誤): 基本月額は「加給年金額を除く」老齢厚生年金の月額が正確です(「加給年金額を含む」は誤り)。総報酬月額相当額の説明は正しい。
- ウ(誤): 停止されるのは超過額の2分の1。「全額停止」は誤り。ただし基本月額が少なく超過額が大きい場合は全額停止になることはある(計算の結果として)。
- エ(誤): 令和4年4月の改正により、60〜64歳(特別支給)と65歳以上(本来支給)の停止計算式が一本化されました(それ以前は60〜64歳は28万円の別基準があった)。令和8年度は年齢を問わず65万円が統一基準。
- オ(正): 退職改定(退職・1か月経過後)・70歳到達改定により、在職中に停止されていた分を含めて増額再計算されます。これが「在職中は損でも、退職後に増額される」という在職老齢年金の構造です。
【在職老齢年金の歴史的変遷と令和8年度大改正の政策背景】
在職老齢年金制度は、「働いて収入があるのに年金も全額もらうのは二重取りではないか」という政策的議論から生まれました。その歴史:
- 〜平成14年: 60〜64歳は別途の「低在老」基準(28万円・一人当たり平均月収の1/2程度)
- 平成14年〜: 65歳以上は「47万円」の高在老基準を導入(ただし64歳以下とは別建て)
- 令和4年(2022年)4月: 60〜64歳の低在老基準を65歳以上の高在老基準に統一(60〜64歳の28万円→47万円に統一)
- 令和8年(2026年)4月: 調整額を50万円→65万円に大幅引上げ(令和6年改正・2024年6月成立)
今回の65万円への大幅引上げの政策目標:
1. 高齢者の就労促進: 年金カットを恐れて就業時間を抑制する「在老ハーティング(減殺効果)」の緩和
2. 少子高齢化への対応: 現役世代の労働力不足を補う高齢者就労の積極活用
3. 年金財政への寄与: 在職中は繰り下げ効果として年金支給が減り、将来の受給額は増加(財政的に中立に近い設計)
【計算の落とし穴:「加給年金額」を基本月額に含めるか】
在職老齢年金の計算で頻繁に誤解されるのが「加給年金額の扱い」です:
- 基本月額: 老齢厚生年金(報酬比例部分+差額加算)の月額から加給年金額を除いた額
- 加給年金額: 支給停止の計算には含めず、別途、受給権者の状況に応じて支給または停止
つまり、在職老齢年金で一部停止になっても加給年金額は独立して支給判定が行われます。ただし配偶者が老齢厚生年金(20年以上)を受給するようになると加給年金額は「振替加算」として配偶者側の基礎年金に移行します。この複雑な連鎖が社労士実務での年金相談の難所です。
【在職老齢年金と「繰り下げ」の交差点(難問・上位接続)】
令和4年4月から、在職中でも老齢厚生年金を「繰り下げ」扱いにして増額を得られる「在職定時改定」制度が新設されました(厚年法第43条の2):
- 毎年9月1日時点で在職しており年金受給している65歳以上の者に、過去1年分の被保険者期間を加算して年金額を改定(在職定時改定)
- 在職老齢年金で停止されていた部分も、被保険者期間として積み上がり、退職後の年金額に反映
これにより「在職中も働けば働くほど将来の年金が増える」というインセンティブが設計されており、高齢者就労と年金制度の両立を図る最新の政策転換です。社労士実務では、顧客(高齢就労者)に「今働くことで将来の年金が増える」という具体的計算を示すことが重要業務となります。
【標準報酬月額の上限と在職老齢年金の関係】
令和8年度の厚生年金標準報酬月額上限(65万円・VolatileBox: KOSEI_HYOJUN_HOSHU_MAX)と在職老齢年金の調整額(65万円・VolatileBox: ZAIRO_TEISHI_CHOSEI)がたまたま同じ額であることは、試験での混同を招きやすいポイントです。これらは全く別の概念:
- 標準報酬月額上限(65万円): 報酬から保険料を算定する際の上限
- 支給停止調整額(65万円): 在職老齢年金の停止計算の閾値
令和9年9月〜の標準報酬上限(68万円への引上げ)後は両者の数値が異なるため、混同の機会は減りますが、令和8年度試験では「同じ65万円の二つの意味」を正確に区別できることが高得点のポイントです。
<!-- 監修確定 2026-06-07(legal-reviser): 結果=令和8年4月施行の在職老齢年金支給停止調整額65万円は日本年金機構公式(nenkin.go.jp/tokusetsu/zairoukaisei.html)・政府広報オンライン・厚労省告示で一次確認済。法律成立時(2025年6月)の閾値表記は62万円とする記事も一部あるが、これは法律成立時点での暫定値で、その後の賃金変動に応じた政令改定で65万円に確定(毎年度賃金変動に応じて改定)。低在老(60〜64歳)と高在老(65歳以上)の統一は令和4年4月(28万円→47万円→令和8年度65万円)。在職定時改定(厚年法第43条の2)も令和4年4月新設で正確。基本月額は加給年金額を除く(厚年法第46条)・超過額の2分の1停止も正確。一次ソース: 年金機構zairoukaisei.html・政府広報・厚労省001639615.pdf。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第46条(在職老齢年金・支給停止)、厚生年金保険法等の一部を改正する法律(令和6年改正・2026年4月施行) 数値参照: ZAIRO_TEISHI_CHOSEI={{ZAIRO_TEISHI_CHOSEI}}(65万円/月)・2026-04-01発効・revision_type=structural(前年度50万円からの大幅引上げ)・令和8年度試験基準日時点施行済(一次確認: 厚労省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00022.html) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-07)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。