問題
障害厚生年金および障害手当金に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイ(誤っている記述)です。
イの誤りは「最低保障額は老齢基礎年金の満額の3分の2に相当する額」という部分です。障害厚生年金3級の最低保障額は、老齢基礎年金(障害基礎年金2級)の満額の4分の3に相当する額です(厚年法第50条第3項・施行令)。令和8年度の具体額は 635,500円/年(昭和31.4.2以後生まれ)、633,700円/年(昭和31.4.1以前生まれ)。「3分の2」とするイは誤りです(試験頻出の引っかけパターン)。
エは正しく、1級は1.25倍・2級は100%という等級別の乗率は試験頻出です。
障害厚生年金と障害手当金の比較(必須整理):
| 給付種別 | 等級・状態 | 性格 | 支給形態 |
|---|---|---|---|
| 障害厚生年金1級 | 障害等級1級 | 報酬比例額×1.25倍(+障害基礎年金1級) | 年金(継続) |
| 障害厚生年金2級 | 障害等級2級 | 報酬比例額×1.00倍(+障害基礎年金2級) | 年金(継続) |
| 障害厚生年金3級 | 障害等級3級 | 報酬比例額(最低保障額あり)・基礎年金なし | 年金(継続) |
| 障害手当金 | 3級相当より軽い・治癒済み | 報酬比例額×2倍(最低保障額あり) | 一時金(1回のみ) |
障害厚生年金3級の最低保障額(令和8年度・確定値):
- 昭和31年4月2日以後生まれ: 635,500円/年(635,500円)
- 昭和31年4月1日以前生まれ: 633,700円/年(633,700円)
- 計算根拠: 老齢基礎年金満額×3/4=70,608×12×3/4=635,472円≒635,500円(端数調整)
- 条文根拠: 厚年法第50条第3項(最低保障額の規定)
障害手当金の最低保障額(令和8年度):
- 昭和31年4月2日以後生まれ: 1,271,000円(1,271,000円・一時金)
- 障害厚生年金3級最低保障額の2倍相当(厚年法第57条ただし書)
各選択肢の解説:
- ア(正): 障害厚生年金は1・2・3級が対象(障害基礎年金は1・2級のみ)。初診日に厚生年金被保険者であることが必須要件。
- イ(誤・正答): 障害厚生年金3級の最低保障額は「老齢基礎年金(障害基礎年金2級)の満額の4分の3」相当(厚年法第50条第3項・施行令)。「3分の2」とするイは数値が異なる誤り。令和8年度の確定値は 635,500円/年(S31.4.2以後)。試験の頻出ひっかけパターン(4分の3 vs 3分の2)。
- ウ(正): 障害手当金の要件「初診日から5年以内に治癒(症状固定)」「3級より軽い障害」「一時金」は正確(厚年法第55条)。
- エ(正): 1級1.25倍・2級1.00倍・3級最低保障は条文通り(厚年法第50条)。
- オ(正): 障害手当金の額は「報酬比例額の2倍」(厚年法第57条)・最低保障額あり・一時金。この「2倍」という乗率は頻出。
【「障害等級3級」と「障害手当金」の境界線:「治癒(症状固定)」要件の重要性】
障害手当金と障害厚生年金3級の違いは「傷病が治癒(症状固定)しているかどうか」です:
- 障害厚生年金3級: 治癒(症状固定)していなくても支給。障害状態が継続している場合。
- 障害手当金: 「治癒(症状固定)」が必須要件。症状が固定して「これ以上改善しない」状態になって初めて支給対象となる。
「治癒(症状固定)」の判断は実務上難しく、特にがん・精神疾患・多発性硬化症などの難病では症状固定の判定が医師によって異なることがあります。社労士の障害年金申請サポート業務では、この「治癒・症状固定」の判断が申請戦略(年金か一時金か・認定日の設定)に大きく影響します。
【障害厚生年金の「被保険者期間の最低保障」計算】
報酬比例部分の計算では、被保険者期間が短い場合に「最低保障期間(300か月)」が適用されます(厚年法第50条第1項):
- 実際の被保険者月数が300か月未満の場合、300か月で計算したものとみなす
- これにより、若年での障害発症・短期間の加入でも最低限の年金額が保障される
例: 実際の被保険者期間が60か月の者が障害厚生年金2級に認定された場合:
- 実際の計算: 平均標準報酬額×5.481/1000×60か月
- 最低保障適用後: 平均標準報酬額×5.481/1000×300か月(5倍の期間で計算)
この最低保障は障害基礎年金にはない厚生年金独自の制度で、若年障害者の保護として機能しています。
【障害手当金が「年金」より有利なケース】
障害手当金(一時金)と障害厚生年金3級(年金)の比較:
- 障害手当金の額: 報酬比例額×2(例: 報酬比例が年300万円なら600万円の一時金)
- 障害厚生年金3級: 報酬比例額を毎年受給(上記なら毎年300万円)
単純計算では2年分で一時金と同額になりますが、どちらを受けるかを本人が自由に選べるわけではありません:
1. 障害手当金は、傷病が治った(症状が固定した)うえで、障害の程度が3級より軽い一定の状態である場合の給付(厚年法第55条)
2. 治っていても障害の程度が3級以上であれば、障害手当金ではなく障害厚生年金が支給される
3. 3級に該当しない(より軽度)な障害の場合は、要件を満たせば障害手当金のみとなる
実務では、症状が固定したか・障害の程度がどの等級に当たるかを診断書で正確に確認することが求められます。
【障害等級認定の「不服申立て」と社労士の実務】
障害年金の不支給・等級認定に不満がある場合の対応:
1. 審査請求: 処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に地方厚生(支)局の社会保険審査官に審査請求(社審法第4条・H28.4施行で60日→3か月に延長)
2. 再審査請求: 審査官の決定書送付日の翌日から2か月以内に社会保険審査会に再審査請求(社審法第32条)
3. 行政訴訟: 再審査請求の裁決後6か月以内に裁判所に提訴(行政事件訴訟法第14条)
社会保険労務士は、審査請求・再審査請求について代理することを業として行えます(社労士法第2条第1項第1号の3)。特定社会保険労務士に限られるのは紛争解決手続代理業務(同項第1号の4〜第1号の6)で、審査請求の代理は特定社労士に限られません。これは試験の「社一・社労士法」科目(shaichi_04)との横断論点です。障害年金の審査請求代理は開業社労士の主要業務領域のひとつです。
【1級・2級・3級と「併合認定」「相当因果関係」の難問領域】
複数の障害がある場合の等級認定:
- 併合認定(厚年法第48条): 障害厚生年金の受給権者(権利を取得した当時から引き続き障害等級1級・2級に該当しない程度の障害の状態にある者を除く)に更に障害厚生年金を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害厚生年金を支給し、従前の受給権は消滅する(同条第1項・第2項)。当初から3級の状態が続いている受給権者は併合の対象外
- 前後障害の相当因果関係: 初診日の特定が複数の傷病にまたがる場合に、どの傷病の初診日を基準とするかが問題
これらは社労士試験の難問領域で、択一式よりも選択式問題で出題される傾向があります。特に「初診日の認定」「相当因果関係の判定」は厚労省の障害認定基準通達と実務運用の理解が必要です。
- 厚生年金保険法第50条・第57条・第55条・第48条e-Govで原文を読む
- 行政事件訴訟法第14条e-Govで原文を読む
- 社会保険労務士法第2条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第47条(障害厚生年金の支給要件)・第50条(障害厚生年金の額・3項最低保障額)・第55条(障害手当金)・第57条(障害手当金の額・ただし書で最低保障額) 参照した数値: 厚生年金 標準報酬月額 上限(第32級):650,000円/月(65万円/月・令和8年度・第32級)・障害厚生年金 3級 最低保障額(昭和31年4月2日以後生まれ):635,500円/年(S31.4.2以後)・障害厚生年金 3級 最低保障額(昭和31年4月1日以前生まれ):633,700円/年(S31.4.1以前)・障害手当金 最低保障額(一時金・昭和31年4月2日以後生まれ):1,271,000円(S31.4.2以後)・2026-04-01発効(一次確認: 日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/jukyu-yoken/20150401-02.html・令和8年4月分からの年金額等 https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/kojin/2026/202604/0401.html) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

