厚生年金保険法6厚生年金保険法

社労士 厚生年金保険法 問6:厚生年金保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-07

遺族厚生年金および中高齢寡婦加算に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 遺族厚生年金の「短期要件」とは、厚生年金保険の被保険者または被保険者であった者が死亡した場合に成立する要件であり、被保険者期間の長短を問わず、保険料納付要件(3分の2要件または直近1年特例)を満たすことで受給権が発生する。
  • 遺族厚生年金の「長期要件」とは、老齢厚生年金の受給資格期間(25年以上)を満たした者の死亡の場合に成立する要件であり、長期要件による遺族厚生年金では保険料納付要件は問われない。
  • 中高齢寡婦加算は、夫の死亡時に40歳以上65歳未満の妻(子のない妻、または遺族基礎年金の受給権を失った40歳以上の妻)が遺族厚生年金を受給している場合に加算される額であり、65歳到達まで継続して支給される。
  • 遺族厚生年金の受給権者は、配偶者(妻・夫)・子・父母・孫・祖父母の順に優先され、最も優先順位の高い受給権者が受給する。夫の受給権は、死亡時に55歳以上であれば発生するが、60歳に達するまで支給が停止される。
  • 遺族厚生年金の年金額は、死亡した者の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3に相当する額であるが、保険料納付済期間等が300か月に満たない場合は300か月として計算する。正答
正答:遺族厚生年金の年金額は、死亡した者の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3に相当する額であるが、保険料納付済期間等が300か月に満たない場合は300か月として計算する。

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正答はオです。

遺族厚生年金の年金額は死亡した者の「老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3(75%)」が基本です(厚生年金保険法第63条)。また被保険者期間が300か月(25年)に満たない場合は300か月として計算する最低保障があります。オはこれを正確に記述しています。

イは誤りで、「長期要件」の受給資格期間は現行「10年以上」です(平成29年に25年→10年に短縮)。「25年以上」とするイは改正前の要件であり誤りです。

エは一部誤りで、夫の遺族厚生年金の受給権は「死亡時に55歳以上」で発生し、「60歳に達するまで支給停止」というのは正しいですが、遺族基礎年金を受給している場合は60歳前でも遺族厚生年金を受給できます(遺族基礎年金と連動)。この点でエは不正確です。

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遺族厚生年金 支給要件の短期・長期要件(必須整理):

| 要件 | 内容 | 保険料納付要件 |

|---|---|---|

| 短期要件① | 被保険者の死亡 | 3分の2要件または直近1年特例が必要 |

| 短期要件② | 被保険者であった者(退職後5年以内)の傷病起因による死亡 | 同上 |

| 短期要件③ | 障害厚生年金の受給権者(1・2級)の死亡 | 不要(既に受給中) |

| 長期要件 | 老齢厚生年金の受給権者(受給資格期間10年以上)の死亡 | 不要 |

中高齢寡婦加算の要件:

| 要件 | 内容 |

|---|---|

| 対象者 | 死亡した夫の遺族厚生年金を受給する40歳以上65歳未満の妻 |

| 子なし要件 | 子がいない妻、または遺族基礎年金の受給権を失った後40歳以上の妻 |

| 支給期間 | 40歳から65歳に達するまで |

| 年金額(令和8年度) | 635,500円/年円/年(635,500円) =老齢基礎年金満額×3/4相当 |

| 消滅 | 65歳到達時に「経過的寡婦加算」に移行(昭和31年4月1日以前生まれの妻のみ) |

各選択肢の解説:

  • ア(正): 短期要件①②では保険料納付要件(3分の2または直近1年特例)が必要。この点はアの記述通りで正しい。ただし「被保険者期間の長短を問わず」という部分も正しい(被保険者期間に下限はない)。
  • イ(誤): 長期要件の受給資格期間は平成29年8月以降10年以上(旧25年以上は廃止)。「25年以上」とするイは改正前の要件で誤りです。
  • ウ(正): 中高齢寡婦加算は「40歳以上65歳未満」「夫の遺族厚生年金受給中」「子なし(または遺族基礎年金失権後の40歳以上)」。65歳まで支給される点も正しい。
  • エ(一部正・一部誤): 夫の受給権が55歳以上で発生し60歳まで停止は原則正しいですが、遺族基礎年金を受給中の夫は60歳前でも遺族厚生年金を受給できます(厚年法第65条の2)。エの記述は「遺族基礎年金受給時の例外」が抜けているため不完全で、正答にはなりません。
  • オ(正): 4分の3(75%)・300か月最低保障は条文通り(厚年法第63条・第63条第3項)。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【短期要件の「退職後5年以内」と「傷病起因」の詳細】

短期要件②(被保険者であった者の死亡)には「初診日から5年以内の死亡」(傷病起因)の要件があります(厚年法第58条第1項第2号):

  • 退職後5年以内に死亡しても、退職後に発症した傷病(退職後初診)では短期要件に該当しない可能性がある
  • ただし退職前から継続していた傷病(初診日が退職前)で退職後5年以内に死亡した場合は短期要件に該当
  • 「退職後5年以内の死亡」と「傷病の初診日が被保険者期間中」という2要件の組み合わせが判断基準

実務では、退職後の就職状況・傷病の初診日・死亡原因の確認が遺族厚生年金申請の重要確認事項です。

【長期要件の「受給資格期間10年」への短縮(平成29年改正)の影響】

平成29年8月以前は「老齢年金の受給資格期間25年以上」でないと長期要件が充足せず、遺族厚生年金の長期要件で権利が生じる死亡者は限られていました。10年への短縮(平成29年8月1日施行)により:

  • 厚生年金・国民年金合算で10年以上の加入期間がある者(=現在の受給資格を満たす者全員)の死亡で長期要件が充足
  • つまり現在は長期要件(保険料納付要件なし)が非常に使いやすくなっている
  • ただし「10年の受給資格期間」の中に厚生年金期間が1か月も含まれない(国民年金のみ10年)の場合は遺族厚生年金は発生しない(遺族基礎年金は発生)

【夫・父母・祖父母の「55歳受給権・60歳支給開始」の例外の詳細】

夫・父母・祖父母の遺族厚生年金は「受給権は55歳以上で発生するが支給は60歳から」が原則です(厚年法第65条)。ただし以下の例外があります:

| 例外ケース | 内容 |

|---|---|

| 遺族基礎年金を受給中 | 子がいる夫が遺族基礎年金を受給している間は遺族厚生年金も60歳前に支給 |

| 障害等級1・2級 | 受給権者(夫等)が障害1・2級に該当する場合は年齢に関係なく支給 |

夫の場合、平成26年改正で遺族基礎年金の対象が「父子家庭」にも広がったため、「子のある夫→遺族基礎年金+遺族厚生年金(60歳前でも)」が可能になりました(kokunen_05との連動)。

【中高齢寡婦加算から経過的寡婦加算へのバトンタッチ】

中高齢寡婦加算(40〜65歳)と経過的寡婦加算(65歳〜)の関係:

  • 65歳到達で中高齢寡婦加算は終了
  • 代わりに昭和31年4月1日以前生まれの妻には「経過的寡婦加算」が付加(厚年法附則第73条の2)
  • 経過的寡婦加算の額は「振替加算相当額との差額」(振替加算のない者や振替加算より中高齢寡婦加算が多かった者への補完)

昭和31年4月2日以後生まれの妻は経過的寡婦加算の対象外のため、65歳で中高齢寡婦加算が終了すると老齢基礎年金(振替加算付き・昭和41年4月1日以前生まれの場合)に移行するか、振替加算なし(昭和41年4月2日以後生まれ)の老齢基礎年金のみとなります。

この「中高齢寡婦加算→経過的寡婦加算→振替加算(あれば)」という複合的なバトンタッチの理解は社労士試験の難問領域であり、加給年金(kounen_04)との横断整理が効果的です。

【遺族厚生年金の「5年の壁」と実務における支給停止戦略】

65歳以降の老齢厚生年金と遺族厚生年金の調整(厚年法第64条の2)では、「老齢厚生年金の全額を優先受給し、遺族厚生年金はそれを超える部分のみ支給」という調整が行われます:

  • 遺族厚生年金(死亡した夫の報酬比例の3/4)が自身の老齢厚生年金より少ない場合→ 遺族厚生年金は実質的に受給できない(差額がゼロ)
  • 自身の老齢厚生年金が大きい(共働き世帯)→ 遺族厚生年金の実受給額が減少・場合によってはゼロ

これが「共働き世帯では遺族厚生年金がもらえないことがある」という事態を生み、社労士試験でも「老齢厚生年金と遺族厚生年金の調整」として出題されることがあります。老後の遺族保障設計において、生命保険・企業年金・確定拠出年金との組み合わせが重要です。

<!-- 監修確定 2026-06-07 legal-reviser: (1)正答オ(遺族厚生年金は死亡者の老齢厚生年金報酬比例の3/4・300か月最低保障)は厚年法第63条で確認・正しい。(2)選択肢イ:長期要件「受給資格期間25年以上」は平成29年8月改正で10年以上に短縮済=「25年以上」は誤りで作問の意図通り。(3)選択肢ア:短期要件①②の保険料納付要件必要は厚年法第58条第1項第4号で確認・正しい。(4)選択肢ウ:中高齢寡婦加算「40歳以上65歳未満・子なし又は遺族基礎失権後」は厚年法第62条で確認・正しい。(5)選択肢エ:夫の受給権「55歳以上・60歳まで支給停止」(厚年法第65条の2)は正しいが、遺族基礎年金併給時の60歳前支給(同条括弧書)の例外があり「不完全」→ 一部正・一部誤の評価。(6)中高齢寡婦加算令和8年度額635,500円(CHUKOREI_KAFU_KASAN)はvolatile_masterに新規登録済。基準日外改正混入なし。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第58条(遺族厚生年金の支給要件)・第60条(遺族の範囲と優先順位)・第62条(中高齢寡婦加算)・第63条(遺族厚生年金の額) 数値参照: KOSEI_HYOJUN_HOSHU_MAX={{KOSEI_HYOJUN_HOSHU_MAX}}(65万円/月・令和8年度)・CHUKOREI_KAFU_KASAN={{CHUKOREI_KAFU_KASAN}}(中高齢寡婦加算635,500円/年・令和8年度)・2026-04-01発効(一次確認: 日本年金機構 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/izokunenkin/jukyu-yoken/20150401-04.html・令和8年4月分からの年金額等 https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/kojin/2026/202604/0401.html) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-07)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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