問題
最低賃金法に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイ(正しい記述)です。
最低賃金法第6条第1項は「労働者が二以上の最低賃金の適用を受ける場合は、これらにおいて定める最低賃金額のうち最高のものにより第四条の規定を適用する」と定めています。地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が適用される労働者には、より高い方の額が保障されます。
アは誤りで、第7条の減額特例は、使用者が都道府県労働局長の許可を受けたときに限って使える制度であり、試の使用期間中の者でも許可なく減額することはできません。オは誤りで、派遣中の労働者には派遣先の地域の地域別最低賃金が適用されます(第13条)。ウは誤りで、特定最低賃金は地域別最低賃金額を上回るものでなければならず(第16条)、下回ることは認められません。エは誤りで、周知義務(第8条)違反の罰則は30万円以下の罰金です(第41条)。50万円以下は第4条(最低賃金の効力)違反の罰則です(第40条)。
最低賃金法の主要条文の整理:
| 条文 | 見出し | 内容 |
|---|---|---|
| 第6条 | 最低賃金の競合 | 二以上の最低賃金が適用される場合は最高額を適用 |
| 第7条 | 減額の特例 | 都道府県労働局長の許可を受けたとき、障害等により労働能力の低い者等について省令で定める率を乗じて減額した額で適用 |
| 第13条 | 派遣中の労働者 | 派遣先の事業場所在地の地域別最低賃金を適用 |
| 第16条 | 特定最低賃金の水準 | 地域別最低賃金額を上回るものでなければならない |
| 第40条 | 罰則(最重) | 第4条第1項違反(地域別・船員の特定最賃に限る)=50万円以下の罰金 |
| 第41条 | 罰則 | 第8条の周知義務違反等(地域別・船員の特定最賃に限る)=30万円以下の罰金 |
各選択肢の正誤:
- ア(誤): 7条は「都道府県労働局長の許可を受けたとき」に限り、試の使用期間中の者(2号)などについて減額した額で4条を適用する。許可なしの減額は認められない。
- オ(誤): 派遣先の地域、派遣元ではない。
- ウ(誤): 特定最低賃金は地域別を上回らなければならず、下回ることは認められない。
- エ(誤): 周知義務違反は30万円以下(41条)、50万円以下は第4条違反(40条)。
- イ(正): 6条どおり。
「40条=50万円・41条=30万円」の対応: 条文の号が進むほど罰則が軽くなるわけではなく、「最低賃金額そのものの不払い(4条違反)」は最も重い50万円以下、「周知義務・報告義務・検査拒否等の手続的な違反」は30万円以下、という区別を押さえることが重要です。
【第6条の「最低賃金の競合」が生じる場面】
最低賃金の競合は、ある労働者に地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が適用される場合に生じます。例えば、ある都道府県で特定の産業について特定最低賃金が決定されている場合、その都道府県内でその産業に従事する労働者には、その都道府県の地域別最低賃金と当該特定最低賃金の両方が適用され得ます。第6条第1項は、このような場合に「最高のもの」を適用すると定めており、労働者に最も有利な基準が保障される仕組みです。
第6条第2項は「前項の場合においても、第九条第一項に規定する地域別最低賃金において定める最低賃金額については、第四条第一項及び第四十条の規定の適用があるものとする」と定め、地域別最低賃金の効力(第4条)と罰則(第40条)は、特定最低賃金が適用される場合であっても常に及ぶことを確認しています。
【第7条の減額の特例の対象と手続】
第7条は、次の4類型の労働者について、都道府県労働局長の許可を受けたときに、最低賃金額から労働能力その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める率を乗じて得た額を減額した額により第4条を適用すると定めています。
1. 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
2. 試の使用期間中の者
3. 職業能力開発促進法の認定職業訓練のうち、職業に必要な基礎的技能等を習得させる訓練を受ける者であって厚生労働省令で定めるもの
4. 軽易な業務に従事する者その他厚生労働省令で定める者
「許可を受けたとき」に「減額した額」で適用するのであって、最低賃金の適用そのものを免れる制度ではありません。許可を受けずに減額して支払えば、通常どおり第4条第1項違反となり、地域別最低賃金(及び船員に適用される特定最低賃金)に係るものであれば第40条の罰則(50万円以下の罰金)の対象になります。
【第13条の派遣労働者への適用と実務】
第13条が派遣中の労働者について派遣先の地域の地域別最低賃金を適用すると定めているのは、派遣労働者が実際に労務を提供する場所(派遣先)の労働市場の水準に合わせることが、同一の職場で働く労働者間の公平性の観点から適切と考えられているためです。派遣元の所在地と派遣先の所在地が異なる都道府県にまたがる場合(例: 派遣元が大阪、派遣先が東京)、適用される最低賃金は派遣先である東京都の地域別最低賃金です。派遣会社の給与計算実務では、この「派遣先地域の最低賃金」を正確に反映させることが必須です。
【第16条が特定最低賃金の「下回り」を禁じる理由】
第16条は、特定最低賃金において定める最低賃金額は、当該特定最低賃金の適用を受ける使用者の事業場の所在地を含む地域について決定された地域別最低賃金額を上回るものでなければならないと定めています。特定最低賃金は地域別最低賃金の「上乗せ」として位置づけられており、第6条第2項が地域別最低賃金について第4条第1項と第40条の適用を確保していることと合わせて、特定最低賃金が適用される労働者にも地域別最低賃金以上の水準が保障される仕組みです。なお、派遣中の労働者については、派遣先の事業と同種の事業等に特定最低賃金が適用されている場合、その特定最低賃金が適用されます(第18条)。
【社労士実務との関係】
社労士は、最低賃金の各種特例(減額特例・派遣労働者への適用)を踏まえた賃金台帳の点検、地域別・特定最低賃金の両方が適用される事業所での適用最低賃金額の確認、減額特例の許可申請の代行を担います。特に第7条の減額特例は許可制であるため、無許可での賃金減額(実質的な最低賃金割れ)が生じていないかの確認が実務上重要です。
- 最低賃金法第6条e-Govで原文を読む
- 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 最低賃金法第6条(最低賃金の競合・最高のものを適用)・第7条(最低賃金の減額の特例・都道府県労働局長の許可)・第13条(派遣中の労働者の地域別最低賃金・派遣先の地域)・第16条(特定最低賃金は地域別最低賃金額を上回るものでなければならない)・第40条(第4条違反=50万円以下の罰金)・第41条(第8条の周知義務違反=30万円以下の罰金) 一次ソース: e-Gov 法令API v2 `law_data/334AC0000000137`(最低賃金法)を2026-04-01時点(asof 指定)で取得し、4条・6条・7条・8条・13条・16条・18条・40条・41条の条文全文で正誤を確認した。 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

