社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 労働基準法 問2|労働時間・36協定の上限規制

問題

社労士 | 労働基準法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

時間外労働及び休日労働に関する協定(いわゆる36協定)の上限規制に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。なお、特段の定めがある場合を除き、通常の規定(附則第139条〜第141条の特例が適用される災害時の復旧・復興の事業、自動車の運転の業務、医師等を除く)を前提とする。

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答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はウ(正しい記述)です。

36協定の特別条項を活用して時間外労働が月45時間を超えることができるのは、1年のうち最大6か月と条文で定められています(労基法第36条第5項)。これは「働き方改革」関連法により2019年4月(中小企業は2020年4月)から施行された重要な上限規制です。

アは誤りで、「年960時間」は2024年4月から自動車運転の業務に適用された特例の上限値(労基法附則第140条)であり、一般事業の特別条項の上限は年720時間です。後段「月100時間以上となってはならない(=月100時間未満)」自体は正しい数値ですが、前段の「年960時間」が明確に誤っています。イは誤りで、特別条項により延長できるのは「年720時間・月100時間未満」(イは「月100時間まで」と書いており100時間ちょうども可と読めるため誤り)。エは誤りで、法定休日労働は原則の限度時間(月45h・年360h)には含まれず、年720時間にも含まれません(時間外のみ)。月の上限(100時間未満・複数月平均80時間)では合算されます。オは誤りで、特別条項は36協定の一部として協定・届出するものであり、限度時間を超えて労働させるたびに労働基準監督署長へ届け出る仕組みはありません。

36協定の上限規制 全体マップ(2019年4月〜・令和8年度試験必須):

区分限度備考
原則(時間外のみ)月45時間以内・年360時間以内法定休日労働は含まない
特別条項の絶対上限(時間外のみ)年720時間以内法定休日労働は含まない
特別条項の絶対上限(時間外+法定休日)月100時間未満100時間ちょうどは違反
特別条項の絶対上限(2〜6か月平均)月平均80時間以内時間外+法定休日で合算
月45時間超可能な月数年6か月以内特別条項を定めた場合

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 「年960時間」は2024年4月から自動車運転の業務に適用された特例の上限値(附則第140条)であり、本問の前提(一般事業・特例業種を除く)における時間外労働の上限は年720時間(法第36条第5項)。「年960時間」は明確な誤り。後段「月100時間以上となってはならない」(=月100時間未満)は条文どおりだが、前段の誤りで全体として誤りとなる。
  • イ(誤): 特別条項の場合、月については「100時間未満」が上限であり、「1か月100時間まで延長できる」は誤り(100時間ちょうどは不可)。年720時間の部分は正しい。
  • ウ(正): 月45時間を超える月は年6か月以内(法第36条第5項)。社労士試験の最頻出数値の一つ。
  • エ(誤): 法定休日労働は原則の限度時間(月45h・年360h・年720h)には含まれない。ただし月100時間未満・複数月平均80時間以内の計算では時間外と合算される(二段階管理の重要論点)。「年720hの合算対象」が誤り。
  • オ(誤): 特別条項は36協定の協定事項(法第36条第5項)として、36協定と一体で締結・届出する(届出は法第36条第1項・施行規則第16条)。特別条項により限度時間を超えて労働させるたびに届け出る義務はなく、「その都度届出が必要」が誤り。

【36協定の上限規制の立法背景と構造】

2018年(平成30年)の「働き方改革関連法」による労基法第36条の大幅改正は、従来の「告示による努力目標」であった限度時間を法律の条文に格上げし、違反に罰則(現行は6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)を付した歴史的な改正です。大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から施行されました。

【条文の構造と計算上の「二段階管理」の論理】

36協定の上限規制は、条文上、次の三つのレイヤーで管理されます:

第1レイヤー(原則・法第36条第3項・第4項): 時間外労働のみ。月45時間・年360時間。法定休日労働は算入しない。

第2レイヤー(特別条項・法第36条第5項、実労働時間の上限は第6項): 「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に」限度時間を超えて労働させる必要がある場合にのみ定めることができる(第5項)。以下の三つの上限すべてを同時に満たすことが必要:

1. 時間外労働(法定休日労働を含まない): 年720時間以内(第5項)

2. 時間外労働+法定休日労働の合算: 単月100時間未満(協定は第5項、実労働時間は第6項第2号)

3. 時間外労働+法定休日労働の合算: 2〜6か月のいずれかの期間を平均して月80時間以内(第6項第3号)

なお第6項第2号・第3号は、特別条項の有無にかかわらず、36協定により時間外・休日労働をさせるすべての場合の実労働時間に課される要件です。

この「時間外のみで年720時間」と「時間外+休日で月100時間未満」の二重管理が、社労士試験で最も問われる論点です。「法定休日労働を年720時間に含めるか否か」が問いの核心であり、含めない(年720hは時間外のみ) が正解です。

【月45時間超可能月数「6か月」の意味】

「月45時間を超えることができるのは年6か月まで」という規制は、実質的に「特別条項があっても1年の半分以上は恒常的な長時間労働を許さない」という趣旨です。仮に12か月毎月45時間超の時間外労働が続けば、それは「臨時的な特別の事情」とは言えないという判断が背景にあります。

【「臨時的な特別の事情」要件の実務的解釈】

特別条項を定めることができるのは、第5項の「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に」限度時間を超えて労働させる必要がある場合に限られます。条文の文言上、通常予見される業務量の変化は特別条項の理由になりません(原則の限度時間は第3項で「通常予見される時間外労働の範囲内」とされています)。この点は社会保険労務士が36協定の作成・就業規則の整備を支援する際に重要な実務論点となります。

【業種別の適用猶予(令和8年度試験注意点)】

2024年3月末に一部業種の適用猶予が終了し、以下のとおり変更されました:

  • 工作物の建設の事業: 2024年4月から一般と同じ上限規制(年720時間等)が適用。ただし災害時の復旧・復興の事業に限り、月100時間未満・複数月平均80時間以内の規制は適用されない(附則第139条第1項)。
  • 自動車運転の業務: 特別条項の上限は年960時間。月100時間未満・複数月平均80時間以内と、月45時間超は年6か月以内の規制は適用されない(附則第140条第1項)。
  • 医師: 別途、厚生労働省令で上限を定める特例(附則第141条)。
  • 一般的な上限規制(年720h・月100h未満・平均80h・月45h超6か月以内)と業種特例を区別して学習することが必要。

【違反した場合のサンクション(実務接続)】

36協定の上限規制に違反した場合、労基法第119条により6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されます(告示違反であった旧制度とは異なり、刑事罰の対象)。また上限規制違反は労働基準監督官による臨検・是正勧告の対象となり、是正されない場合は送検される場合もあります。社会保険労務士にとっても、労働時間管理の相談・対応の中心となる領域です。

根拠: 労働基準法第36条第3〜6項、同法第119条。働き方改革関連法(2018年7月成立・大企業2019年4月・中小企業2020年4月施行)。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第36条(時間外及び休日の労働)、労働基準法施行規則第16条(36協定の届出=様式第9号ほか) 数値根拠: 月45時間・年360時間(原則)、月100時間未満・年720時間(特別条項上限)は条文値(法定数値)のため直書き可。複数月平均80時間以内も条文値。 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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  • 頻出度A

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