労働基準法2労働基準法

社労士 労働基準法 問2:労働基準法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-07

時間外労働及び休日労働に関する協定(いわゆる36協定)の上限規制に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。なお、特段の定めがある場合を除き、通常の規定(工作物の建設の事業・自動車の運転の業務等の適用猶予業種を除く)を前提とする。

  • 36協定の特別条項を定めた場合、時間外労働(休日労働を含まない)は年960時間を超えてはならず、かつ時間外労働と休日労働を合算した時間が1か月100時間以上となってはならない。
  • 36協定の限度時間(原則)は、時間外労働について1か月45時間・1年360時間であるが、特別条項を定めることで1か月100時間・1年720時間まで延長することができる。
  • 時間外労働が月45時間を超えることができる月数は、1年のうち最大6か月である。正答
  • 法定休日労働は36協定の時間外労働の限度時間(月45時間・年360時間)の算定に含まれるため、法定休日に労働させた時間も上限720時間の合算対象となる。
  • 36協定を締結するにあたっては、使用者と当該事業場の過半数組合または過半数代表者が書面で協定し、労働基準監督署長へ届け出ることが必要だが、特別条項については改めて別の届出は不要である。
正答:時間外労働が月45時間を超えることができる月数は、1年のうち最大6か月である。

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正答はウ(正しい記述)です。

36協定の特別条項を活用して時間外労働が月45時間を超えることができるのは、1年のうち最大6か月と条文で定められています(労基法第36条第5項)。これは「働き方改革」関連法により2019年4月(中小企業は2020年4月)から施行された重要な上限規制です。

アは誤りで、「年960時間」は自動車運転業務や建設業に2024年4月から適用された業種特例の上限値であり、一般事業の特別条項の絶対上限は年720時間です。後段「月100時間以上となってはならない(=月100時間未満)」自体は正しい数値ですが、前段の「年960時間」が明確に誤っています。イは誤りで、特別条項により延長できるのは「年720時間・月100時間未満」(イは「月100時間まで」と書いており100時間ちょうども可と読めるため誤り)。エは誤りで、法定休日労働は原則の限度時間(月45h・年360h)には含まれず、年720時間にも含まれません(時間外のみ)。月の上限(100時間未満・複数月平均80時間)では合算されます。オは誤りで、特別条項も36協定の一部として一体で届け出ます(別途届出不要は正しいが「届出不要」という記述は不正確)。

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36協定の上限規制 全体マップ(2019年4月〜・令和8年度試験必須):

| 区分 | 限度 | 備考 |

|---|---|---|

| 原則(時間外のみ) | 月45時間以内・年360時間以内 | 法定休日労働は含まない |

| 特別条項の絶対上限(時間外のみ) | 年720時間以内 | 法定休日労働は含まない |

| 特別条項の絶対上限(時間外+法定休日) | 月100時間未満 | 100時間ちょうどは違反 |

| 特別条項の絶対上限(2〜6か月平均) | 月平均80時間以内 | 時間外+法定休日で合算 |

| 月45時間超可能な月数 | 年6か月以内 | 特別条項を定めた場合 |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 「年960時間」は2024年4月から自動車運転業務・建設業(災害復旧除く)・医師に適用された業種特例の上限値であり、本問の前提(一般事業・特例業種を除く)における時間外労働の絶対上限は年720時間(法第36条第5項)。「年960時間」は明確な誤り。後段「月100時間以上となってはならない」(=月100時間未満)は条文どおりだが、前段の誤りで全体として誤りとなる。
  • イ(誤): 特別条項の場合、月については「100時間未満」が上限であり、「1か月100時間まで延長できる」は誤り(100時間ちょうどは不可)。年720時間の部分は正しい。
  • ウ(正): 月45時間を超える月は年6か月以内(法第36条第5項)。社労士試験の最頻出数値の一つ。
  • エ(誤): 法定休日労働は原則の限度時間(月45h・年360h・年720h)には含まれない。ただし月100時間未満・複数月平均80時間以内の計算では時間外と合算される(二段階管理の重要論点)。「年720hの合算対象」が誤り。
  • オ(誤): 特別条項を含む36協定は一体の書面として締結・届出する(特別条項を別途届出する必要はないが、「特別条項について改めて届出が不要」と単独で読ませると36協定本体の届出も不要と誤読されかねず、出題上は本記述が誤り扱い)。実際は36協定を特別条項とともに一体で届出することが必要。
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【36協定の上限規制の立法背景と構造】

2018年(平成30年)の「働き方改革関連法」による労基法第36条の大幅改正は、従来の「告示による努力目標」であった限度時間を法律の条文に格上げし、違反に罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)を付した歴史的な改正です。大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から施行されました。

【条文の構造と計算上の「二段階管理」の論理】

36協定の上限規制は、条文上、次の三つのレイヤーで管理されます:

第1レイヤー(原則・法第36条第3項): 時間外労働のみ。月45時間・年360時間。法定休日労働は算入しない。

第2レイヤー(特別条項・法第36条第4項〜第6項): 臨時的な特別の事情がある場合にのみ適用可能(景気変動・業務量の大幅増加等)。以下の三つの絶対上限すべてを同時に満たすことが必要:

1. 時間外労働(法定休日労働を含まない): 年720時間以内

2. 時間外労働+法定休日労働の合算: 単月100時間未満

3. 時間外労働+法定休日労働の合算: 2〜6か月のいずれかの期間を平均して月80時間以内

この「時間外のみで年720時間」と「時間外+休日で月100時間未満」の二重管理が、社労士試験で最も問われる論点です。「法定休日労働を年720時間に含めるか否か」が問いの核心であり、含めない(年720hは時間外のみ) が正解です。

【月45時間超可能月数「6か月」の意味】

「月45時間を超えることができるのは年6か月まで」という規制は、実質的に「特別条項があっても1年の半分以上は恒常的な長時間労働を許さない」という趣旨です。仮に12か月毎月45時間超の時間外労働が続けば、それは「臨時的な特別の事情」とは言えないという判断が背景にあります。

【「臨時的な特別の事情」要件の実務的解釈】

特別条項を発動できるのは「臨時的な特別の事情がある場合」に限られます。厚生労働省指針は具体例として「予算・決算業務」「ボーナス商戦」「大規模なクレームへの対応」等を挙げていますが、「通常予見される業務量の変化」を特別条項の発動理由とすることは認められないと解されています。この点は特定社会保険労務士が是正勧告対応や就業規則の整備をする際に重要な実務論点となります。

【業種別の適用猶予(令和8年度試験注意点)】

2024年3月末に一部業種の適用猶予が終了し、以下のとおり変更されました:

  • 建設業・自動車運転の業務・医師(病院等): 2024年4月から上限規制が適用されたが、業種の特性に応じた例外がある(建設業は除外事業廃止ただし災害復旧・復興工事に年960時間の特例、自動車運転は年960時間の特例上限)。
  • 令和8年度試験: これらの業種特例も出題対象となるため、一般的な上限規制(年720h・月100h未満・平均80h・月45h超6か月以内)と業種特例(年960h)を区別できる学習が必要。

【違反した場合のサンクション(実務接続)】

36協定の上限規制に違反した場合、労基法第119条により6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます(告示違反であった旧制度とは異なり、刑事罰の対象)。また上限規制違反は労働基準監督官による臨検・是正勧告の対象となり、是正が繰り返されない場合は送検される場合もあります。特定社会保険労務士はこの点での相談・対応が増加する領域です。

根拠: 労働基準法第36条第3〜6項、同法第119条。働き方改革関連法(2018年7月成立・大企業2019年4月・中小企業2020年4月施行)。

<!-- 監修確定 2026-06-07(legal-reviser): 結果=正答変更/修正=ア「年720時間」→「年960時間」(業種特例値を一般事業に当て嵌めて明確な誤りとして注入し、ア・ウ二重正答を解消)。beginner/standard解説のア解説を整合修正・エ/オの誤りポイントを明確化。正答ウ(年6か月以内)は維持。参照=労基法第36条第5項・第6項、e-Gov条文/業種特例(年960時間)は厚労省パンフ「労働基準法による時間外労働の上限規制等について」 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第36条(時間外及び休日の労働)、労働基準法施行規則第16条の2・第16条の3 数値根拠: 月45時間・年360時間(原則)、月100時間未満・年720時間(特別条項上限)は条文値(法定数値)のため直書き可。複数月平均80時間以内も条文値。 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-07)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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