社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 労働基準法 問6|就業規則の作成・届出・周知・不利益変更

問題

社労士 | 労働基準法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

就業規則に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はア(正しい記述)です。

使用者は、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則を作成して所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません(労基法第89条)。「常時10人以上」の算定には、正社員だけでなくパートタイム労働者・有期雇用労働者も含めて計算します。労基法の「労働者」は、職業の種類を問わず事業に使用され賃金を支払われる者をいい(第9条)、雇用形態で区別していないためです。

イは誤りで、就業規則の作成・変更に必要なのは意見聴取であり、「同意」ではありません(労基法第90条第1項)。過半数代表の意見書を添付して届け出れば足り、同意がなくても就業規則は無効になりません。ウは誤りで、就業規則の不利益変更は「合理性」の有無によって有効性が判断されます(労契法第10条)。常に無効とはなりません。エは誤りで、周知の方法には掲示・備付けのほか、書面の交付、電子的に記録し各作業場で常時確認できる機器を設置する方法もあります(労基法第106条第1項・施行規則第52条の2)。オは誤りで、同意しない労働者にも変更後の就業規則が及ぶのは、変更後の就業規則を周知させ、かつ変更が合理的な場合です(労契法第10条)。周知がなければ効力は及びません。

就業規則の作成・届出・周知の義務(労基法第89〜92条・第106条):

事項内容
作成義務常時10人以上の事業場(パート・有期を含む)
届出先所轄の労働基準監督署長
意見聴取過半数組合または過半数代表者の意見書を添付(同意不要)
周知方法①常時各作業場の見やすい場所への掲示・備付け ②書面交付 ③電子的に記録し各作業場で常時確認できる機器を設置 のいずれか(施行規則第52条の2)
絶対的必要記載事項始終業時刻・休憩・休日・賃金の決定・計算・支払方法など(省略不可)
相対的必要記載事項退職手当・災害補償・表彰・制裁等(定める場合は必須記載)

就業規則の不利益変更(労契法第9条・第10条):

パターン根拠要件
労働者の合意がある変更労契法第9条(原則)個別合意で変更可(ただし「同意」の自由な意思が必要)
合意のない変更(不利益変更)労契法第10条(例外)変更に合理性があり、かつ周知されている場合のみ有効(不同意者にも効力)

合理性の判断要素(第10条・判例):

  • 労働者の受ける不利益の程度
  • 労働条件変更の必要性
  • 変更後の就業規則の内容の相当性
  • 労働組合等との交渉経緯
  • その他の事情

各選択肢の解説:

  • ア(正): 「常時10人以上」の算定にパート・有期を含める点が正確。第89条の「労働者」は第9条の定義(事業に使用され賃金を支払われる者)によるため、雇用形態を問わず数える。正社員のみで判断するという誤解を解く重要論点。
  • イ(誤): 作成・変更には意見聴取(同意不要)が法的要件(第90条第1項)。意見を聴取せずに届け出ても就業規則の成立自体は認められますが、手続き上の義務違反となります。
  • ウ(誤): 不利益変更が「常に無効」は誤り。労契法第10条の合理性要件を満たせば、不同意者にも変更効力が及びます。ただし高度な不利益は合理性のハードルが高くなります。
  • エ(誤): 周知方法は掲示・備付けに限られない。書面の交付、電子的に記録し各作業場で常時確認できる機器を設置する方法も認められる(第106条第1項・施行規則第52条の2)。
  • オ(誤): 労契法第10条は、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ変更が合理的なものであることを要件とする。「周知させていなくても」が誤り。

【就業規則の法的性質と「規範的効力」の根拠】

就業規則の法的性質は学説上争いがありましたが、最高裁(秋北バス事件・最大判昭和43年12月25日)は就業規則を「事業場の法規範」として、合理性のある就業規則は労働者を一方的に拘束するという規範的効力を認めました。この判例の立場を立法化したのが労働契約法第10条です。したがって、就業規則は単なる使用者の内部規程ではなく、合理的内容であれば労働契約の内容を一方的に規律する効力を持ちます。

【「常時10人以上」の算定と各種労働者の取扱い】

「常時」とは、常態として使用している状態をいいます。一時的に人数が増減しても、それだけで常時の人数は変わりません。算定の考え方:

  • パートタイム労働者・有期雇用労働者: 含む(第9条の「労働者」に当たるため)
  • 日雇い労働者: 常態として使用している人数に入るかで判断する
  • 派遣労働者: 労働契約を結んでいる派遣元の労働者として数え、就業規則の作成義務も派遣元が負う
  • 在籍出向者: 出向元・出向先の双方と労働関係があるため、扱いは個別の事情によります(本問の正誤には関係しません)

社労士実務では、規模の算定誤りによる就業規則未作成という違反事例が一定数あります。

【不利益変更の「合理性」判断の実際(重要判例)】

労契法第10条の「合理性」は抽象的であり、判例(大曲市農協事件・第四銀行事件・みちのく銀行事件等)の蓄積が判断基準を形成しています:

  • 退職金・賃金など重要な労働条件の不利益変更: そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容であることが求められる(大曲市農協事件・最判昭和63年2月16日は、合併に伴う退職金規定の変更の合理性を認めた)。
  • 賃金の減額: 変更の必要性・不利益の程度・代償措置等を総合して判断される(第四銀行事件・最判平成9年2月28日は、定年延長に伴う賃金減額の合理性を認めた。みちのく銀行事件・最判平成12年9月7日は、特定層に大きな不利益を与える変更に経過措置が不十分として合理性を否定)。
  • 就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分(勤務地・職種の限定合意など): 就業規則の変更だけでは変更できない(労契法第10条ただし書)。

【合意原則(第9条)と集団的変更(第10条)の使い分け】

労契法第9条は「合意原則」として個別の労働者の同意なく不利益変更はできないことを原則とし、第10条はその例外(合理性があれば一方的適用可)を定めます。重要なのは「第9条(合意原則)が基本」であり、「第10条(合理性による一方的変更)はあくまでも例外」という序列です。

実務上は第10条の合理性認定のリスクを回避するため、使用者が事前に過半数組合・過半数代表と十分に交渉し、実質的な同意を取り付けた上で変更するのが安全なアプローチです。

【就業規則の効力発生要件(周知+合理性の両方が必要)】

最高裁(フジ興産事件・最判平成15年10月10日)は、就業規則が法的規範として拘束力を生ずるためには、その適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要するとしています。これに内容の合理性を合わせて求めるのが労働契約法第7条・第10条です。周知は効力発生要件の一つであり、周知なき就業規則は労働者を拘束しません。

【「懲戒規定は就業規則に明記が必要」という実務の要請】

懲戒は就業規則に明示的に定めのある場合にのみ有効(フジ興産事件の同旨)。相対的必要記載事項(第89条第9号)として「制裁の種類および程度」は定める場合の記載義務がありますが、実務上は「懲戒事由を明示しない限り懲戒できない」という運用が定着しています。社労士が就業規則を整備する際、懲戒規定の網羅性と比例原則(軽微な違反に重い懲戒を課さない)の確保が重要なポイントとなります。

根拠: 労働基準法第89〜93条・第106条、労働契約法第9条・第10条、秋北バス事件(最大判昭和43年12月25日)・フジ興産事件(最判平成15年10月10日)等。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第89条(就業規則の作成・届出)、第90条(作成手続)、第106条(周知義務)、労働契約法第9条・第10条(就業規則による労働条件の不利益変更) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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  • 就業規則の作成・届出・周知・不利益変更
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