問題
年次有給休暇に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はオ(誤っている記述)です。
使用者が年5日の取得義務(労基法第39条第7項)に違反した場合の罰則は、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金ではなく、30万円以下の罰金のみです(労基法第120条第1号)。年5日取得義務違反は、拘禁刑を伴わない罰則(罰金刑のみ)として規定されています。
アは正しく、雇入れから6か月・8割以上出勤で10労働日付与は年次有給休暇の基本要件です。イは正しく、時季変更権は「事業の正常な運営を妨げる場合」のみ行使でき、日数の消滅はできません。ウは正しく、付与日数表より3年6か月後=14労働日が条文の定める正確な数値です。エは正しく、週4日・30時間未満の比例付与で1年6か月後の付与日数は8労働日です(施行規則第24条の3第3項)。
年次有給休暇 付与日数表(労基法第39条第2項・条文値):
| 継続勤務年数 | 通常付与日数 | 週4日(30時間未満)比例付与日数 |
|---|---|---|
| 6か月 | 10日 | 7日 |
| 1年6か月 | 11日 | 8日 |
| 2年6か月 | 12日 | 9日 |
| 3年6か月 | 14日 | 10日 |
| 4年6か月 | 16日 | 12日 |
| 5年6か月 | 18日 | 13日 |
| 6年6か月以上 | 20日 | 15日 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 雇入れから6か月継続勤務・全労働日8割以上出勤で10日付与は第39条第1項の基本要件。「継続しまたは分割した」という文言も条文に即した正確な表現。
- イ(正): 時季変更権(第39条第5項)は「事業の正常な運営を妨げる場合」のみ行使可能。時季を変更できるのみで、付与日数の消滅・拒否はできない。
- ウ(正): 付与日数表より、3年6か月後は14日。社労士試験頻出の確認ポイント(3年6か月で「14日」は表で4段階目の数値として必須暗記)。
- エ(正): 施行規則第24条の3第3項の表より、週4日・30時間未満の1年6か月後=8日。付与日数表と比例付与日数表を合わせて記憶することが高得点の鍵。
- オ(誤・正答): 年5日取得義務(第39条第7項)違反の罰則は労基法第120条第1号の30万円以下の罰金のみ。6か月以下の拘禁刑は規定されていない。「拘禁刑または罰金」が定められているのは、時間外・休日労働の実時間の上限(第36条第6項)違反(第119条第1号)等の重い違反であり、取得義務違反とは区別して理解する必要がある。
【年次有給休暇制度の立法趣旨と改正経緯】
年次有給休暇(労基法第39条)は、心身の疲労回復・ゆとりある生活の保障を目的とし、戦後労働法制の基幹として整備されてきました。2019年4月施行の「年5日取得義務化」は、我が国の年次有給休暇取得率の低さ(取得率50〜60%台)を打破するための強制的な措置として導入されました。
【時季指定権の法的性質と時季変更権の行使要件】
- 時季指定権(形成権的構成): 最高裁判例(白石営林署事件・最判昭和48年3月2日等)は、労働者が時季を指定すれば、法律上当然に休暇が成立するという「形成権的構成」を採用しています。したがって使用者の「承認」は本来不要であり、「申請→承認」という企業慣行は厳密には法的根拠がありません。
- 時季変更権の行使要件: 判例は「事業の正常な運営を妨げる場合」を、代替要員の確保可能性・業務の性質・繁忙度・労働者の人数等を総合して判断するとしています。判例は、使用者が代替勤務者の確保など状況に応じた配慮をしないまま時季変更権を行使することは許されないとしています。
【年5日取得義務(2019年4月〜)の詳細と罰則の整理】
年5日取得義務の運用ポイントと罰則の比較(社労士試験頻出の対比):
| 義務の種類 | 根拠条文 | 違反時の罰則 |
|---|---|---|
| 時間外・休日労働の実時間の上限(有害業務1日2時間・月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内)違反 | 労基法第36条第6項 | 第119条第1号: 6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
| 年5日取得義務違反 | 労基法第39条第7項 | 第120条第1号: 30万円以下の罰金(拘禁刑なし) |
| 割増賃金不払い | 労基法第37条 | 第119条第1号: 6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
| 就業規則の作成・届出義務違反 | 労基法第89条 | 第120条第1号: 30万円以下の罰金 |
※第119条第1号が挙げるのは第36条のうち第6項だけです。第39条も「第七項を除く」と書かれており、年5日取得義務(第7項)の違反だけが第120条に回されています。
この罰則の差(拘禁刑あり・なし)は、社労士試験で必ず問われる頻出論点です。拘禁刑のある罰則は、強制労働(第5条→第117条)、中間搾取(第6条→第118条第1項)、実時間の上限・割増賃金(第36条第6項・第37条→第119条第1号)のように、労働者の身体の自由・健康・賃金に直接関わる規定に置かれています。
【年5日取得義務の実務的要件】
1. 対象労働者: 年間10日以上の有給が付与されたすべての労働者(管理職を含む・パート・有期も対象)。
2. 基準日: 継続雇用6か月後または就業規則に定めた基準日。複数の基準日を設ける場合も可。
3. 「取得させる」方法の優先順位: ①労働者が自ら取得 → ②使用者が時季指定(労働者の意見聴取が前提) → ③計画年休(労使協定に基づく)。①と③の合算で5日に達していれば使用者の指定義務は発生しない。
4. 有給休暇管理簿の作成義務: 取得義務の管理のために、使用者は時季・日数・基準日を労働者ごとに明らかにした年次有給休暇管理簿を作成し、当該有給休暇を与えた期間中及びその満了後5年間保存しなければならない(施行規則第24条の7。当分の間は経過措置により3年間)。
【比例付与の適用範囲の詳細】
短時間労働者の比例付与(施行規則第24条の3)が適用されるのは「週所定労働日数が4日以下であり、かつ週所定労働時間が30時間未満の者」(または年間所定労働日数が216日以下の者)です。週4日でも週30時間以上であれば通常の付与日数(10〜20日)が適用される点が出題上の重要論点であり、「週4日・30時間以上=通常付与」「週4日・30時間未満=比例付与」の区分を正確に押さえる必要があります。
【上位資格(特定社労士・就業規則実務)への接続】
特定社労士の実務では、個別労働紛争の場面で「年次有給休暇の権利行使を理由とする不利益取扱い」の違法性が争われることがあります。また就業規則の整備において「計画年休制度」と「5日取得義務」の整合性を確保する設計が求められます。さらに在宅勤務・フレックスタイム制との組合せで有給休暇取得の時間管理が複雑になる事案が増えており、実務の最前線論点となっています。
根拠: 労働基準法第39条第1〜8項、同法第119条・第120条(罰則)、同法施行規則第24条の3・第24条の7。
- 労働基準法第39条・第120条・第36条・第37条・第89条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第39条(年次有給休暇)、同法施行規則第24条の3第3項(短時間労働者の比例付与の日数表)、同法第120条(罰則) 数値根拠: 付与日数表・比例付与日数表は条文値(法定数値)のため直書き可。 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

