労働基準法3労働基準法

社労士 労働基準法 問3:労働基準法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-07

年次有給休暇に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 使用者は、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続しまたは分割した10労働日の年次有給休暇を与えなければならない。
  • 使用者は、労働者が請求した時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合に限り、他の時季に変更する時季変更権を行使できるが、付与日数そのものを減らしたり消滅させたりすることはできない。
  • 年次有給休暇の付与日数は継続勤務年数に応じて増加し、雇入れから3年6か月後の基準日における付与日数は14労働日である。
  • 週所定労働日数が4日かつ週所定労働時間が30時間未満の短時間労働者については比例付与の規定が適用され、雇入れから1年6か月後の付与日数は8労働日となる。
  • 使用者は、年次有給休暇が10日以上付与された労働者に対し、基準日から1年以内に少なくとも5日を取得させる義務を負い、この義務に違反した場合には労働者1人当たり6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処される。正答
正答:使用者は、年次有給休暇が10日以上付与された労働者に対し、基準日から1年以内に少なくとも5日を取得させる義務を負い、この義務に違反した場合には労働者1人当たり6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処される。

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正答はオ(誤っている記述)です。

使用者が年5日の取得義務(労基法第39条第7項)に違反した場合の罰則は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金ではなく、30万円以下の罰金のみです(労基法第120条第1号)。年5日取得義務違反は、懲役刑を伴わない罰則(罰金刑のみ)として規定されています。

アは正しく、雇入れから6か月・8割以上出勤で10労働日付与は年次有給休暇の基本要件です。イは正しく、時季変更権は「事業の正常な運営を妨げる場合」のみ行使でき、日数の消滅はできません。ウは正しく、付与日数表より3年6か月後=14労働日が条文の定める正確な数値です。エは正しく、週4日・30時間未満の比例付与で1年6か月後の付与日数は8労働日です(施行規則別表第三)。

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年次有給休暇 付与日数表(労基法第39条第2項・条文値):

| 継続勤務年数 | 通常付与日数 | 週4日(30時間未満)比例付与日数 |

|---|---|---|

| 6か月 | 10日 | 7日 |

| 1年6か月 | 11日 | 8日 |

| 2年6か月 | 12日 | 9日 |

| 3年6か月 | 14日 | 10日 |

| 4年6か月 | 16日 | 12日 |

| 5年6か月 | 18日 | 13日 |

| 6年6か月以上 | 20日 | 15日 |

各選択肢の解説:

  • ア(正): 雇入れから6か月継続勤務・全労働日8割以上出勤で10日付与は第39条第1項の基本要件。「継続しまたは分割した」という文言も条文に即した正確な表現。
  • イ(正): 時季変更権(第39条第5項)は「事業の正常な運営を妨げる場合」のみ行使可能。時季を変更できるのみで、付与日数の消滅・拒否はできない。
  • ウ(正): 付与日数表より、3年6か月後は14日。社労士試験頻出の確認ポイント(3年6か月で「14日」は表で4段階目の数値として必須暗記)。
  • エ(正): 施行規則別表第三より、週4日・30時間未満の1年6か月後=8日。付与日数表と比例付与日数表を合わせて記憶することが高得点の鍵。
  • オ(誤・正答): 年5日取得義務(第39条第7項)違反の罰則は労基法第120条第1号の30万円以下の罰金のみ。6か月以下の懲役刑は規定されていない。「懲役または罰金」の両方が科されるのは、第36条の上限規制違反(第119条)等の重い違反であり、取得義務違反とは区別して理解する必要がある。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【年次有給休暇制度の立法趣旨と改正経緯】

年次有給休暇(労基法第39条)は、心身の疲労回復・ゆとりある生活の保障を目的とし、戦後労働法制の基幹として整備されてきました。2019年4月施行の「年5日取得義務化」は、我が国の年次有給休暇取得率の低さ(取得率50〜60%台)を打破するための強制的な措置として導入されました。

【時季指定権の法的性質と時季変更権の行使要件】

  • 時季指定権(形成権的構成): 最高裁判例(白石営林署事件・最判昭和48年3月2日等)は、労働者が時季を指定すれば、法律上当然に休暇が成立するという「形成権的構成」を採用しています。したがって使用者の「承認」は本来不要であり、「申請→承認」という企業慣行は厳密には法的根拠がありません。
  • 時季変更権の行使要件: 判例は「事業の正常な運営を妨げる場合」を、代替要員の確保可能性・業務の性質・繁忙度・労働者の人数等を総合して判断するとしています。代替要員が確保できるにもかかわらず時季変更権を行使した場合は違法となります(東京大学出版会事件・最判昭和62年7月10日)。

【年5日取得義務(2019年4月〜)の詳細と罰則の整理】

年5日取得義務の運用ポイントと罰則の比較(社労士試験頻出の対比):

| 義務の種類 | 根拠条文 | 違反時の罰則 |

|---|---|---|

| 36協定の上限規制違反 | 労基法第36条 | 第119条: 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金 |

| 年5日取得義務違反 | 労基法第39条第7項 | 第120条: 30万円以下の罰金(懲役刑なし) |

| 割増賃金不払い | 労基法第37条 | 第119条: 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金 |

| 就業規則の作成・届出義務違反 | 労基法第89条 | 第120条: 30万円以下の罰金 |

この罰則の差(懲役あり・なし)は、社労士試験で必ず問われる頻出論点です。重い罰則(第119条=懲役刑あり)は労働者の生命・健康・賃金に直接関わる規定(36協定上限・割増賃金・強制労働・中間搾取等)に集中しています。

【年5日取得義務の実務的要件】

1. 対象労働者: 年間10日以上の有給が付与されたすべての労働者(管理職を含む・パート・有期も対象)。

2. 基準日: 継続雇用6か月後または就業規則に定めた基準日。複数の基準日を設ける場合も可。

3. 「取得させる」方法の優先順位: ①労働者が自ら取得 → ②使用者が時季指定(労働者の意見聴取が前提) → ③計画年休(労使協定に基づく)。①と③の合算で5日に達していれば使用者の指定義務は発生しない。

4. 有給休暇管理簿の作成義務: 取得義務の管理のために、使用者は各労働者の有給休暇の取得状況を記録した管理簿を3年間保存しなければならない(施行規則第24条の7)。

【比例付与の適用範囲の詳細】

短時間労働者の比例付与(施行規則第24条の3)が適用されるのは「週所定労働日数が4日以下であり、かつ週所定労働時間が30時間未満の者」(または年間所定労働日数が216日以下の者)です。週4日でも週30時間以上であれば通常の付与日数(10〜20日)が適用される点が出題上の重要論点であり、「週4日・30時間以上=通常付与」「週4日・30時間未満=比例付与」の区分を正確に押さえる必要があります。

【上位資格(特定社労士・就業規則実務)への接続】

特定社労士の実務では、個別労働紛争の場面で「年次有給休暇の権利行使を理由とする不利益取扱い」の違法性が争われることがあります。また就業規則の整備において「計画年休制度」と「5日取得義務」の整合性を確保する設計が求められます。さらに在宅勤務・フレックスタイム制との組合せで有給休暇取得の時間管理が複雑になる事案が増えており、実務の最前線論点となっています。

根拠: 労働基準法第39条第1〜8項、同法第119条・第120条(罰則)、同法施行規則第24条の3・第24条の7・別表第三。

<!-- 監修確定 2026-06-07(legal-reviser): 結果=軽微修正のみ/正答変更なし。正答オ「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」は誤り(正しくは第120条第1号の30万円以下の罰金のみ)で条文どおり妥当。ア/イ/エ(週4日比例付与1年6か月=8日)/ウ(3年6か月=14日)の数値・要件はいずれも条文・施行規則別表第三と一致。参照=労基法第39条第7項・第120条第1号、施行規則別表第三 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法第39条(年次有給休暇)、同法施行規則第24条の3・別表第三(短時間労働者の比例付与)、同法第120条(罰則) 数値根拠: 付与日数表・比例付与日数表は条文値(法定数値)のため直書き可。 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-07)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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