宅建士 権利関係 問4:民法総則
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
不動産取引における時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア他人が所有する宅地を、所有の意思をもって平穏かつ公然に20年間占有した者は、善意・悪意に関わらず当該宅地の所有権を時効取得することができる。正答
- イ宅地の売買代金債権の消滅時効期間は、権利行使可能時から5年であり、10年の客観的起算点は廃止された。
- ウ時効の完成猶予のための「催告」を行った後、さらに催告を繰り返すことで、時効の完成を無限に延長することができる。
- エ宅地の所有権を時効取得した者が、時効完成前にその宅地を第三者に売却した場合、買主は登記なしに時効取得者(売主)に対して所有権を主張できる。
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民法では、他人の土地を所有の意思を持って平穏・公然に占有し続けると、一定期間後に所有権を取得できます(取得時効)。占有者が善意かつ過失がない場合は10年、悪意または過失がある場合は20年です。アは「善意・悪意に関わらず20年」の要件を正確に述べており正答です。短期(10年)は善意無過失が追加要件になります。
民法162条1項は、20年間所有の意思をもって平穏かつ公然に他人の物を占有した者はその所有権を取得する(長期取得時効)と定めます。同条2項は10年間の短期取得時効を定め「占有の始め善意であり、かつ過失がなかった」ことが追加要件です。アは20年間の要件として「善意・悪意を問わない」と正確に述べており正答。イについて、改正民法166条1項は①権利行使可能時から5年(主観的起算点)と②権利発生時から10年(客観的起算点)の短い方で消滅時効が完成すると定め、10年の客観的起算点は廃止されていないため誤り。ウについて、催告による時効の完成猶予(民法150条)は催告後6か月以内に裁判上の請求等をしなければ時効完成猶予の効力を生じません。催告の繰り返しによる二重の完成猶予は認められないため誤り(民法150条2項)。エについて、時効取得は援用(民法145条)によって確定します。時効完成後の第三者との関係(取消し後の第三者問題と類似)は民法177条の対抗問題となり、登記が必要になるため誤り。
取得時効の要件「所有の意思」(自主占有)の判断は、占有開始時の客観的事情によります(最判昭和45.6.18)。賃貸借・使用貸借等の他主占有では取得時効は成立しません。宅建実務では越境占有(境界紛争)・長期使用の駐車場・相続未了の土地占有が典型的な時効取得問題です。消滅時効については2020年改正で大きく変更されました。改正前は債権の消滅時効期間が原則10年でしたが、改正後は①主観的起算点(権利を行使することができることを知った時)から5年、②客観的起算点(権利を行使できる時)から10年、のいずれか早い方で消滅します(民法166条1項)。不法行為に基づく損害賠償請求権は、損害および加害者を知った時から3年または行為の時から20年(身体・生命侵害は5年)です(民法724条・724条の2)。時効の完成猶予・更新については2020年改正で「停止」「中断」の概念が整理されました。「猶予」は時効の進行を一時停止させるものであり、「更新」は時効期間をリセットするものです。催告(民法150条)は6か月の完成猶予効を持ちますが、再催告での延長は認められません。宅建業者が媒介する取引で取得時効が争点になる場合、宅建業法35条の重要事項説明の範囲(「法令上の制限」の説明義務)との交差も論点になり得ます。時効完成後の利害関係人(登記名義人・差押え債権者・第三取得者等)との対抗関係は民法177条で処理され、時効取得者も登記を備えなければ第三者に対抗できない点が実務上重要です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。