宅建士 権利関係 問6:民法物権
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
宅地建物取引業者Aが媒介した住宅ローンの担保として設定された抵当権に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- ア建物に抵当権が設定された後、その建物に取り付けられたエアコン(壁掛け型・建物に固定)は、抵当権の効力が及ぶ付加一体物に当たる。正答
- イ土地に抵当権が設定されている場合、その土地上の建物が後から建築されたとしても、土地の抵当権の効力は当然に建物にも及ぶ。
- ウ抵当権者は、設定者が第三者に対して有する賃料債権に対して物上代位権を行使することができないため、賃料を差し押さえることはできない。
- エ抵当権が設定された土地に、後から果樹園の果実(天然果実)が生じた場合、被担保債権の弁済期が到来するまでは抵当権の効力は果実に及ばない。
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抵当権の効力は、抵当不動産の「付加一体物」に及びます(民法370条)。壁掛け型エアコンのように建物に固定されて一体化したものは付加一体物として抵当権の効力が及びます。よってアが正答です。土地の抵当権は建物に自動的に及ぶわけではなく、建物別々に抵当権設定が必要な点(イが誤り)も重要です。
民法370条は抵当権の効力が「抵当不動産に付加してこれと一体をなした物」(付加一体物)に及ぶと定めます。付加一体物かどうかは建物との結合の程度(分離困難性・継続性)で判断します。壁掛け型エアコンは建物の壁に固定され分離すると建物の機能が損なわれるため付加一体物に該当しアが正答。イについて、土地の抵当権は建物に及びません(土地と建物は別個の不動産:民法86条1項)。土地抵当権実行時に建物が存在する場合は法定地上権(民法388条)が問題になります。ウについて、抵当権者は物上代位(民法372条・304条)により、設定者(抵当権設定者)が第三者(賃借人等)に対して有する賃料債権に対して、払渡し・引渡し前に差押えをすることで物上代位を行使できます。抵当権者が賃料差押えができないとするウは誤り。エについて、民法371条は「抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ」と定めます。債務不履行後に生じた果実には及びますが、弁済期到来「前」に生じた果実には及ばないため、エは部分的には正しい内容を含みますが「弁済期到来まで」という表現が条文の「不履行後」と合致しないため誤り。
抵当権の効力範囲は実務上極めて重要であり、担保評価(積算法・DCF法)に直結します。付加一体物(民法370条)と従物(民法87条)の区別も重要な論点です。従物は主物の処分に従うため(民法87条2項)、抵当権設定時に存在した従物には抵当権の効力が及びます(最判昭和44.3.28)。抵当権設定後に付加された従物への効力については争いがありますが、抵当不動産の経済的価値を構成するものとして効力が及ぶとする見解が有力です。物上代位(民法372条・304条)については、賃料債権への物上代位(最決平成元.10.27)が重要判例です。払渡しまたは引渡し前の差押えが要件であり(民法304条1項ただし書)、抵当権者自らが差押えをする必要があります(第三者が差押えした後でも可とする判例:最判平成10.1.30)。法定地上権(民法388条)は土地と建物が同一所有者に属する場合に土地に抵当権が設定され、その後競売によって土地と建物の所有者が分かれたときに建物所有者のために当然に成立する地上権です。法定地上権の成立要件(①抵当権設定時に土地上に建物が存在すること、②設定時に同一所有者、③競売で土地・建物の所有者が分離)は宅建の頻出事項です。一括競売(民法389条)は、法定地上権が成立しない場合(更地への抵当権設定後に建物建築)に抵当権者が土地・建物を一括して競売できる制度ですが、優先弁済は土地分のみです。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。