宅建士 権利関係 問5:民法物権
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-11)
AがBに対して宅地を売却した後、さらにCに対して同一宅地を売却した場合(二重売買)に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- アB・C双方がまだ登記を得ていない場合、先に売買契約が成立したBがCに対して優先的に所有権を主張することができる。
- イCがいまだ登記を備えていない場合、Bが登記を備えていなくても、Cに対して所有権を主張することができる。
- ウCが先に登記を備えた場合、CがBに対して所有権を主張するためにはBに比べて先に登記を備えたことのほか、善意であることも要件となる。
- エBがAの二重売買の背信的悪意者であるCから更に買い受けたDは、背信的悪意者からの転得者であっても、Dが善意であればBに対して登記なしに所有権を主張できる場合がある。正答
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不動産の所有権は、先に登記を備えた方が優先します(民法177条)。二重売買の場合、先に売買契約を結んでも登記がないと保護されません。ただし、著しく不公正な方法で権利を取得した「背信的悪意者」は民法177条の「第三者」に含まれません。背信的悪意者からの転得者は、転得者自身が善意であれば保護される場合があるためエが正答です。
民法177条は「不動産に関する物権の得喪及び変更は…登記をしなければ、第三者に対抗することができない」と定めます。二重売買において、B・Cは対抗関係に立ち、先に登記を備えた方が所有権を主張できます。アは「先に契約成立したBが優先」としており誤り(登記基準)。イは「Cが登記なし・Bが登記なし」の状況でBがCに対して主張できるか、という問題で、双方未登記の場合はいずれも対抗できず誤り。ウは民法177条の対抗要件は登記のみであり、善意・悪意は問いません(判例:最大判昭和35.3.2)。ただし背信的悪意者(登記欠缺を主張する正当な利益を有しない者)は「第三者」から排除されます。Cが単なる悪意者であれば登記優先であり、ウの「善意も要件」は誤り。エは背信的悪意者Cからの転得者Dについて、最高裁判例(最判平成8.10.29)は転得者が独立した評価を受けるとし、Dが善意であればBに対して登記なしに対抗できる余地があるとしており正答。
不動産物権変動の対抗要件(民法177条)は宅建試験の最重要論点です。民法176条が意思主義(合意のみで物権変動)を採用し、177条が公示原則(登記で対抗)を採用することで、公示のない二重売買状態が生じます。「第三者」の範囲については判例が絞り込みを行っており、①当事者及びその包括承継人以外の者、②登記の欠缺を主張するにつき正当な利益を有する者(最大判昭和31.4.24)に限定されます。背信的悪意者論(最大判昭和43.8.2)は、単なる悪意(登記のないことを知っていた)だけでなく、登記欠缺を積極的に利用して不動産を取得した者は「第三者」から排除されるという理論です。背信性の判断は、①売主との関係(妨害意図・不当競争)、②取得の経緯(詐欺的・強制的)等を総合的に評価します。背信的悪意者からの転得者については、転得者が背信性を引き継ぐか否かが問題です。最判平成8.10.29は「転得者が独自に背信的悪意者と評価される事情があるか否か」を判断基準とし、転得者自身が善意であれば背信的悪意者Cからであっても民法177条の「第三者」として登記なしに対抗できるとしました。宅建取引実務では、登記情報の事前調査(登記事項証明書の確認)が重要事項説明(宅建業法35条)の一部を構成しており、二重売買リスクを事前に回避する義務があります。また、中間省略登記(A→B→Cの連続売買をA→C直接登記)は現行法上原則として認められず(不動産登記法の趣旨)、適切な登記手続が求められます。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:出典:不動産適正取引推進機構(RETIO)公表の出題範囲(宅地建物取引士試験)を参照した合格ナビ独自作成 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-11)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 不動産適正取引推進機構(RETIO)・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトはRETIOと一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 宅地建物取引業法・改正民法・借地借家法・建築基準法・都市計画法・盛土規制法(R5)・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。