問題
賃貸住宅管理業法第21条の秘密保持義務に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答(誤っているもの)はオです。
秘密保持義務の対象となる「秘密」は、管理業者が「業務上知り得た」情報全般を指します。入居者から直接申し出があった情報(例:「実は離婚協議中で収入が不安定」等の個人事情)も「業務上知り得た秘密」として保護の対象となります。「自発的に取得した情報に限られる」という記述が誤りです。
ア(正当な理由がある場合を除く義務)・イ(30万円以下の罰金)・ウ(賃貸住宅管理業を営まなくなった後も存続)・エ(法令に基づく開示は正当な理由)はいずれも正しい記述です。
秘密保持義務(業法第21条・第44条)の概要:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 義務の内容 | 業務上知り得た秘密の漏洩禁止 |
| 例外(正当な理由) | 法令に基づく開示・本人の同意等 |
| 義務の存続期間 | 業者は営まなくなった後も(第1項後段)、従業者は従業者でなくなった後も(第2項後段)存続 |
| 罰則 | 業法第44条第7号:30万円以下の罰金(両罰規定の対象からは除かれる=第45条) |
| 適用対象 | 管理業者(第1項)・代理人、使用人その他の従業者(第2項) |
各選択肢の解説:
- ア(正): 第21条第1項のとおり。「正当な理由がある場合」の例外付きで義務が課されています。正しい記述です。
- イ(正): 業法第44条第7号が「第二十一条第一項又は第二項の規定に違反して、秘密を漏らしたとき」に30万円以下の罰金を規定しています。正しい記述です。
- ウ(正): 第21条第1項後段は「賃貸住宅管理業を営まなくなった後においても、同様とする」と規定し、業者が業をやめた後も義務が続くことを明示しています(従業者については第2項後段が「従業者でなくなった後においても」と規定)。正しい記述です。
- エ(正): 法令に基づく開示要求(裁判所の調査嘱託・警察・検察の捜査照会等)への対応は「正当な理由」として秘密保持義務の例外に当たります。正しい記述です。
- オ(誤・正答): 秘密保持の対象は「業務上知り得た秘密」全般であり、取得の経緯(自発的取得か申し出を受けたかどうか)は問いません。入居者から申し出があった個人情報も保護対象です。正答(誤っているもの)です。
【秘密保持義務の法的構造・「秘密」の範囲・「正当な理由」の類型・退職後義務の意味・個人情報保護法との関係・実務での情報管理体制】
「秘密」の範囲の解釈:
業法第21条の「秘密」の範囲は広く解釈されています:
1. 委託者(オーナー)の秘密: 物件の収益状況・財産状況・相続問題・健康状態・家族関係等
2. 入居者の秘密: 勤務先・収入・家族構成・生活状況・連帯保証人の情報・健康状態等
3. 管理業務に関する秘密: 委託者との報酬条件・管理業者の経営情報・他の物件情報等
4. 第三者から提供された秘密: 連帯保証人の個人情報・緊急連絡先の情報等
「秘密」であるための要件(一般的な解釈):
- 一般に知られていない情報であること
- 管理業者が業務遂行のために知り得た情報であること
- 本人(情報主体)が秘密として扱われることを期待している情報であること
「業務上知り得た」の意味は広く、自発的調査・相手方からの申告・第三者からの情報提供等、業務との関連で得た情報全般を含みます。
「正当な理由」の類型の詳細:
| 正当な理由の類型 | 具体例 |
|---|---|
| 法令に基づく開示要求 | 裁判所の調査嘱託、警察・検察の捜査照会、税務調査、行政調査(業法第26条の立入検査) |
| 本人の同意 | オーナー・入居者が秘密の開示に同意した場合 |
| 生命・身体への緊急性 | 入居者の自殺企図・孤独死疑い等、緊急時の開示 |
| 公益上の必要性 | 犯罪被害防止のための情報提供(明確な必要性が必要) |
重要なのは「正当な理由」の判断が難しい場面(例:警察から「入居者について非公式に聞きたい」という依頼)です。正式な照会(書面等)でない場合は、秘密保持義務に反する開示として責任を問われるリスクがあります。
退職後の秘密保持義務の意味(第21条第2項):
退職後も義務が継続する理由:
1. 業務上知り得た情報は退職後も「秘密情報」の性質が変わらない
2. 管理業者から他社(競合他社等)に転職した場合、前職で得た情報を利用することで委託者・入居者に不利益が生じる可能性がある
3. 情報管理の実効性確保
退職後の義務の範囲は「業務上知り得た秘密」に限られ、公知の情報や退職後に独自に取得した情報は対象外です。また退職後の合理的な活用(同種業務における一般的な経験・知識)まで禁止されるわけではありません(過度な義務解釈は職業選択の自由に抵触)。
個人情報保護法との関係:
業法第21条の秘密保持義務と個人情報保護法(個情法)は独立した義務として並行適用されます:
| 比較 | 業法第21条(秘密保持) | 個人情報保護法 |
|---|---|---|
| 対象 | 業務上知り得た秘密全般 | 個人情報(識別可能な個人の情報) |
| 義務の性質 | 秘密の漏洩禁止 | 適正取得・目的外利用禁止・安全管理措置等 |
| 罰則 | 30万円以下の罰金(第44条第7号) | 個人情報保護法の罰則規定による(法人には重い罰金刑の規定がある) |
| 退職後 | 義務継続(第21条第2項後段) | 業法のような明文はない(不法行為等で責任追及されうる) |
実務での情報管理体制:
賃管士が所属する管理会社での秘密保持・個人情報管理の体制:
1. 社内規程の整備: 秘密保持義務・個人情報管理規程の策定
2. 入社時の誓約書: 全従業員からの秘密保持誓約書の取得
3. 退職時の誓約書: 退職者からも退職後の秘密保持義務を確認する誓約書の取得
4. 情報の格付け: 「秘密情報」「社外秘」「一般情報」等の分類
5. アクセス制限: 必要な担当者のみが個人情報・秘密情報にアクセスできるシステム設計
6. インシデント対応: 情報漏洩が発生した場合の報告ルート・対応手順の明確化
これらの体制が整備されていることで、業法第21条・個情法の義務を組織として適切に履行できます。
- 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第21条e-Govで原文を読む
- 個人情報の保護に関する法律e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第21条・第44条 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 法令検索 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

