問題
賃借人Aは、賃貸人Bに対し、支払期日が既に到来した7月分・8月分・9月分の賃料(各10万円)を滞納している。AがBに10万円のみを支払った場合の弁済の充当に関する次のア〜オの記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、各月の賃料債務は支払期日のほかは同じ条件であり、利息・費用は生じていないものとする。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はエです。
民法490条は「前二条の規定にかかわらず、弁済をする者と弁済を受領する者との間に弁済の充当の順序に関する合意があるときは、その順序に従い、その弁済を充当する」と定めています(エ)。
アは誤りで、弁済をする者(A)は給付の時に充当する債務を指定できます(488条1項)。イは誤りで、受領者(B)の指定にAが直ちに異議を述べたときは、Bの指定は効力を持ちません(488条2項ただし書)。ウは誤りで、指定がなければ、弁済期が先に到来した7月分から充当されます(488条4項3号)。オは誤りで、指定は相手方への意思表示で行います(488条3項)。
弁済の充当の順番(民法488条〜490条):
| 順番 | 内容 |
|---|---|
| ① 合意(490条) | 充当の順序について合意があれば、それに従う |
| ② 弁済者の指定(488条1項) | 弁済をする者が給付の時に指定する |
| ③ 受領者の指定(488条2項) | 弁済者が指定しないときは、受領者が受領の時に指定する。弁済者が直ちに異議を述べたときは除く |
| ④ 法定充当(488条4項) | 1号: 弁済期にあるものを先に/2号: 債務者のために弁済の利益が多いものを先に/3号: 利益が等しければ弁済期が先に到来したものを先に/4号: それも等しければ各債務の額に応じて |
指定は、相手方に対する意思表示によってします(488条3項)。
各選択肢:
- ア(誤): 488条1項により、Aは指定できます。
- イ(誤): 488条2項ただし書により、Aが直ちに異議を述べればBの指定どおりにはなりません。
- ウ(誤): 3か月分とも弁済期にあり条件が同じなので、488条4項3号により7月分から充当されます。
- エ(正): 490条の条文どおりです。
- オ(誤): 488条3項により、相手方に対する意思表示が必要です。
【充当の順番の全体像・法定充当の当てはめ・費用や利息があるとき・管理業務での扱い】
1. 合意が最優先(490条)
490条は、488条・489条の規定に「かかわらず」、弁済をする者と受領する者の間に充当の順序に関する合意があれば、その順序に従うとしています。賃貸借契約や滞納賃料の分割払いの合意書で「支払われた金銭は、支払期日の古いものから充当する」などと定めておけば、その定めに従って処理されます。
2. 指定による充当(488条1項〜3項)
合意がないときは、まず弁済をする者(賃借人)が給付の時に指定でき、指定がなければ受領する者(賃貸人)が受領の時に指定できます。ただし、賃借人が受領者の指定に直ちに異議を述べたときは、受領者の指定は効力を持ちません。指定は、いずれも相手方に対する意思表示によって行います。帳簿に書き込むだけでは指定になりません。
3. 法定充当(488条4項)の当てはめ
どちらも指定しないときは、488条4項に従います。本問では、3か月分がすべて弁済期にあるため1号では決まらず、2号の「債務者のために弁済の利益が多いもの」も、支払期日以外の条件が同じなので差がありません。そこで3号により、弁済期が先に到来した7月分に充当されます。按分(4号)になるのは、弁済期も含めて差がない場合です。
4. 費用・利息があるとき(489条)
債務者が元本のほか利息・費用も支払うべき場合に、全部を消すのに足りない給付をしたときは、順に費用、利息、元本に充当します(489条1項)。滞納賃料のほかに利息や費用の支払も求めている場合は、この順番も確かめる必要があります。この場合も、490条の合意があればそれに従います。
5. 管理業務での扱い
賃料の収納を受託する管理業者は、一部入金があったときに、賃借人の指定の有無、賃貸人との取り決め、契約書の充当条項を確かめてから処理します。賃借人が特定の月の賃料として支払うと指定した場合は、その指定が優先します(合意がある場合を除く)。どの月に充当したかを賃借人と賃貸人に明らかにしておくと、後の督促や、滞納月数を数えるときの争いを防げます。
- 民法第488条・第490条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法第488条(同種の給付を目的とする数個の債務がある場合の充当)・第489条(元本、利息及び費用を支払うべき場合の充当)・第490条(合意による弁済の充当) 確認日: 2026-09-30 出典: e-Gov 法令検索(法令API v2) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-At_488 / https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-At_490 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

