問題
賃貸人が賃借人に対して有する賃料債権の消滅時効に関する次のア〜オの記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、賃貸人は各月の賃料の支払期日を知っているものとする。
キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
正答はオです。
民法145条は「時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない」と定めています(オ)。
アは誤りで、権利を行使できることを知った時から5年で時効により消滅します(166条1項1号)。イは誤りで、催告は6か月の完成猶予で、更新ではありません(150条1項)。エは誤りで、猶予中の再度の催告に完成猶予の効力はありません(150条2項)。ウは誤りで、権利の承認があれば時効は更新されます(152条1項)。
賃料債権の消滅時効の主な規定:
| 条 | 内容 |
|---|---|
| 166条1項 | ①権利を行使することができることを知った時から5年/②権利を行使することができる時から10年。どちらか早い方で消滅 |
| 145条 | 当事者(保証人などを含む)が援用しなければ、裁判所は時効による裁判をしない |
| 150条 | 催告があったときは、その時から6か月を経過するまで時効は完成しない。猶予中の再度の催告には猶予の効力がない |
| 152条 | 権利の承認があったときは、その時から時効は新たに進行を始める(更新) |
| 147条 | 裁判上の請求・支払督促などがあれば、その事由の終了まで完成が猶予され、判決等で権利が確定すれば更新される |
各選択肢:
- ア(誤): 賃貸人は支払期日を知っているので、支払期日から5年で消滅します。
- イ(誤): 催告は完成猶予(6か月)の事由です。
- オ(正): 145条の条文どおりです。
- エ(誤): 150条2項のとおり、再度の催告には完成猶予の効力がありません。
- ウ(誤): 滞納の存在を認めることは権利の承認に当たり、時効は更新されます。
【5年と10年の関係・援用・完成猶予と更新の違い・滞納管理での使い方】
1. 5年と10年(166条1項)
債権は、①債権者が権利を行使することができることを知った時から5年、②権利を行使することができる時から10年のいずれかを経過すると、時効によって消滅します。賃料は支払期日が決まっており、賃貸人は通常その日を知っているため、各月の賃料は支払期日から5年で時効期間が満了します。毎月の賃料はそれぞれ別の債権として、月ごとに時効が進みます。
2. 援用(145条)
時効期間が経過しても、当事者が援用しなければ、裁判所は時効によって債権が消滅したものとして裁判をすることはできません。消滅時効では、保証人など権利の消滅について正当な利益を有する者も援用できます。連帯保証人に滞納賃料を請求する場面では、保証人からも時効が援用されうることに注意が必要です。
3. 完成猶予と更新の違い
完成猶予は、一定の期間、時効が完成しない効果です。更新は、それまでの期間がリセットされ、その時から新たに時効が進行する効果です。
- 催告(150条): 催告の時から6か月を経過するまで完成が猶予されます。猶予中の再度の催告には猶予の効力がありません。
- 協議を行う旨の書面による合意(151条): 原則として合意の時から1年など、定められた期間まで完成が猶予されます。ただし、催告による猶予中にした合意には猶予の効力がありません。
- 裁判上の請求・支払督促(147条): 手続が続く間は完成が猶予され、確定判決などで権利が確定すると、その時から新たに時効が進行します。確定判決で確定した権利の時効期間は10年になります(169条1項)。
- 承認(152条): 債務者が債務の存在を認めると、その時から新たに時効が進行します。
4. 滞納管理での使い方
長期の滞納がある場合、内容証明郵便による催告だけでは6か月の完成猶予しか得られません。滞納額と支払方法を記載した書面に賃借人の署名をもらう(承認)、支払督促や訴訟を起こすなど、更新につながる手段を時効期間の満了前にとることが大切です。管理業者は、月ごとの支払期日と経過年数を管理し、オーナーに対応を提案できるようにしておきます。
- 民法第145条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法第145条(時効の援用)・第147条(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)・第150条(催告による時効の完成猶予)・第151条(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予)・第152条(承認による時効の更新)・第166条(債権等の消滅時効)・第169条(判決で確定した権利の消滅時効) 確認日: 2026-09-30 出典: e-Gov 法令検索(法令API v2) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-At_145 / https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-At_150 / https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-At_166 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

