賃管士 管理実務 問16:管理実務・収益計算
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
賃貸住宅経営の収益計算に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア「表面利回り(グロス利回り)」は、年間賃料収入を物件購入価格で除したものであり、経費・空室損失を考慮しない単純な収益率である。
- イ「実質利回り(ネット利回り)」は、年間の純収益(NOI)を物件購入価格(取得価格)で除した収益率であり、経費や空室損失を考慮するためより実態に近い収益性を示す。
- ウNOI(Net Operating Income・純営業収益)は、有効賃料収入(満室想定収入−空室損失)から営業経費(修繕費・管理費・固定資産税等)を控除した収益指標である。
- エ賃貸住宅の収益性を評価する際、表面利回りが高い物件は必ず投資価値が高い。正答
- オローン返済(元利金返済)を考慮したキャッシュフロー(借入後の手残り)を「レバレッジ効果」として活用することで、自己資金に対する収益率(FCR・CCR等)を高めることができる。
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正答(誤っているもの)はエです。
表面利回りが高い物件が「必ず投資価値が高い」というエの記述は誤りです。表面利回りは空室リスク・修繕費・管理コスト等を考慮していない単純な数字であり、実際の収益性(実質利回り)は大幅に低くなる場合があります。また、利回りが高い物件は立地・築年数・設備等のリスクが高い場合が多く、「表面利回りが高い=投資価値が高い」は誤りです。
ア・イ・ウは正しい記述です。表面利回り(ア)・実質利回り(イ)・NOI(ウ)の定義はいずれも正確です。オも正しい方向ですが正答はエです。
賃貸住宅投資の主要指標:
| 指標 | 計算式 | 内容 |
|---|---|---|
| 表面利回り | 年間賃料収入÷物件購入価格 | 空室・経費を考慮しない単純収益率 |
| 実質利回り | NOI÷物件取得価格 | 空室・経費を考慮した純収益率 |
| NOI | 有効賃料収入−営業経費 | 純営業収益(借入金返済前)|
| CCR | 年間手残り÷自己投資額 | 自己資金に対する収益率 |
エが誤りの理由(表面利回りの限界):
表面利回りが高い物件は:
- 空室リスクが高い(立地・築年・設備に問題がある場合)
- 修繕費・管理コストが高い
- 金融機関の融資が厳しい
実際の収益性(実質利回り・NOI利回り)が低ければ投資価値は低くなります。
各選択肢:
- ア(正): 表面利回りの定義(経費考慮なし)を正確に記述。
- イ(正): 実質利回りの定義(NOI÷取得価格)を正確に記述。
- ウ(正): NOIの定義(有効賃料収入−営業経費)を正確に記述。
- エ(誤・正答): 表面利回り高い=投資価値高いは誤り(実質利回り・リスクの総合判断が必要)。
- オ(正方向): レバレッジ効果の基本概念は正しいが正答はエ。
【NOIの詳細構成・利回りの計算例・レバレッジ効果の仕組み・不動産投資の収益評価手法(DCF法)・賃管士が持つべき収益分析の視点】
1. NOIの詳細構成
NOI(Net Operating Income)の計算:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 満室想定収入 | 全室満室時の年間賃料収入 |
| − 空室損失 | 平均空室率×満室想定収入 |
| = 有効賃料収入(EGI)| 実際に収受できる賃料収入 |
| − 営業経費 | 管理費・修繕費・固定資産税・保険料等 |
| = NOI | 純営業収益 |
典型的な営業経費率(総収入に対する比率):20〜40%程度(物件・規模・年数による)
2. 利回りの計算例
物件A(購入価格1億円・年間賃料収入600万円・空室率10%・営業経費率30%):
- 表面利回り:600万÷1億円 = 6.0%
- 有効賃料収入:600万×(1-0.1) = 540万円
- 営業経費:540万×0.3 = 162万円
- NOI:540万−162万 = 378万円
- 実質利回り:378万÷1億円 = 3.78%
表面6%でも実質3.78%という大きなギャップが生じます。
3. レバレッジ効果(オの詳細)
レバレッジ(てこの原理)を使った投資の例:
| | 全額自己資金 | 50%借入 |
|---|---|---|
| 物件価格 | 1億円 | 1億円 |
| 自己資金 | 1億円 | 5,000万円 |
| 借入金 | 0円 | 5,000万円 |
| NOI | 378万円 | 378万円 |
| 金利(2%の場合) | 0円 | 100万円 |
| 手残り(AT)| 378万円 | 278万円 |
| 自己資金利回り | 3.78% | 5.56% |
借入を活用することで自己資金に対する収益率が上がる(ポジティブレバレッジ)のが「レバレッジ効果」です。
注意: 実質利回りが金利を下回る場合(ネガティブレバレッジ)は借入が逆効果になります。
4. DCF(Discounted Cash Flow)法
プロ向けの高度な不動産評価手法です:
- 将来の年間キャッシュフローを予測
- 割引率(期待収益率)で割り引いて現在価値を算出
- 評価期間終了後の売却価格(エグジット)も考慮
DCF法は収益性・リスクを時系列で捉えるため、長期保有・大型投資案件で活用されます。
5. 賃管士が持つべき収益分析の視点
賃管士は「建物の管理」だけでなく、オーナーの収益最大化を支援する役割も期待されます:
- 空室率の改善提案(入居者募集・リノベーション・賃料設定見直し)
- 費用削減提案(修繕コストの適正化・保険の見直し)
- 収益シミュレーションの提供(NOI・実質利回りの試算)
単純な「管理業務の遂行」から「オーナーの資産運用パートナー」への進化が賃管士の付加価値向上の方向性です。
6. 空室対策と収益性
空室率10%→5%に改善した場合の収益インパクト(上記例):
- 有効賃料収入:600万×(1-0.05) = 570万円(↑30万円)
- NOI:570万−171万 = 399万円(↑21万円)
- 実質利回り:3.99%(↑0.21%ポイント)
空室率改善は直接的に収益に影響するため、PM業務の中で最も重要な成果指標の一つです。
<!-- 監修確定 2026-06-10(legal-reviser): NOI・表面利回り・実質利回りの定義確認済。表面利回り高い=投資価値高いは誤り(実質利回り・リスクの総合判断が必要)。正答エ(誤)維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 不動産投資の一般的な評価基準・国土交通省不動産関連情報 確認日: 2026-06-10 出典: 国土交通省 https://www.mlit.go.jp/ 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。