問題
賃貸住宅管理業者Aは、賃貸人Bとの管理受託契約に基づき、賃料の収納を含む管理業務を受託している。この契約に民法の委任の規定(準委任として準用される場合を含む。)が適用されるものとして、次のア〜オの記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、契約に特段の定めはないものとする。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイです。
民法646条1項は「受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければならない」と定めています。管理業者が賃借人から受け取った賃料は、委託者であるオーナーに引き渡す必要があります(イ)。
アは誤りで、委任者の請求があれば、いつでも処理の状況を報告しなければなりません(645条)。ウは誤りで、費用の前払を請求できます(649条)。エは誤りで、支出の日以後の利息も請求できます(650条1項)。オは誤りで、消費した日以後の利息を支払い、なお損害があれば賠償しなければなりません(647条)。
受任者(管理業者)の義務と権利(民法):
| 条 | 内容 |
|---|---|
| 644条 | 善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する |
| 645条 | 委任者の請求があればいつでも処理の状況を報告し、終了後は遅滞なく経過と結果を報告する |
| 646条 | 委任事務の処理に当たって受け取った金銭その他の物(果実を含む)を委任者に引き渡す |
| 647条 | 引き渡すべき金銭を自己のために消費したときは、消費した日以後の利息を支払い、なお損害があれば賠償する |
| 649条 | 費用を要するときは、委任者は受任者の請求により前払をする |
| 650条1項 | 必要と認められる費用を支出したときは、その費用と支出の日以後の利息の償還を請求できる |
法律行為でない事務の委託(準委任)にも、これらの規定が準用されます(656条)。
各選択肢:
- ア(誤): 645条により、請求があればいつでも報告します。
- イ(正): 646条1項の条文どおりです。
- ウ(誤): 649条により前払を請求できます。
- エ(誤): 650条1項により利息も請求できます。
- オ(誤): 647条により利息の支払義務があります。
【管理受託契約と委任・受取物の引渡し・報告・費用の扱い・賃貸住宅管理業法との関係】
1. 管理受託契約と委任・準委任
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方が承諾することで成立します(643条)。建物の点検・清掃や賃料の収納など、法律行為でない事務の委託は準委任で、委任の規定が準用されます(656条)。管理受託契約は、契約の内容に応じて委任・準委任の規定があてはまる場面が多い契約です。
2. 受け取った金銭の引渡し(646条・647条)
管理業者が管理業務の中で賃借人から受け取った賃料・敷金などは、委託者に引き渡さなければなりません(646条1項)。収取した果実も同じです。引き渡すべき金銭を自分のために使った場合は、使った日以後の利息を支払い、それでも損害があれば賠償の責任を負います(647条)。
3. 報告(645条)
受任者は、委任者の請求があるときはいつでも処理の状況を報告し、委任が終了した後は遅滞なくその経過と結果を報告しなければなりません。契約期間中でも、オーナーから求められれば報告する義務があります。
4. 費用の扱い(649条・650条)
委任事務の処理に費用が必要なときは、受任者は前払を請求できます(649条)。受任者が必要と認められる費用を立て替えたときは、その費用と支出の日以後の利息の償還を請求できます(650条1項)。必要と認められる債務を負担したときは、委任者に代わりの弁済を求めることができ(650条2項)、自己に過失なく損害を受けたときは、その賠償を請求できます(650条3項)。
5. 賃貸住宅管理業法との関係
賃貸住宅管理業法は、民法の規定に加えて、管理業者に次の義務を課しています。
- 家賃・敷金・共益費などの金銭の管理を行う管理業務で受領する金銭を、自己の固有財産や他の管理受託契約の金銭と分別して管理する義務(16条)
- 管理業務の実施状況などを、定期的に委託者に報告する義務(20条)
民法の報告義務(645条)は委任者の請求や委任の終了を契機とするものですが、業法20条の報告は請求がなくても定期的に行う点が異なります。
- 民法第646条e-Govで原文を読む
- 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法第643条(委任)・第645条(受任者による報告)・第646条(受任者による受取物の引渡し等)・第647条(受任者の金銭の消費についての責任)・第649条(受任者による費用の前払請求)・第650条(受任者による費用等の償還請求等)・第656条(準委任)、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第16条・第20条 確認日: 2026-09-30 出典: e-Gov 法令検索(法令API v2) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-At_646 / https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-At_650 / https://laws.e-gov.go.jp/law/502AC0000000060#Mp-At_16 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

