賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 管理実務 問31|必要費・有益費の償還請求——民法608条と196条2項

問題

賃管士 | 管理実務 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

民法608条(賃借人による費用の償還請求)に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はアです。

民法608条2項は「賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない」と定めています(ア)。

イは誤りで、必要費は「直ちに」償還を請求できます(608条1項)。ウは誤りで、期限の許与は「賃貸人の請求により」裁判所がするものです(608条2項ただし書)。エは誤りで、608条に3年の定めはありません。オは誤りで、賃貸人の選択で支出額か増価額のどちらかを償還します(196条2項)。

必要費と有益費(民法608条):

費用請求できる時償還の内容
必要費(1項)直ちに賃貸人の負担に属する必要費(賃借物の保存に必要な費用)
有益費(2項)賃貸借の終了の時価格の増加が現存する場合に限り、賃貸人の選択で支出額又は増価額(196条2項)

608条2項ただし書: 裁判所は、賃貸人の請求により、有益費の償還について相当の期限を許与することができます。

各選択肢:

  • ア(正): 608条2項の条文どおりです。
  • イ(誤): 必要費は支出すれば直ちに請求できます。
  • ウ(誤): 期限の許与を求めるのは賃貸人です。
  • エ(誤): 608条には期間の定めはありません。期間の制限は、622条が準用する600条の「貸主が返還を受けた時から1年以内」です。
  • オ(誤): 196条2項により、回復者(賃貸人)の選択に従い、支出した金額又は増価額を償還します。

【必要費と有益費の違い・196条2項に従う意味・期限の許与・請求の期間・管理実務での扱い】

1. 必要費(608条1項)

必要費は、賃借物を使用に適した状態に保つための費用のうち、賃貸人が負担すべきものです(雨漏りの修理費など)。賃貸人には修繕義務があり(606条1項)、賃借人が代わりに支出したときは、賃貸借の終了を待たずに「直ちに」償還を請求できます。

2. 有益費(608条2項)と196条2項

有益費は、賃借物の価値を増やすために支出した費用です。608条2項は、賃貸人は賃貸借の終了の時に「第百九十六条第二項の規定に従い」償還をしなければならないとしています。196条2項は、有益費について「その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる」と定めています。賃貸借では回復者に当たる賃貸人が、支出額と増価額のどちらで償還するかを選びます。終了時に価値の増加が残っていなければ、償還の対象になりません。

3. 期限の許与(608条2項ただし書)

608条2項ただし書は、裁判所は「賃貸人の請求により」有益費の償還について相当の期限を許与することができると定めています。有益費の償還が賃貸人にとって負担になる場合に、支払の猶予を認める仕組みで、請求するのは賃貸人です。

4. 請求の期間(622条・600条)

622条は600条を賃貸借に準用しています。600条1項により、賃借人が支出した費用の償還は、貸主(賃貸人)が返還を受けた時から1年以内に請求しなければなりません。明渡し後に費用の償還を求めるときは、この期間に注意が必要です。

5. 管理実務での扱い

賃借人が賃貸人の承諾を得て設備の交換や内装の改良をする場合、その費用が必要費・有益費のどちらに当たるか、退去時にどう精算するかで争いになりやすくなります。工事を認めるときは、費用の負担と退去時の扱い(撤去の要否・償還の有無)を書面で取り決めておくと、紛争を防ぎやすくなります。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法第608条(賃借人による費用の償還請求)・第196条(占有者による費用の償還請求)・第622条(使用貸借の規定の準用)・第600条(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限) 確認日: 2026-09-30 出典: e-Gov 法令検索(法令API v2) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-At_608 / https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-At_196 / https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-At_600 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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