問題
賃貸住宅オーナーの不動産所得に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイです。
木造の耐用年数は22年、RC造は47年です。これは「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表第一(住宅用)に定められており、減価償却費の計算に使用します。
アは誤りです。火災保険料・地震保険料は不動産所得の必要経費に算入できます(事業用部分に限る)。
ウは誤りです。65万円控除は、不動産所得が事業的規模であることや正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)による記帳に加え、e-Taxによる申告または電子帳簿保存等の要件が必要です。要件を満たさない青色申告者は10万円控除です。
エは誤りです。空室中であっても、賃貸事業の継続が前提であれば固定資産税等は必要経費として認められます。
オは誤りです。資本的支出は減価償却で処理します。
不動産所得の計算構造:
```
不動産所得 = 総収入金額 - 必要経費
```
主な必要経費の一覧:
| 経費の種類 | 必要経費への算入 |
|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 算入可 |
| 火災保険料・地震保険料 | 算入可(事業用部分) |
| 管理委託費(管理業者への報酬) | 算入可 |
| 修繕費(現状維持の修繕) | 算入可(全額当期) |
| 資本的支出(価値増加工事) | 減価償却で処理(当期全額算入不可) |
| 減価償却費 | 算入可 |
| 借入金利息(建物取得分) | 算入可(土地分は不算入) |
| 交際費・旅費(業務関連) | 算入可(合理的なもの) |
主要構造の耐用年数:
| 構造 | 耐用年数 |
|---|---|
| 木造・合成樹脂造 | 22年 |
| 木骨モルタル造 | 20年 |
| 軽量鉄骨造(骨格材厚3mm以下) | 19年 |
| 重量鉄骨造(骨格材厚4mm超) | 34年 |
| 鉄筋コンクリート(RC)造 | 47年 |
青色申告特別控除の要件(国税庁タックスアンサーNo.2072):
| 控除額 | 主な要件 |
|---|---|
| 65万円 | 55万円の要件+e-Taxによる申告または電子帳簿保存 |
| 55万円 | 不動産所得が事業的規模+正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)による記帳+貸借対照表等を添付して期限内申告 |
| 10万円 | 上記の要件を満たさない青色申告者 |
各選択肢の解説:
- イ(正): 木造22年・RC47年は国税庁定め通り。
- ア(誤): 火災保険料は事業用の必要経費として算入可。
- ウ(誤): 65万円控除は複式簿記+e-Tax等の要件が必要。
- エ(誤): 空室期間中も事業継続が前提であれば必要経費に算入できる。
- オ(誤): 修繕費と資本的支出の区別が必要。1つの修理・改良等が20万円未満のものや、おおむね3年以内の周期で行うものは修繕費とできる等の基準で判定(国税庁タックスアンサーNo.1379)。
【不動産所得の税務深層——減価償却の仕組み・資本的支出と修繕費の判定・損益通算・青色申告の活用戦略】
減価償却の計算方法(定額法):
```
年間減価償却費 = 取得費 × 償却率(= 1/耐用年数)
```
例: 木造賃貸住宅(取得費2,200万円・耐用年数22年)
```
年間減価償却費 = 2,200万円 × (1/22年) ≒ 100万円/年
```
中古物件の耐用年数(簡易計算):
中古建物の場合、耐用年数を短縮した「見積耐用年数」または「簡便法」を使用できます。
```
法定耐用年数経過後の建物:
見積耐用年数 = 法定耐用年数 × 0.2(端数切捨て・最低2年)
法定耐用年数の一部経過:
見積耐用年数 = (法定耐用年数 - 経過年数) + 経過年数 × 0.2
```
木造(22年)を築25年で取得した場合:
```
経過年数22年超 → 見積耐用年数 = 22年 × 0.2 = 4年(端数切捨て)
```
耐用年数4年で減価償却できるため、投資の早期回収が可能になります。
資本的支出と修繕費の判定(重要):
| 判定基準 | 資本的支出(減価償却) | 修繕費(全額当期費用) |
|---|---|---|
| 工事の目的 | 価値増加・耐用年数延長 | 通常の維持管理・原状回復 |
| 少額・周期の基準 | — | 1つの修理・改良等が20万円未満、又はおおむね3年以内の周期で行うものは修繕費とできる |
| 区分が明らかでない場合 | — | 60万円未満、又は前年末取得価額のおおむね10%以下なら修繕費とできる(このほか区分の特例もある) |
実務上の分かりやすい例:
- 修繕費: 外壁のひび割れ修理・クロスの張替え・設備の修理
- 資本的支出: 耐震補強・バリアフリー化・増築・設備グレードアップ
損益通算(不動産所得の赤字と給与所得の合算):
不動産所得が赤字の場合、原則として給与所得・事業所得と損益通算ができます。ただし:
- 土地購入のための借入金利息は通算不可(不動産所得の赤字のうち土地対応分は通算できない)
- 別荘等の生活用資産の損失は通算不可
損益通算後にまだ損失がある場合、青色申告では3年間の繰越控除が可能です。
消費税(居住用家賃の非課税):
- 居住用の家賃・礼金は消費税非課税(消費税法別表第二第十三号。返還する敷金は対価ではないため課税の対象外)
- 駐車場代(月極)・倉庫賃料・店舗賃料は消費税課税
- 共益費も居住用は家賃に含まれ非課税
また、居住用賃貸建物(1,000万円以上の高額特定資産等)の取得に係る消費税は、令和2年10月1日以後の課税仕入れ等から仕入税額控除ができない点に注意(令和2年度税制改正・消費税法30条10項)。
青色申告の活用戦略(賃貸オーナー向け):
青色申告は単なる控除だけでなく以下の特典があります:
| 特典 | 内容 |
|---|---|
| 特別控除 | 最大65万円(事業的規模・複式簿記・e-Tax等の要件あり) |
| 青色事業専従者給与 | 家族に給与を支払い必要経費算入(届出要件) |
| 純損失の繰越控除 | 赤字を翌年以降3年間繰越 |
管理業者はオーナーに対して青色申告の選択を積極的に提案することが、オーナーの税負担軽減に寄与し、管理契約継続の信頼構築につながります。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 所得税法第26条(不動産所得)・第37条(必要経費)/減価償却資産の耐用年数等に関する省令別表第一(建物の耐用年数)/国税庁タックスアンサーNo.2072(青色申告特別控除)・No.1379(修繕費とならないものの判定) 確認日: 2026-09-30 出典: 国税庁 https://www.nta.go.jp/ 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

