問題
賃貸人が事業者、賃借人が消費者である建物賃貸借契約(消費者契約)の条項を念頭に、消費者契約法8条〜8条の3に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はアです。
消費者契約法8条の2は「事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させ、又は当該事業者にその解除権の有無を決定する権限を付与する消費者契約の条項は、無効とする」と定めています(ア)。
イは誤りで、故意・重大な過失による債務不履行の責任の一部免除は無効です(8条1項2号)。ウは誤りで、消費者が物品などを提供する契約は8条の3の対象から除かれています。エは誤りで、軽過失の場合にだけ適用されることを明らかにしていない一部免除条項は無効です(8条3項)。オは誤りで、不法行為責任の全部免除は無効です(8条1項3号)。
8条〜8条の3で無効とされる条項:
| 条 | 無効とされる条項 |
|---|---|
| 8条1項1号 | 債務不履行による損害賠償責任の全部免除・責任の有無の決定権限の付与 |
| 8条1項2号 | 故意・重過失による債務不履行の責任の一部免除・限度の決定権限の付与 |
| 8条1項3号 | 債務の履行に際してされた不法行為の責任の全部免除など |
| 8条1項4号 | 故意・重過失による同じ不法行為の責任の一部免除など |
| 8条3項 | 軽過失による責任の一部免除で、軽過失の場合にのみ適用されることを条項上明らかにしていないもの |
| 8条の2 | 債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項・解除権の有無の決定権限の付与 |
| 8条の3 | 後見開始・保佐開始・補助開始の審判を受けたことのみを理由とする事業者の解除権を付与する条項(消費者が物品等を提供する契約を除く) |
各選択肢:
- ア(正): 8条の2の条文どおりです。
- イ(誤): 8条1項2号により無効です。
- ウ(誤): 8条の3は、消費者が事業者に物品・権利・役務等を提供することとされている契約を除いています。
- エ(誤): 8条3項により無効です。
- オ(誤): 8条1項3号により無効です。
【8条1項の4つの類型・8条2項の例外・8条3項・8条の2と8条の3・賃貸借での当てはめ】
1. 8条1項の4つの類型
8条1項は、①債務不履行による損害賠償責任の全部免除、②故意・重大な過失による債務不履行の責任の一部免除、③債務の履行に際してされた不法行為の責任の全部免除、④故意・重大な過失によるその不法行為の責任の一部免除を無効としています。事業者に責任の有無や限度を決める権限を与える条項も同じ扱いです。全部免除は過失の程度を問わず無効、一部免除は故意・重大な過失の場合に無効という組み立てです。
2. 8条2項の例外
有償契約で、引き渡された目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないときの損害賠償責任を免除する条項は、事業者が履行の追完や代金・報酬の減額の責任を負うこととされている場合などには、8条1項(1号・2号)が適用されません。例外は1号・2号の条項についてのものです。
3. 8条3項(軽過失の一部免除)
軽過失による責任の一部を免除する条項でも、「重大な過失を除く過失による行為にのみ適用されること」を条項上明らかにしていないものは無効です。たとえば「法律上許される限り、賠償額は○円を上限とする」のように、どの過失の場合に適用されるのかが条項から読み取れないものが考えられます。
4. 8条の2(解除権の放棄)
賃貸人の債務不履行(修繕をしないなど)によって賃借人に解除権が生じる場面で、あらかじめ「賃借人は契約を解除できない」と定めて解除権を放棄させる条項や、解除できるかどうかを賃貸人が決めるとする条項は無効です。8条の2には例外の定めがありません。
5. 8条の3(後見開始等を理由とする解除権)
事業者に、消費者が後見開始・保佐開始・補助開始の審判を受けたことのみを理由として契約を解除できる権利を与える条項は無効です。ただし、消費者が事業者に物品・権利・役務その他の消費者契約の目的となるものを提供することとされている契約は除かれています。「賃借人が後見開始の審判を受けたときは賃貸人は解除できる」という条項は、この規定との関係で問題になります。
なお、消費者契約法の規定で無効とならない条項でも、消費者の利益を一方的に害する条項は10条で無効になることがあります。
- 消費者契約法第8条・第8条の2e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 消費者契約法第2条(定義)・第8条(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)・第8条の2(消費者の解除権を放棄させる条項等の無効)・第8条の3(事業者に対し後見開始の審判等による解除権を付与する条項の無効) 確認日: 2026-09-30 出典: e-Gov 法令検索(法令API v2) https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000061#Mp-At_8 / https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000061#Mp-At_8_2 / https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000061#Mp-At_8_3 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

