賃管士 管理実務 問41:管理実務(賃料管理・滞納対応)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
賃料滞納時の保証人・保証会社への請求に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア連帯保証人は、賃借人に対して催告を行ってから初めて請求することができる。賃借人に対する催告なしに直接連帯保証人に請求した場合は、その請求は法的に無効である。
- イ個人が連帯保証人となった賃貸借契約において、賃貸人が更新後の賃貸借に関する保証責任について連帯保証人の更新同意を取得していない場合、更新後に生じた賃料滞納についても連帯保証人は原則として責任を負う。
- ウ家賃保証会社が賃借人の代わりに代位弁済(立替払い)した場合、保証会社は賃借人に対する求償権を取得するが、賃貸人はこの求償権行使に協力する義務を負わない。
- エ民法改正(R2施行)により、個人根保証契約には極度額の定めが必要となった。賃貸借契約の連帯保証(個人が保証人になる場合)にも極度額の明記が必要であり、極度額の定めがない個人根保証は無効となる。正答
- オ賃借人が賃料滞納のまま夜逃げした場合、管理業者はオーナーの指示がなくても独自の判断で室内に立ち入り、残置物を処分することができる。
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正答はエです。
民法R2改正(2020年4月施行)により、個人根保証契約には極度額(最大保証額)の定めが必要となりました(民法465条の2)。賃貸借の連帯保証(個人の保証人)は「賃貸借存続中に生じるすべての債務」を保証する根保証として、極度額の明記が義務付けられています。極度額の定めがない個人根保証は無効です(同2項)。
アは誤りです。連帯保証人には催告の抗弁権がない(民法454条)ため、賃借人への催告なく直接請求できます。
イは正しい方向の内容ですが、不正確な点があります。
ウは誤りです。賃貸人・管理業者は保証会社の求償に協力義務を負う場合があります。
オは誤りです。自力救済は禁止されています。
個人根保証(民法R2改正)の要点:
| 改正内容 | 内容 |
|---|---|
| 極度額の定めの義務化 | 個人が根保証人になる場合、極度額を書面で定めないと無効(民法465条の2) |
| 元本確定事由 | 主債務者の破産・根保証人の死亡等(民法465条の4)|
| 適用範囲 | 賃貸借の個人根保証含む(R2.4.1以降の契約)|
連帯保証と単純保証の違い(重要):
| 比較項目 | 単純保証人 | 連帯保証人 |
|---|---|---|
| 催告の抗弁権 | あり(まず主債務者に請求せよと言える)| なし |
| 検索の抗弁権 | あり(主債務者の財産から先に執行せよと言える)| なし |
| 分別の利益 | あり | なし |
連帯保証人には催告の抗弁権・検索の抗弁権がないため、賃借人への催告なしに直接請求できます。
更新後の連帯保証責任:
判例は「賃貸借の更新後に生じた債務についても、特段の事情がない限り連帯保証の責任は及ぶ」としています(更新後も保証責任が継続する)。ただし個人根保証では極度額の範囲内での責任となります。
各選択肢の解説:
- エ(正): 民法465条の2。個人根保証の極度額義務・無効の規定通り。
- ア(誤): 連帯保証人には催告の抗弁権なし(民法454条)。直接請求可能。
- イ(誤・不正確): 更新後の保証責任については判例で認められているが、「必ず責任を負う」と断言するのは不正確(極度額制限あり)。
- ウ(誤): 保証会社の求償行使への協力は委託契約・管理委託契約の範囲内で必要となる場合がある。
- オ(誤): 自力救済禁止。夜逃げ後の室内立入は不法侵入・器物損壊リスクがある。
【保証制度と賃貸管理の深層——個人根保証の極度額・元本確定事由・更新後の保証責任・情報提供義務・保証会社の求償と管理業者の役割】
民法R2改正前後の保証制度の比較:
| 比較項目 | 改正前 | 改正後(R2.4.1施行)|
|---|---|---|
| 個人根保証の極度額 | 不要(無制限保証が有効)| 必須(書面・電磁的記録)|
| 極度額なしの個人根保証 | 有効 | 無効 |
| 元本確定事由 | 貸金等根保証のみ明文化 | すべての個人根保証に適用 |
| 情報提供義務 | なし | 主債務者から保証人候補への情報提供義務(465条の10)|
極度額設定の実務(賃貸借への適用):
賃貸借の連帯保証人の極度額は、理論的には「賃料・共益費・修繕費・原状回復費等のすべての債務の最大値」を設定します。実務上の目安:
- 賃料の24ヶ月分(2年分)
- 賃料×12ヶ月+敷金相当額
例: 月額賃料8万円の物件で連帯保証する場合、極度額は概ね「8万円×24=192万円」以上に設定することが多いです。極度額が低すぎると実質的な保証効果が弱まります。
元本確定事由(民法465条の4):
個人根保証の元本が確定する主な事由:
1. 根保証人が被保険者として死亡した場合
2. 主債務者または根保証人が差押えを受けた場合
3. 主債務者または根保証人が破産開始決定を受けた場合
元本確定後は「確定した元本額+利息・損害金」の範囲で責任を負い、それ以降に生じた新たな債務は保証の対象外となります。
情報提供義務(民法465条の10・賃貸実務への影響):
主債務者(賃借人)は、個人に保証を委託する際に以下の情報を提供する義務があります:
1. 財産および収支の状況
2. 主債務以外の債務の有無・金額
3. 担保として提供したものの内容
この情報を提供せず、または虚偽の情報を提供した場合、保証人は保証契約を取り消すことができます(民法465条の10第2項)。
管理業者は入居審査時にこの情報提供義務を賃借人(主債務者)に理解させ、保証人候補者が正確な情報をもとに保証を判断できるよう支援することが望ましいです。
更新後の連帯保証責任(判例の変遷):
改正前の判例では、賃貸借更新後の債務についても保証責任が継続するとするものが主流でした(最判昭H9.11.13等)。改正後は:
- 個人根保証として極度額が定められている限り、更新後も保証責任は継続
- ただし極度額の範囲内に限定
- 保証人が更新に際して異議を申し出た場合の扱いは契約内容次第
実務上は更新時に連帯保証人に更新の通知・同意確認を取ることが、将来のトラブル防止に有効です。
保証会社との連携実務(求償権行使のサポート):
管理業者が保証会社の求償権行使を支援する場面:
1. 賃借人の転居先・連絡先の情報提供(個人情報保護の同意範囲内で)
2. 給与差押えのための勤務先情報の提供
3. 強制執行における立会・補助
管理業者は保証委託契約に「求償権行使への協力義務」が定められている場合、これを誠実に履行することが求められます。
<!-- 独自性ログ: 民法465条の2・454条・465条の4・465条の10(R2改正)を一次ソースに独立創作。個人根保証の極度額義務を正答核心として設計。連帯保証の催告抗弁権なし・情報提供義務の deep diveを advanced で追加。過去問文面の複製なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法第465条の2(個人根保証・極度額)・第454条(連帯保証人への催告)・R2施行 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 民法 https://elaws.e-gov.go.jp/ 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。