賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 管理実務 問46|賃借権の無断譲渡・転貸——承諾の要否と解除権

問題

賃管士 | 管理実務 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

賃借権の無断譲渡・無断転貸に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はイです。

民法612条1項は「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」と定め、2項で「賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる」と定めています。無断で第三者に使用収益させた場合、賃貸人は解除できます。

アは誤りです。承諾は必要です(1項)。ウは誤りです。条文上、追認がなくても解除の要件(無断使用収益の事実)があれば解除できます。エは誤りです(1項は譲渡と転貸の両方に承諾を求めています)。オは誤りです(解除は「できる」規定であり、一律の義務ではありません)。

賃借権の譲渡・転貸の制限(612条):

項内容
1項賃借人は賃貸人の承諾を得なければ、賃借権の譲渡・賃借物の転貸をすることができない
2項1項に違反して第三者に使用・収益をさせたときは、賃貸人は契約を解除することができる

各選択肢:

  • ア(誤): 1項により、賃貸人の承諾なしに賃借権を譲渡・転貸することはできない。
  • イ(正・正答): 2項どおり。無断で第三者に使用・収益をさせた場合、賃貸人には解除権が発生する。
  • ウ(誤): 2項は「解除をすることができる」と定めるのみで、追認しない限り解除できないという限定はない。賃貸人は追認するか解除するかを選択できる(無断転貸が当然に有効になるわけではない)。
  • エ(誤): 1項は「その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」と定め、譲渡と転貸のどちらにも賃貸人の承諾を求めている。転貸だけ承諾が不要という区別はない。
  • オ(誤): 2項は「解除をすることができる」という任意規定であり、賃貸人に解除の義務を課すものではない。程度にかかわらず一律に解除しなければならないわけではない。

【賃借権の譲渡・転貸制限の構造——承諾の意義・無断転貸の効果・解除権の性質】

1. 承諾の意義(612条1項)

賃借権は当事者の個人的信頼関係を基礎とする継続的契約であるため、民法は賃借人が賃貸人の承諾なしに賃借権を第三者に譲渡したり、賃借物を転貸したりすることを制限しています(612条1項)。承諾の主体は賃貸人であり、口頭の承諾でも法的には有効と解されますが、賃貸管理実務では紛争防止のため書面(承諾書)による承諾を取得することが一般的です。

2. 無断譲渡・転貸の効果と解除権(612条2項)

2項は、賃借人が1項に違反して(承諾を得ずに)第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は契約の解除をすることができると定めています。この解除権は形成権であり、賃貸人の一方的な意思表示によって行使されます。重要なのは、2項が「解除をすることができる」という任意規定である点です。賃貸人は、無断転貸の事実を知っても必ず解除しなければならないわけではなく、転貸を追認する(黙認する)ことも、解除権を行使することも選択できます。

3. 信頼関係破壊の法理との関係

判例上、無断譲渡・転貸があっても、それが賃貸人に対する「背信的行為と認めるに足りない特段の事情」がある場合には、賃貸人は解除権を行使できないとする法理が確立しています(この判例法理自体は本問の直接の根拠ではありませんが、612条2項の解除権が絶対的なものではなく、個別事情によって制約され得ることを理解する前提として参考になります)。もっとも、本問は判例の当否ではなく、612条の条文構造(承諾の要否・解除権の任意性)を問うものです。

4. 追認の位置づけ

無断転貸があった場合、賃貸人がこれを事後的に承諾(追認)することは可能です。追認があれば、以後その転貸は賃貸人の承諾を得た適法な転貸として扱われます。ただし、追認をしなければ解除できないという限定は条文上存在しません。賃貸人は、無断転貸の事実を知った時点で、追認するか、解除権を行使するかを選択できる立場にあります。

5. 実務上の留意点

管理業者は、入居者が無断で同居人以外の第三者に部屋を使用させている(又は又貸ししている)ことが判明した場合、まず事実関係を確認し、オーナーに対して「解除権が発生し得ること」「追認するか解除するかの選択肢があること」を説明し、対応方針を協議する必要があります。一律に即時解除を求めるのではなく、無断使用の態様(一時的な又貸しか、恒常的な転貸か)や賃借人との信頼関係の状況を踏まえた判断が求められます。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)1項・2項 確認日: 2026-09-30 出典: e-Gov 法令検索 民法 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-At_612 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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