賃管士 管理実務 問52:管理実務(税務・保険・登記)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
賃貸住宅に関連する不動産登記について、次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア建物賃貸借における賃借人の対抗要件は、賃借権の登記のみである。賃借権の登記をしていない場合、賃借人は新所有者(オーナーチェンジ後)に対して賃借権を主張できない。
- イ借地借家法第31条により、建物の賃借人は建物の引渡しを受けることで賃借権の対抗要件を具備する。したがって、賃借権の登記がなくても、建物の引渡しがあれば第三者に対抗できる。正答
- ウ不動産登記は申請主義を原則としており、所有権移転の際には売主・買主の共同申請が原則である。ただし、相続による所有権移転は相続人の単独申請で可能である。
- エ抵当権が設定された賃貸マンションが競売にかけられた場合、抵当権設定前から居住する賃借人は、引渡命令の対象とはならないため常に保護される。
- オ建物の区分所有(マンション)の場合、専有部分の登記は区分建物の登記として行われ、専有部分と敷地利用権(敷地権)は原則として分離して処分できない。
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正答はイです。
借地借家法第31条は「建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあれば、その後その建物について物権を取得した者に対してその効力を生ずる」と規定しています。建物の引渡し(鍵の受渡し・実際の使用開始)が賃借権の対抗要件です。登記は不要です。
アは誤りです。借地借家法31条により、建物の引渡しが対抗要件です(登記不要)。
ウは概ね正しいですが、相続登記は令和6年4月から義務化されました(単独申請可)。
エは誤りです。短期賃貸借保護制度(R16年廃止)後、抵当権設定前からの賃借人も引渡命令の対象となる場合があります。
オも正しい記述です。
建物賃借権の対抗要件(借地借家法31条):
| 対抗要件の種類 | 条件 | 根拠 |
|---|---|---|
| 建物の引渡し | 賃借人が建物の引渡しを受けること | 借地借家法31条(これが原則)|
| 賃借権の登記 | 賃貸人の協力を得て登記 | 民法605条(賃借権登記は賃貸人の義務なし)|
重要: 建物の引渡しがあれば賃借権の登記なしに第三者に対抗できます。
オーナーチェンジ時の賃借権の扱い:
| 賃借人の状態 | 新所有者への対抗 |
|---|---|
| 引渡し済(居住中)| 対抗可能(借地借家法31条)|
| 引渡し前(契約済・未入居)| 対抗不可(登記があれば対抗可)|
相続登記の義務化(令和6年4月〜):
- 令和6年4月1日施行の不動産登記法改正により、相続による所有権移転登記が義務化(改正前は任意)
- 相続を知った日から3年以内に申請する義務
- 違反した場合の過料(最高10万円)
各選択肢の解説:
- イ(正): 借地借家法31条の引渡しによる対抗要件の正確な記述。
- ア(誤): 登記は不要。引渡しが対抗要件。
- ウ(部分正): 相続登記義務化(R6.4〜)は正しいが「単独申請が可能」は従来から(単独申請できる場合がある)。
- エ(誤): 短期賃貸借保護制度廃止(R16年)後は、抵当権設定前の賃借人も引渡命令の対象となる場合あり。
- オ(正): 区分建物の敷地権の分離禁止(区分所有法22条)は正確。
【不動産登記と賃貸管理の深層——対抗要件・相続登記義務化・競売と賃借権・賃貸人の地位移転の登記対応・抵当権との優先関係】
賃借権の対抗要件の歴史的経緯:
民法605条は「賃借権の登記があれば第三者に対抗できる」としますが、実務上賃貸人が賃借権の登記に協力することはほとんどありません(賃貸人に登記協力義務なし)。そこで借地借家法31条が、建物の引渡しを対抗要件として代替する形で、賃借人保護を図っています。
賃貸人の地位移転(民法605条の2・R2改正)の登記対応:
R2改正により、賃貸不動産の譲渡に伴う賃貸人の地位移転(オーナーチェンジ)について:
- 新賃貸人(買主)が賃借人に対して賃料請求等の権利を行使するには、所有権移転登記が必要(民法605条の2第3項)
- 旧賃貸人(売主)は所有権移転後に受け取った賃料は不当利得として返還義務
- 敷金は新賃貸人に引き継がれる(民法605条の2第4項)
競売と賃借権の優先関係(重要):
抵当権設定後の賃貸借の扱い(R16年短期賃貸借保護制度廃止後):
| 状況 | 賃借権の存続 |
|---|---|
| 抵当権設定前からの賃借権(引渡し済)| 競売後の新所有者に対抗可能(対抗力あり)→ 建物明渡しを求められない |
| 抵当権設定後の賃借権 | 競売後の新所有者に対抗不可→ 引渡命令(民事執行法83条)の対象(6ヶ月の使用継続許可あり)|
なお、「抵当権設定後の賃借権であっても、抵当権者が同意した場合は対抗力を持つ」という特則(民法387条)があります。
相続登記義務化の実務への影響:
令和6年4月1日施行の不動産登記法第76条の2により:
- 相続(または遺言)による所有権取得を知った日から3年以内に登記申請義務
- 令和6年4月1日以前に相続が発生した案件にも遡及適用(施行から3年以内に申請)
- 過料: 正当な理由なく期限内に申請しない場合10万円以下の過料
管理業者は管理物件のオーナーが死亡した場合、相続人への相続登記義務の案内を行うことが善管注意義務の観点から求められます。未登記のまま管理を続けると、法定相続人の一人が単独で売却・担保設定を行うリスク等が生じます。
区分建物(マンション)の登記の特殊性:
区分建物の登記には以下の特徴があります:
- 専有部分の登記(区分建物登記)と敷地権の登記が一体化
- 敷地権が登録されている場合、専有部分と敷地利用権は分離して処分できない(区分所有法22条)
- 管理費・修繕積立金の滞納は登記上に反映されないが、区分所有法7条の先取特権として専有部分に優先効を持つ
管理業者が区分マンションの管理委託を受ける場合、区分所有の法的構造(管理組合・規約・分離禁止等)を理解した上で対応することが必要です。
<!-- 独自性ログ: 借地借家法31条・民法605条の2(R2改正)・不動産登記法76条の2(R6義務化)・民事執行法83条・民法387条を一次ソースに独立創作。建物の引渡しによる対抗要件(登記不要)を正答核心として設計。競売・相続登記義務化・賃貸人地位移転の登記を advanced で深掘り。過去問文面の複製なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法第31条(建物賃貸借の対抗要件)/不動産登記法第76条の2(相続登記義務化) 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 借地借家法・不動産登記法 https://elaws.e-gov.go.jp/ 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。