賃管士 管理実務 問60:管理実務(賃貸住宅経営・管理体制)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
サブリース(特定賃貸借)契約に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- アサブリース型(マスターリース)とは、特定転貸事業者(サブリース業者)がオーナーから建物全部または一部を一括借上げして賃借し、第三者(入居者)に転貸する形態をいう。
- イサブリース契約においても、特定転貸事業者は借地借家法32条に基づく賃料減額請求権を持つ。賃料を長期固定するサブリース契約の特約であっても、減額請求権を事前に放棄させることはできない(最判平15.10.21)。
- ウ賃貸住宅管理業法は、サブリース契約(特定賃貸借契約)において、特定転貸事業者が誇大広告・不当勧誘を行うことを禁止しており、違反には行政処分・罰則が規定されている。
- エサブリース契約において「30年一括借上」と宣伝する場合でも、賃料減額交渉・契約解除・解除条件等についてオーナーに重要事項説明を行う義務がある。
- オサブリース契約(特定賃貸借契約)は、オーナーが建物を第三者に売却した場合、新オーナーに当然に地位が承継されないため、売却と同時に自動的に終了する。正答
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正答はオです。
サブリース契約(特定賃貸借契約)は建物の賃貸借契約です。建物が第三者に売却された場合、民法605条の2(R2改正)により、賃貸人(オーナー)の地位は当然に新所有者に移転します(オーナーチェンジ)。「自動的に終了する」は誤りです。入居者(転借人)の保護も、新オーナーへの引き継ぎが前提です。
ア〜エはいずれも正しい記述です。特に、サブリース減額請求権の不放棄(イ)と重要事項説明義務(エ)は頻出事項です。
サブリース規制(賃貸住宅管理業法)の体系:
| 規制内容 | 根拠条文 |
|---|---|
| 誇大広告禁止 | 業法28条 |
| 不当勧誘行為禁止 | 業法29条 |
| 特定賃貸借契約の重要事項説明 | 業法30条 |
| 契約成立時書面の交付 | 業法31条 |
| 業者の不実告知・故意不告知禁止 | 業法29条2号・3号 |
重要事項説明の主な内容(業法30条):
- 賃貸住宅の維持保全・家賃等の管理の方法
- 賃料の減額に関する権利(減額請求権)の有無
- 契約期間・解除条件
- 契約の更新・解除に関する事項
オーナーチェンジ時の地位移転(民法605条の2):
建物売却の場合、特定賃貸借契約の賃貸人の地位は当然に新所有者に移転します(民法605条の2第1項・第2項)。ただし、売買当事者間の合意で旧オーナーに地位を留保することもできます(同条2項ただし書き)。
各選択肢の解説:
- オ(誤・正答): 建物売却時、サブリース契約は自動終了せず地位が新オーナーに移転(民法605条の2)。
- ア(正): サブリースの定義として正確。
- イ(正): 最判平15.10.21・借地借家法32条の適用とその不放棄性。
- ウ(正): 業法28条・29条の誇大広告・不当勧誘禁止。
- エ(正): 業法30条の重要事項説明義務の正確な記述。
【サブリース実務の深層——マスターリースとサブリースの構造・賃料減額請求の仕組み・「30年一括」の落とし穴・オーナーチェンジ時の地位移転・業法の行政処分体系】
サブリース(特定賃貸借)の法的構造:
```
オーナー(賃貸人)
↑ 賃貸借契約(マスターリース)
特定転貸事業者(サブリース業者)
↓ 転貸借契約(サブリース)
入居者(転借人)
```
重要な法的特性:
- マスターリースとサブリースは独立した2つの賃貸借契約
- 入居者(転借人)はサブリース業者と直接の賃貸借関係(オーナーとは間接的)
- マスターリースが終了しても、サブリースは直ちに終了しない(民法613条3項)
「30年一括借上」の法的問題(最判平15.10.21の意義):
最高裁平成15年10月21日判決は、「サブリース契約においても借地借家法32条の賃料増減額請求権が適用される」と明確に判示しました。これにより:
- 「30年間賃料固定」「賃料を下げない」旨のサブリース特約があっても、経済情勢の変化・空室増加等で賃料減額請求が可能
- 減額請求権を「事前に放棄させる」条項は借地借家法32条に反し無効
- 業法30条はこの最高裁判例を受け、重要事項説明事項に「賃料減額に関する権利の有無」を明示
「30年一括借上→家賃固定→安心投資」という宣伝が一般的ですが、実態として10年・15年後の賃料改定(減額)が行われるケースが多く、オーナーが事前説明なしに「騙された」と感じるトラブルが多発していました。これを背景に業法のサブリース規制(R3施行)が制定されました。
業法の誇大広告禁止の対象(業法28条・主な禁止事項):
1. 賃料が固定され減額されないかのような表示
2. 空室・滞納が発生しても賃料が保証されるかのような表示(実際には保証期間・条件がある)
3. 30年一括借上で長期安定収入が保証されるかのような表示(実際には解除・改定リスクあり)
これらの表示が「著しく事実と相違」する場合は行政処分・罰則の対象となります。
オーナーチェンジ時の地位移転の実務:
建物売却時の当事者の対応:
| 当事者 | 対応 |
|---|---|
| 旧オーナー(売主)| サブリース業者への売却通知・敷金の授受の精算 |
| 新オーナー(買主)| サブリース契約書の内容確認・業者との関係継続可否の判断 |
| サブリース業者 | 賃貸人の地位移転への対応・新オーナーへの賃料支払い |
| 入居者(転借人)| オーナーチェンジの通知(サブリース業者経由)|
新オーナーがサブリース契約を引き継ぎたくない場合は、売買契約時にサブリース契約の解除条件等を取り決めておく必要があります。
業法の行政処分体系(サブリース違反の場合):
| 違反の程度 | 処分 |
|---|---|
| 軽微な違反 | 業務改善命令 |
| 重大な違反 | 業務停止命令(最長1年)|
| 最重大・悪質 | 登録取消 |
| 法令違反+個人 | 1年以下の懲役・100万円以下の罰金 |
| 法人 | 1億円以下の罰金(両罰規定)|
サブリースに関する誇大広告・不当勧誘違反は、業法施行後、国交省による監督・指導の対象となっています。管理業者はサブリースを取り扱う場合、必ず業法の規制内容を理解した上で適法に運営することが求められます。
<!-- 独自性ログ: 賃貸住宅管理業法28条〜32条・民法605条の2(R2改正)・最判平15.10.21・借地借家法32条を一次ソースに独立創作。オーナーチェンジ時の地位移転(終了しない)を正答核心として設計。30年一括借上の法的問題・業法行政処分体系を advanced で深掘り。過去問文面の複製なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 賃貸住宅管理業法第28条〜第32条(サブリース規制)・民法第605条の2(賃貸人の地位移転)・最判平15.10.21(サブリース賃料減額請求) 確認日: 2026-06-10 出典: 国土交通省 賃貸住宅管理業法 https://www.mlit.go.jp/ 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。