問題
賃貸不動産のオーナー(賃貸人)が死亡した場合の相続に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答(誤っているもの)はオです。
民法252条5項は「各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる」と定めています。保存行為(現状維持のための行為。雨漏りの緊急修繕等)は、他の共有者の同意(過半数の同意等)を得なくても、各共有者が単独ですることができます。「他の共同相続人の同意がなければできない」とするオは誤りです。
アは898条1項、イは899条、ウは909条、エは252条1項(898条2項により相続分が共有持分になる)のとおりで、正しい記述です。
相続財産の共有と管理の構造:
| 制度 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 共同相続の効力 | 相続人が数人あるとき、相続財産はその共有に属する | 898条1項 |
| 相続分に応じた承継 | 各共同相続人は相続分に応じて被相続人の権利義務を承継 | 899条 |
| 遺産分割の遡及効 | 遺産分割は相続開始時にさかのぼって効力を生ずる(第三者の権利は害せない) | 909条 |
| 共有物の管理 | 管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する | 252条1項 |
| 共有物の保存行為 | 各共有者は、管理事項の過半数決定等にかかわらず、保存行為を単独でできる | 252条5項 |
各選択肢:
- ア(正): 898条1項どおり。
- イ(正): 899条どおり。
- ウ(正): 909条どおり。遺産分割には遡及効があるが、第三者保護のため制限がある。
- エ(正): 252条1項どおり。持分は898条2項により900条〜902条で算定した相続分となる。
- オ(誤・正答): 252条5項により、保存行為(雨漏りの緊急修繕等)は他の共同相続人(共有者)の同意を得なくても単独ですることができる。オは条文と逆の内容。
【賃貸不動産オーナー死亡時の共有関係と管理行為の全体構造】
1. 相続財産の共有と相続分に応じた承継(898条・899条)
賃貸不動産のオーナーが死亡し、相続人が複数(数人)いる場合、898条1項により相続財産(賃貸不動産を含む)はその共有に属します。898条2項は、相続財産について共有に関する規定を適用する際は、900条から902条までの規定により算定した相続分をもって各相続人の共有持分とすると定めています。
さらに899条は「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する」と定めています。これは、賃貸人としての地位(賃借人に対する権利・義務。賃料債権の取得、修繕義務等)も、各共同相続人がその相続分に応じて承継することを意味します。賃貸借契約の賃貸人が死亡した場合、遺産分割が完了するまでの間は、相続人全員が共有者として賃貸人の地位を有することになります。
2. 遺産分割の遡及効と第三者保護(909条)
909条は「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる」と定めています。つまり、遺産分割協議によって特定の相続人が賃貸不動産を単独で取得することが決まった場合、その効力は形式的には相続開始(被相続人の死亡)の時点にさかのぼります。ただし同条ただし書は「第三者の権利を害することはできない」と定めており、遺産分割前に生じた第三者(例えば賃借人)の権利(既に発生した賃借権等)を害するような遡及効は認められません。
3. 共有物の管理行為と保存行為の区別(252条)
賃貸不動産が共有状態にある間の管理については、民法252条が規律します。同条1項は、共有物の管理に関する事項(軽微な変更を含む)は各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決すると定めています。これに対し5項は「各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる」と定め、保存行為については過半数の同意を要さず、各共有者が単独で行うことができるとしています。
「保存行為」とは、共有物の現状を維持するための行為をいい、典型的には雨漏りの緊急修繕などが挙げられます。これに対し、共有物に賃借権等を設定することは、252条4項により、定められた期間(建物の賃借権等は3年)を超えないものであれば、1項の管理に関する事項として持分の価格の過半数で決することができます。なお、共有物に形状又は効用の著しい変更を伴う変更を加えるには、管理ではなく変更として、他の共有者の同意(全員の同意)が必要です(251条1項)。
4. 実務上の留意点
管理業者は、オーナー死亡後、遺産分割が未了の間の緊急対応(雨漏り修繕等の保存行為)については、共同相続人の誰か1人の指示でも対応可能であることを理解しつつ、新たな賃貸借契約の締結などは保存行為に当たらず、少なくとも持分の価格の過半数による決定が必要になることを、相続人(共有者)に説明することが望ましい実務対応です。
- 民法第252条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法898条(共同相続の効力)・899条(相続分に応じた権利義務の承継)・909条(遺産の分割の効力)・252条1項・4項・5項(共有物の管理・保存行為) 確認日: 2026-09-30 出典: e-Gov 法令検索 民法 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-At_898 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

