問題
賃料を滞納している賃借人に対して、賃貸人が滞納賃料の支払いを求めて支払督促を利用する場合に関する次のア〜オの記述のうち、民事訴訟法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はアです。
民事訴訟法383条1項は、支払督促の申立ては「債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官」に対してするとしています。滞納賃料の請求なら、原則として賃借人の住所地を管轄する簡易裁判所の書記官に申し立てます。「賃貸人の住所地」とするアは誤りです。
イ(382条)・ウ(386条1項)・エ(395条)・オ(392条)は条文のとおりの正しい記述です。
支払督促の流れ(民事訴訟法):
| 段階 | 条文 | 内容 |
|---|---|---|
| 対象 | 382条 | 金銭その他の代替物・有価証券の一定数量の給付を目的とする請求。公示送達によらずに送達できる場合に限る |
| 申立先 | 383条1項 | 債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官 |
| 発付 | 386条1項 | 債務者を審尋しないで発する |
| 異議 | 386条2項・390条 | 債務者は督促異議を申し立てられる。仮執行の宣言前の適法な異議で、支払督促はその限度で効力を失う |
| 失効 | 392条 | 仮執行宣言の申立てができる時から30日以内に申し立てないと効力を失う |
| 訴訟移行 | 395条 | 適法な督促異議で、申立ての時に訴えの提起があったものとみなされる |
各選択肢:
- ア(誤・正答): 申立先は債務者側の簡易裁判所の書記官(383条1項)。
- イ・ウ・エ・オ(正): 各条文のとおり。
【支払督促を賃料回収で使うときの押さえどころ】
1. どんな請求に使えるか(382条)
支払督促は、金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について、裁判所書記官が債権者の申立てにより発するものです。滞納賃料の支払請求はこれに当たります。ただし、日本において公示送達によらないで送達できる場合に限られるため、賃借人が行方不明で公示送達によるしかない場合には利用できません。建物の明渡しは金銭の給付ではないため、支払督促では求められず、明渡しには訴訟など別の手続が必要です。
2. どこに申し立てるか(383条)
申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対して行います(1項)。事務所又は営業所を有する者に対するその事務所・営業所の業務に関する請求などは、その所在地の簡易裁判所の書記官にも申し立てられます(2項)。請求の金額にかかわらず、申立先は簡易裁判所の書記官です。
3. 審尋なしで発せられ、異議で訴訟に移る(386条・390条・395条)
支払督促は債務者を審尋しないで発せられ(386条1項)、債務者は、発した書記官の所属する簡易裁判所に督促異議を申し立てることができます(同条2項)。仮執行の宣言前に適法な督促異議があれば、支払督促はその限度で効力を失い(390条)、督促異議に係る請求は、その目的の価額に従い、申立ての時に簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなされます(395条)。賃借人が支払義務を争っている場合は、結局は訴訟で審理されることになります。
4. 申立てを忘れると効力を失う(392条)
債務者が異議を出さず仮執行の宣言を申し立てられるようになっても、その時から30日以内に申し立てないと、支払督促は効力を失います。
5. 管理業者の実務
支払督促は、相手方が争わない見込みの滞納で、書面審理により早く債務名義を得たい場面に向いています。管理業者は、オーナー(債権者)と弁護士の判断を支えるため、滞納の経過や督促の記録を整理し、賃借人の住所の確認などの準備を行います。
- 民事訴訟法第383条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民事訴訟法382条(支払督促の要件)・383条(支払督促の申立て)・386条(支払督促の発付等)・390条(仮執行の宣言前の督促異議)・392条(期間の徒過による支払督促の失効)・395条(督促異議の申立てによる訴訟への移行) 確認日: 2026-09-30 出典: e-Gov 法令検索 民事訴訟法 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109#Mp-At_383(法令API v2で全文取得・条文照合) 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

