賃管士 民法 問12:民法(賃貸借契約の基本)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
賃貸借契約の更新(民法619条)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア賃貸借の期間が満了した後も賃借人が賃借物の使用収益を継続し、賃貸人がこれを知りながら異議を述べない場合、従前と同一の条件で賃貸借を更新したものとみなされる。
- イ民法619条の黙示の更新は、当事者間に更新の合意がなくても、一定の事実状態(使用継続+賃貸人の異議なし)が存在することで更新が擬制される。
- ウ黙示の更新が成立した場合、更新後の賃貸借の存続期間は原契約と同一の期間となる。正答
- エ民法619条の黙示の更新では、担保(保証人の保証)は、期間の定めのない賃貸借について更新前の担保として維持される。
- オ民法619条の黙示の更新が成立した場合、更新後は期間の定めのない賃貸借となる。
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正答はウです。
民法619条の黙示の更新で更新後の賃貸借は「期間の定めのない賃貸借」となります(オが正しく、ウが誤り)。原契約と同一の期間で更新されるわけではありません。
たとえば2年契約の賃貸借が黙示の更新で継続した場合、更新後は「2年契約」ではなく「期間の定めなし」となります。期間の定めのない賃貸借になると、どちらの当事者もいつでも解約申し入れができるようになります(民法617条:建物の場合は貸主6ヶ月前・借主3ヶ月前)。
アとイは黙示の更新の要件の正確な説明です。
民法619条(黙示の更新)の構造:
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 賃借物の使用収益継続 | 期間満了後も賃借人が継続して使用収益 |
| 賃貸人の異議なし | 賃貸人がこれを知りながら異議を述べない |
| 効果 | 従前と同一条件で更新したとみなされる(ただし期間は「定めなし」) |
| 担保 | 期間の定めのない賃貸借については担保(保証等)は更新後も維持されるが、保証人は解除できる可能性がある |
619条と借地借家法26条(法定更新)との比較:
| 比較軸 | 民法619条(黙示の更新) | 借地借家法26条(法定更新) |
|---|---|---|
| 適用場面 | 一般の賃貸借(建物以外も含む) | 建物の賃貸借(借家) |
| 更新後の期間 | 期間の定めなし | 従前と同一の期間(ただし法定更新も実務上は期間なしに近い運用) |
| 更新拒絶の方法 | 期間満了前に異議を述べる | 期間満了1年〜6ヶ月前の更新拒絶通知+正当事由 |
各選択肢の整理:
- ア(正): 619条1項前段の規定通り。
- イ(正): 「合意がなくても事実状態で擬制」という黙示の更新の本質。
- ウ(誤): 619条1項は「同一の条件で更新したものとみなされる」が、同条1項ただし書に「ただしその存続期間は、定めがないものとする」と明記されている。更新後は期間の定めなしとなる(原契約の期間が再現されるわけではない)。
- エ(正): 619条2項の通り。担保(保証等)は期間の定めのない賃貸借の更新として維持される。ただし各担保提供者は更新後合理的な期間内に解除できるという解釈がある。
- オ(正): 619条1項ただし書の通り。
【黙示の更新と建物賃貸借—法定更新・合意更新・黙示更新の3類型の整理】
建物(住宅)の賃貸借では、更新に関して民法619条(黙示の更新)と借地借家法26条(法定更新)が競合的に適用される場面があります。実務では「この状況はどの更新根拠に基づくか」の判断が必要です。
3類型の比較(建物賃貸借の場合):
| 類型 | 根拠 | 更新の発生 | 更新後の期間 | 更新拒絶の要件 |
|---|---|---|---|---|
| 合意更新 | 当事者の合意 | 両者の合意で明示的に更新 | 合意した期間 | 合意しないこと(更新拒絶の明示) |
| 法定更新(借地借家法26条) | 借地借家法26条 | 期間満了の1〜6ヶ月前に更新拒絶通知なし | 従前と同一条件(期間の定めなしと同様の運用) | 正当事由+期間内の通知 |
| 黙示の更新(民法619条) | 民法619条 | 期間満了後も使用継続+賃貸人の異議なし | 期間の定めなし | — |
建物の賃貸借では法定更新(借地借家法26条)が民法619条に優先して適用されます。したがって建物賃貸借における「更新」の主要な法的根拠は借地借家法26条であり、民法619条は建物以外(土地・動産等)の賃貸借に主に適用されます。ただし、借地借家法26条の要件を満たさない場合(例:借地借家法の適用外の場合)に民法619条が適用される余地があります。
保証人の問題(619条2項・最高裁判例との関係):
619条2項は「更新前の担保は更新後の期間の定めのない賃貸借の担保として維持される」ことを規定していますが、実務上の問題として「黙示の更新後も保証人は責任を負い続けるか」という問題があります。
最高裁は「保証人は更新後も責任を負うが、一定の条件下で保証から離脱できる」という立場を示しています。R2改正で導入された個人根保証の極度額規制(民法465条の2)も、賃貸借の更新局面における保証人の責任範囲の問題と関連します(元本確定事由(465条の4)が更新により生じるか等)。
「期間の定めなし」になることの実務的意味:
黙示の更新で「期間の定めのない賃貸借」になった場合:
- 賃借人側から解約申入れ: 建物賃貸借の場合、借地借家法27条により「3ヶ月前」に申し入れれば解約可能(ただし正当事由は不要)
- 賃貸人側から解約申入れ: 借地借家法27条により「6ヶ月前」の申し入れが必要+正当事由(借地借家法28条)が必要
「定めなし」になっても賃借人保護(正当事由制度)はそのまま維持されます。
実務上、期間満了前に更新の申し入れ・確認を行わないと「気づいたら黙示の更新で期間の定めなしの契約になっていた」という状態が起きます。管理会社の更新業務は、期間満了の約3〜6ヶ月前から更新の確認を行い、合意更新または終了の意思を明確にすることで、このような問題を防ぎます。
根拠: 民法619条(e-Gov 法令検索)、借地借家法26条・27条・28条(e-Gov 法令検索)。確認日2026-06-10。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法619条(e-Gov 法令検索) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法第64条/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。