問題
賃貸借契約の更新(民法619条)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はウです。
民法619条の黙示の更新で更新後の賃貸借は「期間の定めのない賃貸借」となります(オが正しく、ウが誤り)。原契約と同一の期間で更新されるわけではありません。
たとえば2年契約の賃貸借が黙示の更新で継続した場合、更新後は「2年契約」ではなく「期間の定めなし」となります。期間の定めのない賃貸借になると、どちらの当事者もいつでも解約申し入れができるようになります(民法617条1項2号:建物は3か月。ただし建物の賃貸人からの申入れは借地借家法27条1項で6か月・正当事由も必要)。
アとイは黙示の更新(更新の推定)の要件の正確な説明です。エも619条2項の通り正しい記述です。
民法619条(黙示の更新)の構造:
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 賃借物の使用収益継続 | 期間満了後も賃借人が継続して使用収益 |
| 賃貸人の異議なし | 賃貸人がこれを知りながら異議を述べない |
| 効果 | 従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定される(各当事者は617条により解約申入れができる=期間の定めのない賃貸借として扱われる) |
| 担保 | 従前の担保は期間の満了によって消滅する(619条2項本文)。ただし敷金は除く(同項ただし書) |
619条と借地借家法26条(法定更新)との比較:
| 比較軸 | 民法619条(黙示の更新) | 借地借家法26条(法定更新) |
|---|---|---|
| 適用場面 | 一般の賃貸借(建物以外も含む) | 建物の賃貸借(借家) |
| 更新後の期間 | 期間の定めなし(617条による解約申入れが可能) | 期間の定めなし(26条1項ただし書) |
| 更新を防ぐ方法 | 期間満了後の使用継続に対して異議を述べる | 期間満了の1年前から6か月前までの更新拒絶通知+正当事由 |
各選択肢の整理:
- ア(正): 619条1項前段の規定通り。
- イ(正): 「合意がなくても事実状態から更新を推定」という黙示の更新の本質。
- ウ(誤): 619条1項前段は「従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する」とし、後段で「各当事者は、第六百十七条の規定により解約の申入れをすることができる」と定めるため、更新後は期間の定めのない賃貸借として扱われる(原契約の期間が再現されるわけではない)。
- エ(正): 619条2項本文「従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する」、同項ただし書「第六百二十二条の二第一項に規定する敷金については、この限りでない」の通り。
- オ(正): 619条1項後段(617条による解約申入れ)により、期間の定めのない賃貸借として扱われる。
【黙示の更新と建物賃貸借—法定更新・合意更新・黙示更新の3類型の整理】
建物(住宅)の賃貸借では、更新に関して民法619条(黙示の更新)と借地借家法26条(法定更新)が競合的に適用される場面があります。実務では「この状況はどの更新根拠に基づくか」の判断が必要です。
3類型の比較(建物賃貸借の場合):
| 類型 | 根拠 | 更新の発生 | 更新後の期間 | 更新拒絶の要件 |
|---|---|---|---|---|
| 合意更新 | 当事者の合意 | 両者の合意で明示的に更新 | 合意した期間 | 合意しないこと(更新拒絶の明示) |
| 法定更新(借地借家法26条) | 借地借家法26条 | 期間満了の1年前から6か月前までに更新拒絶の通知なし | 従前と同一の条件・期間の定めなし(26条1項ただし書) | 正当事由+期間内の通知 |
| 黙示の更新(民法619条) | 民法619条 | 期間満了後も使用継続+賃貸人の異議なし | 期間の定めなし | — |
建物の賃貸借では法定更新(借地借家法26条)が民法619条に優先して適用されます。したがって建物賃貸借における「更新」の主要な法的根拠は借地借家法26条であり、民法619条は建物以外(土地・動産等)の賃貸借に主に適用されます。ただし、借地借家法26条の要件を満たさない場合(例:借地借家法の適用外の場合)に民法619条が適用される余地があります。
保証人の問題(619条2項・最高裁判例との関係):
619条2項本文は「従前の賃貸借について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する」と定めており(敷金は除く:同項ただし書)、民法の黙示の更新では保証も原則として消滅します。
一方、期間の定めのある建物賃貸借の保証について、判例(最判平成9.11.13)は、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、保証人は更新後の賃貸借から生ずる賃借人の債務についても保証の責めを負うとしています(建物賃貸借は長期間の存続が予定された継続的な契約であるため)。R2改正で導入された個人根保証の極度額規制(民法465条の2)も、賃貸借の更新局面における保証人の責任範囲の問題と関連します(元本確定事由(465条の4)が更新により生じるか等)。
「期間の定めなし」になることの実務的意味:
黙示の更新で「期間の定めのない賃貸借」になった場合:
- 賃借人側から解約申入れ: 建物賃貸借の場合、民法617条1項2号により申入れから3か月で終了(正当事由は不要)
- 賃貸人側から解約申入れ: 借地借家法27条1項により申入れから6か月で終了+正当事由(借地借家法28条)が必要
「定めなし」になっても賃借人保護(正当事由制度)はそのまま維持されます。
実務上、期間満了前に更新の申し入れ・確認を行わないと「気づいたら黙示の更新で期間の定めなしの契約になっていた」という状態が起きます。管理会社の更新業務は、期間満了の約3〜6ヶ月前から更新の確認を行い、合意更新または終了の意思を明確にすることで、このような問題を防ぎます。
根拠: 民法619条(e-Gov 法令検索)、借地借家法26条・27条・28条(e-Gov 法令検索)。確認日2026-06-10。
- 民法第619条・第617条・第465条の2e-Govで原文を読む
- 借地借家法第27条・第26条・第28条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法619条(e-Gov 法令検索) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法施行規則第19条第1号/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

