民法13民法(賃貸借契約の基本)

賃管士 民法 問13:民法(賃貸借契約の基本)

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10

賃借権の譲渡および転貸に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 賃借人は、賃貸人の承諾を得ることなく、賃借権を第三者に譲渡し、または賃借物を第三者に転貸することができる。
  • 賃借人が賃貸人の承諾を得ずに賃借物を転貸した場合、賃貸人は直ちに賃貸借契約を解除することができ、信頼関係の有無を問わない。
  • 賃借人が賃貸人の承諾を得て適法に転貸した場合、転借人は賃貸人に対して直接義務を負い、賃貸人は転借人に対して賃料を直接請求することができる。正答
  • 賃貸人が賃借権の譲渡を承諾した場合、原賃借人の賃料支払義務は消滅しない。
  • 転貸借が成立した場合、転借人が賃貸人に対して直接義務を負う賃料の範囲は、賃借人の賃料と転借賃料のうち高い方の額となる。
正答:賃借人が賃貸人の承諾を得て適法に転貸した場合、転借人は賃貸人に対して直接義務を負い、賃貸人は転借人に対して賃料を直接請求することができる。

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正答はウです。

適法な転貸(賃貸人の承諾あり)が成立した場合、転借人は賃貸人に対して直接義務を負います(民法613条1項)。これを「転借人の直接義務」といいます。賃貸人は転借人に対して賃料を直接請求できます。

アは誤り。賃借権の譲渡・転貸は原則として賃貸人の承諾が必要(民法612条)です。

イは誤り。無断転貸の解除には「信頼関係破壊の法理」が適用され、信頼関係が破壊されていない特段の事情がある場合は解除できません(最高裁判例)。

エは誤り。賃借権譲渡が承諾されれば、原則として原賃借人は契約から離脱します。

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賃借権譲渡・転貸の法的構造(612条・613条):

| 区分 | 要件 | 効果 | 無断の場合の解除 |

|---|---|---|---|

| 賃借権の譲渡 | 賃貸人の承諾 | 原賃借人が契約関係から離脱、譲受人が新たな賃借人 | 解除可(信頼関係破壊を判断) |

| 転貸 | 賃貸人の承諾 | 原賃借人と転借人の関係が生じる。原賃借人は賃貸人との関係も継続 | 解除可(信頼関係破壊を判断) |

| 転借人の直接義務 | 適法な転貸の場合 | 転借人は賃貸人に直接賃料支払義務を負う | — |

各選択肢の整理:

  • ア(誤): 民法612条1項「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」—承諾は必須。
  • イ(誤): 無断転貸は解除できるが、最判昭28.9.25により「信頼関係を破壊しない特段の事情がある場合は解除できない」。「信頼関係の有無を問わない」は誤り。
  • ウ(正): 民法613条1項「賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う」—転借人の直接義務の規定通り。
  • エ(誤): 賃借権の譲渡が承諾された場合、原賃借人は契約関係から離脱する(新賃借人が地位を引き継ぐ)。
  • オ(誤): 転借人が賃貸人に直接負う義務の範囲は「賃借人(転貸人)の賃料と転借賃料のうち低い方の額」(613条1項参照・転借賃料の範囲内で直接義務)。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【転貸借の法的構造と管理会社・サブリース事業者への実務的含意】

転貸借(サブリース)は賃管士試験の核心論点です。特定転貸事業者(サブリース業者)が行うマスターリース(建物一括借上)は、法律上「賃借人が賃貸人の承諾を得て転貸する」構造ですが、賃貸住宅管理業法の規制対象となる重要な形態です。

転貸借の3者関係の整理:

```

オーナー(賃貸人)

↕ マスターリース契約(賃貸借)

サブリース業者(賃借人=転貸人)

↕ サブリース契約(転貸借)

入居者(転借人)

```

この構造における法的問題:

1. サブリース業者が破産した場合: オーナーは入居者に対して直接賃料請求できるか?→できる(613条1項の転借人直接義務)。ただしサブリース業者の賃料(マスターリース料)と入居者の転借賃料の低い方が上限。

2. マスターリース契約が終了した場合: 転貸借(サブリース契約)はどうなるか?→原則として転貸借も終了するが、オーナーが転借人(入居者)に対して明渡しを請求できるのは「オーナー自身が転貸を承諾していた」場合に制限される(最判平14.3.28参照)。

3. 家賃減額協議と転借賃料: サブリース業者がオーナーに「家賃を下げてください」と求める場面。オーナーが拒否した場合の交渉と、サブリース業者が借地借家法32条(賃料減額請求)を使う可能性が問題となる(最判平15.10.21でサブリース業者の32条適用が認められた)。

613条1項の「賃借人の債務の範囲を限度として」の意味:

転借人(入居者)が賃貸人(オーナー)に直接支払義務を負う金額は「賃借人の賃料と転借賃料のうち低い方」です。

例:

  • オーナー←サブリース業者:月8万円のマスターリース料
  • サブリース業者←入居者:月10万円の転借賃料
  • 入居者がオーナーに直接支払える上限:8万円(マスターリース料が低い方)

逆に:

  • マスターリース料:月12万円
  • 転借賃料:月10万円
  • 入居者がオーナーに直接支払える上限:10万円(転借賃料が低い方)

賃貸住宅管理業法のサブリース規制(業法28〜32条)との連動:

特定賃貸借契約(マスターリース)の当事者であるサブリース業者(特定転貸事業者)は、業法28条の「誇大広告の禁止」・業法29条の「不当勧誘の禁止」・業法30条の「重要事項説明義務」・業法31条の「契約成立時書面」の規制を受けます。

民法上の転貸承諾・612条の問題は「オーナーが転貸(マスターリース)を承諾しているか」という前提問題として常に存在します。マスターリース契約自体にオーナーが署名することで承諾が成立しますが、その承諾を得る過程での誇大広告・不当勧誘が業法で規制されているという構造です。

根拠: 民法612条・613条(e-Gov 法令検索)、最判昭28.9.25・最判平14.3.28・最判平15.10.21(判例)、賃貸住宅管理業法28〜31条(e-Gov 法令検索)。確認日2026-06-10。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法612条・613条(e-Gov 法令検索)、最判昭28.9.25(信頼関係破壊の法理) 試験範囲の根拠: 賃貸住宅管理業法第64条/賃貸不動産経営管理士協議会公表 本問は賃貸不動産経営管理士試験の出題範囲に基づきgoukaku-navi.jpが独自に作成したオリジナル演習問題です(協議会発行の本試験問題の転載ではありません)。 確認日: 2026-06-10 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。

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