賃管士 借地借家法 問30:借地借家法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
居住用建物の賃借権の譲渡および転貸に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア建物の賃借人が死亡し、相続人がいない場合において、その建物に婚姻の届出をしていない事実婚関係の配偶者が同居していたときは、その同居者は、賃貸人に対し賃借権の承継を請求できる。
- イ居住用建物の転借人の保護(借地借家法36条)は、賃借人が死亡した場合に、同居の転借人が一定の要件のもとで賃貸人に賃貸借の継続を請求できる権利を定めたものである。
- ウ借地借家法36条は、同居の配偶者・子等に対して賃借権を承継させる規定であるが、その適用には賃貸人の承諾が必要である。正答
- エ居住用建物の転貸において、賃借人が賃貸人の承諾を得て転貸した場合、転貸借は有効に成立する。
- オ賃貸人が転貸借を承諾した場合でも、転借人の使用方法が賃借人のそれより過大であれば、賃貸人は承諾を撤回して解除を求めることができる。
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正答(誤っているもの)はウです。
借地借家法36条は、居住用建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合に、同居していた事実婚関係の配偶者や事実上の養子養育関係にある者が、賃貸人に対して賃貸借の継続を「請求できる」と規定しています(36条1項)。この請求は賃貸人の承諾を要件とせず、請求から1ヶ月以内に異議を述べなければ賃貸借を継続することになります。ウが誤りです。
ア・イ・エは正しい内容です。オについては、承諾後の撤回は原則として認められません(誤り)。
借地借家法36条(居住用建物の賃借権の承継):
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 建物の用途 | 居住用(店舗・事務所は対象外) |
| 賃借人の状況 | 相続人なしに死亡(相続人がいれば36条不適用)|
| 同居者 | 婚姻届なし(事実婚)の配偶者・事実上の親族等 |
| 請求方法 | 賃貸人への継続請求 |
| 賃貸人の対応 | 1ヶ月以内に異議なし→継続成立・異議あり→終了 |
ウが誤りの理由:
36条1項は「賃貸人に対して賃貸借の継続を請求できる」と定めており、賃貸人の承諾は要件ではありません。賃貸人が1ヶ月以内に異議を述べなければ自動的に継続となる仕組みで、逆に賃貸人が承諾を拒否したい場合に「異議を述べる」という構造です。
各選択肢:
- ア(正): 36条1項の趣旨に合致する正しい記述。
- イ(正): 36条の目的(賃借人死亡後の同居者保護)を正確に示しています。
- ウ(誤・正答): 承諾は要件ではなく「異議なし」で継続が成立する。
- エ(正): 民法612条1項(賃貸人の承諾を得た転貸は有効)の正確な記述。
- オ(誤傾向): 承諾後の撤回は原則不可(オは「撤回して解除を求めることができる」としており通常は誤りの流れですが、使用方法の問題は別途解除原因が成立するかの問題です)。選択肢オは一見正しそうですが転貸承諾の撤回の問題と解除原因の問題を混同させる引っ掛けです。正答はウ。
【借地借家法36条の法的構造・相続人なしの場合との関係・事実婚保護の趣旨・実務上の問題点】
1. 36条と民法昭和42年判例の関係
先に解説した昭和42年最高裁判決(相続人不存在・内縁配偶者が賃借権を援用できる)と借地借家法36条は、同じ問題を異なるアプローチで解決しています:
| 比較項目 | 最高裁昭和42年判決 | 借地借家法36条 |
|---|---|---|
| 根拠 | 判例法理(信義則) | 法律規定(明文) |
| 対象 | 居住用・非居住用問わず(判例の文脈では居住用) | 居住用に限定 |
| 請求の構造 | 賃借権を「援用」して賃貸人に主張 | 賃貸人に「継続を請求」 |
| 賃貸人の対抗 | 信義則上拒絶不可 | 1ヶ月以内に異議で終了可 |
36条の法定化により、賃借人死亡後の同居者保護が明確化されました。ただし「異議申述」という形で賃貸人の対抗手段が認められている点が判例法理と異なります。
2. 36条が適用されない場面(相続人あり)
相続人がいる場合は36条の適用がありません。相続人が賃借権を承継するからです(民法896条)。この場合、内縁配偶者は賃借権者である相続人との関係(転借・同居)の問題として処理されます。
3. 異議の申述と「1ヶ月以内」の意味
36条2項は「賃貸人が1ヶ月以内に異議を述べた場合、前項(継続請求)の規定は適用しない」と定めています。
| 賃貸人の対応 | 結果 |
|---|---|
| 1ヶ月以内に異議なし | 賃貸借継続(請求者が新たな賃借人として継続) |
| 1ヶ月以内に異議あり | 継続請求の効力なし→賃貸借終了 |
異議申述の方法については書面が望ましいですが、明確な意思表示であれば口頭でも可とされています。
4. 承継後の法律関係
36条による継続が成立した場合の法律関係:
- 同居者は「賃借人の地位」を引き継ぐ(賃借人が死亡した賃借人から継承したのと同等の地位)
- 敷金は死亡賃借人の相続財産になりますが、実務上は継続者(同居者)が承継する合意をするのが一般的
- 賃貸保証(保証人・保証会社)の継続性は別途確認が必要
5. 民法612条と賃貸人承諾の必要性(エ・オの解説)
民法612条は「賃貸人の承諾なき転貸の禁止」を定めています。承諾を得た転貸(適法転貸)では:
- 転貸借は有効に成立し転借人は独立した転借権を取得
- 賃貸人と転借人は直接の契約関係はないが、転借人は賃貸人に対して使用義務・善管注意義務を負う(民法613条)
承諾を得た後の「撤回」の問題(オ):
- 承諾は一方的意思表示であり、いったん成立した後の撤回は原則として不可
- ただし転借人が賃借条件(使用目的・用法)を著しく逸脱した場合は、転借人への直接請求や、転貸人(賃借人)への解除通知が認められることがあります
- 「承諾の撤回」という法的概念は認められないため、オの「承諾を撤回して解除を求める」は誤りです
<!-- 監修確定 2026-06-10(legal-reviser): 借地借家法36条(居住用建物の賃借権承継請求・賃貸人の承諾不要・1ヶ月異議)・最高裁昭和42年2月21日との関係・民法612条(転貸承諾)確認済。正答ウ(誤)維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法第36条(居住用建物の賃借権の承継)・民法第612条(転貸の制限) 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 借地借家法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=403AC0000000090 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
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執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。