賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 借地借家法 問36|一時使用目的の建物賃貸借——借地借家法40条の適用

問題

賃管士 | 借地借家法 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

一時使用目的の建物賃貸借(借地借家法40条)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答(誤っているもの)はアです。

借地借家法40条の「一時使用目的の建物賃貸借」は、更新・正当事由等の借地借家法の保護規定の適用が除外されます(ウは正しい)。しかし「借地借家法の保護が一切なくなるから即時退去できる」というアの記述は誤りです。

一時使用目的の賃貸借でも、民法の契約解除や期間満了の手続きは必要です。賃貸人は契約に基づく終了を相手方に通知し、合理的な手続きを踏む必要があります。「即時に退去させることができる」は誤りです。

イ・エ・オは正しい記述です。特に「一時使用」かどうかの判断は契約書の文言だけでなく総合的に判断される(イ)という点も重要です。

一時使用目的の建物賃貸借(40条)の適用範囲:

規定一時使用目的に対する適用
借地借家法26条(更新拒絶通知)不適用(通常の契約解除規定で対応)
借地借家法28条(正当事由)不適用(正当事由なしで終了可)
借地借家法31条(対抗力・引渡し)不適用
民法の契約終了手続き適用あり(通知・催告等は必要)

アが誤りの理由(重要な区別):

一時使用目的の賃貸借は借地借家法の保護規定から除外されますが、民法上の契約としての性質は失いません。したがって:

  • 期間満了で自動終了(民法の規定による)
  • 解除には民法541条の催告等が必要(ただし一時使用の性質上、正当事由なしで終了できる)
  • 「何らの手続きも要せず即時退去」は民法上も認められない

各選択肢:

  • ウ(正): 40条の趣旨(更新・正当事由等の不適用)を正確に記述。
  • イ(正): 判断基準(総合判断)を正確に示す。
  • ア(誤・正答): 借地借家法の保護除外=民法上の手続きも不要という誤解。民法上の終了手続きは必要。
  • エ(正): 典型的な一時使用目的(選挙事務所・仮設工事事務所)を正確に例示。
  • オ(正): 26条・28条・31条の適用除外を正確に列挙。

【40条の立法趣旨・一時使用性の判断基準・民法との関係・実務上の使用場面と注意点】

1. 一時使用目的の賃貸借の意義

借地借家法は、賃借人(特に居住者・事業者)の生活基盤・事業基盤を保護するため、更新拒絶に正当事由を要求し、存続期間の保護を図っています。しかし、本来「一時的な目的」のために建物を借りる場合にまで借地借家法の全面的な保護を与えると、賃貸人が短期的な利用目的の賃貸をためらうことになります。

40条はこのバランスをとるため、「一時使用のために賃貸借をしたことが明らか」な場合は借地借家法の保護規定を適用除外としています。

2. 「一時使用のために賃貸借をしたことが明らか」の判断基準

判例は、単に契約書に「一時使用」と記載されているだけでなく、次の要素を総合的に考慮して判断します:

判断要素内容
使用目的の一時性選挙・行事・工事・催事等の一時的な目的が客観的に存在するか
契約期間の短さ数ヶ月〜1年程度が目安(ただし期間だけで判断しない)
建物の状態仮設・臨時的な建物か(設備・構造)
当事者の意思両者が一時的利用と認識していたか
社会通念一般的に見て一時的な利用と認められるか

一時使用と認められやすい例:

  • 選挙事務所(選挙期間中のみ)
  • 工事現場の仮設事務所(工事期間中のみ)
  • イベント・展示会の会場(イベント期間中のみ)
  • 季節限定の店舗(夏季・冬季等)

一時使用と認められにくい例:

  • 形式上「一時使用」と記載しても居住目的で長期間使用している
  • 賃借人が生活の本拠として使用している
  • 更新を繰り返して実質的に長期賃貸になっている

3. 一時使用賃貸借と民法の関係

40条の適用が認められた場合、借地借家法の保護規定(更新・正当事由・対抗力等)が除外されますが、民法上の賃貸借契約としての性質は維持されます。

適用なし適用あり
更新(借地借家法26条)民法上の解除(541条)
正当事由(借地借家法28条)民法上の期間満了終了
対抗力(借地借家法31条)民法上の占有保護
造作買取請求権(33条)民法上の有益費(608条)

「即時退去」はできません。期間満了・解除の意思表示・催告等、民法上の契約終了手続きを踏む必要があります。アが誤りの理由です。

4. 一時使用目的の争いと実務上のリスク

実務で最も問題になるのは、賃貸人が「一時使用だ」と主張し、賃借人が「普通の借家だ」と主張して争うケースです。この場合:

  • 裁判所が「一時使用かどうか」を判断
  • 一時使用でないと判断された場合→普通借家として保護される(正当事由が必要になる)
  • 管理業者としては、一時使用目的であることを明確にした書面・使用目的の明示・期間設定を徹底する

5. 定期借家との比較(一時使用との使い分け)

比較項目一時使用(40条)定期借家(38条)
更新なし(一時使用性が明らか)なし(書面・事前説明要件)
正当事由不要不要
書面要件なし(口頭でも可だが書面推奨)書面必須
適用場面選挙・イベント等の真に一時的な利用期間を定めたが長期利用も含む
リスク一時使用性が否定される場合に普通借家扱いになる事前説明書面欠缺で普通借家化

賃貸管理の実務では、期間限定利用でも定期借家(38条)の方が法的安全性が高いため、40条より38条を優先して活用するケースが多いです。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法第40条(一時使用目的の建物賃貸借) 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 借地借家法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=403AC0000000090 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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